尾上菊之助「NINAGAWA十二夜」、ロンドン公演で絶賛のスタンディングオベーション!

2009年03月26日10時29分芸能

歌舞伎俳優・尾上菊之助が、蜷川幸雄の演出によるシェークスピア作品と歌舞伎の融合的作品「NINAGAWA十二夜」のロンドン公演初日を3月25日(日本時間)に成功させ、観客から絶賛のスタンディングオベーションに迎えられた。

舞台「NINAGAWA十二夜」は、尾上菊之助自らの企画によって実現されたシェークスピア作品と歌舞伎の融合作。双生児の兄妹であるセバスチャンとヴァイオラという登場人物を軸に、「男装」と「人違い」、「三角関係」のもたらす人間関係の面白さを巧みに描いた喜劇「十二夜」は、シェークスピア最高傑作の喜劇と評価を受けた。この物語を和の世界へ移し、歌舞伎で体現したのが「NINAGAWA十二夜」。400年もの歴史を持つ歌舞伎とシェークスピア演劇が、ここに奇跡的な出会いを果たした。

満員となったロンドン・バービカンシアターで行われた舞台「NINAGAWA十二夜」。歌舞伎ならではの所作、台詞回し、メイクアップにマリアージュする蜷川ならではの鏡を駆使した演出、華麗なる花々の散逸はあまりにも美しい。この和と英国の芸術的融合と昇華に、その夜、ロンドンが酔いしれた。舞台袖に置かれた英語の字幕表示装置も、英国人が物語の世界に入っていくことを助けた。舞台に置かれた日本人の情緒感の象徴である桜の木も、観客の度肝を抜いた。古典に芽吹く、あらたな生命の息吹。何もかもがパーフェクトだった。公演後のカーテンコールは三度にまで渡り、最後には絶賛のスタンディングオベーションに迎えられ、最高の賛辞が送られた。

舞台「NINAGAWA十二夜」は、2005年に始まった初演以来、4度目の公演。今回、初めてシェークスピア誕生の国、イギリスのロンドンに初上陸を果たした。尾上菊之助・尾上菊五郎は、舞台上、役者冥利に尽きるこのひとつの達成に感激を滲ませた。二つの文化がめぐり合い、ただならぬ融合に成功したのだ。バービカンシアターでのロンドン公演は、このまま3月28日まで行われ、今夏、日本においても東京の新橋演舞場など各地で凱旋公演が行われる予定だ。

この達成のために厳しい稽古の日々を過ごした尾上菊之助・尾上菊五郎ら、歌舞伎役者陣。どのような気持ちでロンドン公演に臨んだのか? それは舞台「NINAGAWA十二夜」のオフィシャルHPにて、役者自らの言葉で語ったメッセージ動画配信の中に確認することができる。メッセージを語ってくれるているのは、尾上菊之助、尾上菊五郎、そして演出の蜷川幸雄の3名。彼らの冒険心、そしてチャレンジ・スピリットに触れるにつけ、その精神の高潔さと日本人としての気概に頭が下がる。日本での凱旋公演が待ち遠しい。東京・新橋演舞場での凱旋公演は6月7日(日)、大阪・松竹座では7月5日(日)より。

舞台「NINAGAWA十二夜」 オフィシャルHP