杉井ギサブローが、映画『銀河鉄道の夜』に続いて宮沢賢治作品の映像化第2弾として、童話「グズコーブドリの伝記」を、小栗旬、忽那汐里、佐々木蔵之介、林隆三、草刈民代ら豪華俳優を声優に迎え映画化したアニメが、今夜28日（日）BS11にて夜8時から放送される！作品公式サイトで予告動画が公開されている。

童話「グスコーブドリの伝記」は、日本が誇る詩人で童話作家である宮沢賢治の作品で、1932年4月に刊行された雑誌『児童文学』第2号にて発表された。宮沢作品が生前に刊行された作品は少なく、この童話は代表的な彼の作品の一つであり、生前発表された数少ない童話の一つでもある。

宮沢賢治は、郷土岩手に基づいた創作を行い、作品中に登場する架空の理想郷に、岩手をモチーフとしてイーハトーブ（Ihatov、イーハトヴあるいはイーハトーヴォ（Ihatovo）等とも）と名づけた。「グスコーブドリの伝記」もこのイーハトーブの森に暮らす木樵り（きこり）の息子・グスコーブドリを主人公に、前世紀初頭、東北地方で起きた現実の冷害をきっかけに書かれた作品。

本作の映像化は今夜放送されるアニメ映画の前にも、宮沢賢治の没後60周年を記念して制作され、1994年に映画公開されている。1994年の映画では、賢治が暮らした「1920年代の岩手県」をモチーフとした描写がなされ、ほぼ原作に忠実なストーリーとなっている。

一方、今夜BS11にて放送されるのは、2012年に映画化された作品。猫を擬人化した、ますむらひろしによる漫画版をベースとし、原作に基づきながらも、原作に登場しない「世界裁判長」や「ばけもの」のキャラクターを「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」から借用した内容となっている。また、東日本大震災から時間をおかず公開されたこともあって、ラスト数シーンのカットを差し替えて公開されたことも話題になった。
制作は手塚プロダクションで、監督は同じくますむらの漫画版をもとにした『銀河鉄道の夜』を手がけた杉井ギサブローが担当した。

話題になった声優陣には、主人公のグスコー・ブドリを小栗旬、妹のネリを忽那汐里、両親役には林隆三と草刈民代が担当。その他、佐々木蔵之介、柄本明、林家正蔵、キートン山田、お笑い芸人・アメリカザリガニの柳原哲也らバラエティ豊かな面々。豪華な声優と同様に話題になったのは、主題歌だ。小田和正が、オフコース時代の1980年の楽曲をセルフカバーした「生まれ来る子供たちのために」が主題歌として物語を優しく包んだ。

本作はDVD＆Bru-rayが発売されており、初回限定版BDでは、差し替え前のラストが描かれた杉井監督による貴重な絵コンテ、冊子「イーハトーヴ」幻視」48P　も収録されている。その他にも、初回限定版BD・特典DVDには、杉井監督を筆頭に、豪華キャスト・スタッフによるメイキングシーンを収録した超プレミアム特典DVDが封入。本作のDVD・BDは、2013年に発売された人気作品ながら、まだ、初回限定盤も購入できるかもしれない。⇒amazonでチェック

■あらすじ
グスコーブドリ（ブドリ）はイーハトーブの森に暮らす木樵り（きこり）の息子として生まれた。両親と妹と穏やかに暮らしていたが、冷害による飢饉で両親を失い、妹とも生き別れとなってしまう。それでもブドリは、生きるために精一杯働き、やがて成長し火山局に勤める。だが、そこに再び大きな冷害が…。両親が自分を生かしてくれ、工場長が自分を鍛えてくれ、火山局の博士が自分に教えてくれたこと、それは何のためだったのか。
やがてブドリはただ１人火山局に出かけていく。みんなのために、自分ができることを行いに―。

■スタッフ
原作：宮沢賢治（「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」）
監修：天沢退二郎
脚本・絵コンテ・監督：杉井ギサブロー（「あらしの夜に」「銀河鉄道の夜」）
キャラクター原案：ますむら・ひろし
キャラクターデザイン・総作画監督：江口摩吏介
美術監督：阿部行夫
音楽：小松亮太
制作：手塚プロダクション

■キャスト
グスコー・ブドリ - 小栗旬
グスコー・ネリ - 忽那汐里
コトリ - 佐々木蔵之介
グスコー・ナドリ（ブドリの父） - 林隆三
ブドリの母 - 草刈民代
赤ひげ - 林家正蔵
てぐす工場主 - 内海賢二
ペンネンナーム技師 - キートン山田
学校の先生 - 桑島法子
赤ひげの奥さん - 小宮和枝
赤ひげの父 - 亀山助清
水下の男 - 岩崎征実
ナカタ - 宮本充
世界裁判所の羊男 - 柳原哲也（アメリカザリガニ）
材木工場の工場長 - 星野充昭
観測員 - 遊佐浩二
語り・クーボー博士 - 柄本明
その他 - 財城里佳、高瀬朝季、浅井慶一郎、岩澤俊樹、後藤光祐、斉藤貴之、烏丸祐一、布施川一寛、小林茉莉子、坂本知穂、新原さおり、池田汐里、青木美帆、粕谷彩乃

◇BS11『グズコーブドリの伝記』番組公式サイト
◇映画『グズコーブドリの伝記』