歌舞伎の大名跡が復活!中村翫雀改め四代目中村鴈治郎襲名披露 31日NHK「古典芸能への招待」関連動画

2015年05月30日12時00分芸能

数ある歌舞伎の名跡の中で上方歌舞伎のビッグネームといえば「中村鴈治郎」4月に行われた四代目中村鴈治郎襲名披露興行を31日(日)夜9時よりNHK Eテレ「古典芸能への招待」で放送!共演は尾上菊五郎、中村吉右衛門、片岡仁左衛門、松本幸四郎、そして先代鴈治郎、当代坂田藤十郎が出演!関連動画はYouTubeにて公開。

歌舞伎には、江戸歌舞伎と上方歌舞伎があり、それぞれ得意とされる演目も江戸と上方とでは異なる。今回、四代目中村鴈治郎を襲名したのは五代目中村翫雀。当代・坂田藤十郎の長男で、女優・中村玉緒の甥にあたる上方歌舞伎の大看板である。
歌舞伎役者は原則、世襲制となっており代々その名を子が継いでいく。当代・坂田藤十郎(中村玉緒のお兄さん)は、1990年から2005年まで三代目中村鴈治郎を名乗り、同年11月より坂田藤十郎を襲名した。初代坂田藤十郎は、上方歌舞伎の創立者の1人で、和事の芸を確立した芸術家。上方において、筆頭にあがるほどの大名跡だったが安永2(1774)年以降、継ぐ者がいなかったのだが、当代・坂田藤十郎が231年ぶりに襲名、再び上方歌舞伎の大名跡が復活した。

2005年11月以降、中村鴈治郎の名は使われなかったのだが、藤十郎の長男で同じく歌舞伎役者の中村翫雀が2015年1月大阪松竹座公演より四代目中村鴈治郎を襲名した。今回NHK「古典芸能への招待」で放送されるのは、4月に行われた東京での襲名披露興行。大名跡の襲名披露ともなると、お目出度い公演とあって普段より多く、看板役者が顔を揃える。ちなみに、坂田藤十郎の妻、つまり中村鴈治郎の母は、元宝塚女優で参議院議員を5期つとめ、運輸大臣、北海道開発庁長官、国土庁長官などを歴任した扇千景。父・坂田藤十郎は1994年に人間国宝に認定、上方歌舞伎役者の中でもエスタブリッシュメントな家系である。

31日(日)夜9時より放送される演目は、成駒屋(中村鴈治郎の屋号)の「成駒屋歌舞伎賑(なりこまやかぶきのにぎわい)」と成駒屋の十八番「心中天網島」が放送される。「成駒屋歌舞伎賑」では、襲名披露口上も行われた。主役の鴈治郎のほか、父・藤十郎、中村吉右衛門、尾上菊五郎、市川染五郎、片岡仁左衛門、松本幸四郎も出演。1つの演目に、これだけ多くの看板役者が顔を揃えるのも、襲名披露ならではの豪華なキャスティング。
「心中天網島」には、鴈治郎のほか、中村芝雀、市川染五郎、片岡秀太郎(ラブリンこと愛之助の芸父)らが出演。

上方歌舞伎の大名跡、四月に行われた中村鴈治郎襲名披露興行は人気のためチケット入手も困難だったほど。もちろん劇場に行って生の歌舞伎を見るのが一番いいのだが、手軽に(しかも無料)でこれだけの看板役者が揃うお目出度い披露興行をテレビで視聴できるのは、歌舞伎ファンにとって嬉しい限り。

■成駒屋歌舞伎賑(なりこまやかぶきのにぎわい)
襲名披露の「口上」の趣向の1つ。人気役者が顔をそろえ、江戸時代の歌舞伎小屋前で世間話を交わしたのち…という設定で「口上」が行われる。「口上」とは、その興行の主役、つまり名跡を襲名した役者のお披露目で、他の役者達が主役の役者とのなれそめや思い出話、人物紹介などをする。いわゆる「歌舞伎」という芝居形式ではないが、襲名披露には欠かせない。

■心中天網島 玩辞楼十二曲の内 河庄(かわしょう)
和製シェイクスピア、近松門左衛門作の心中物語り。女房がある身ながら、ほかの女に心移りしてしまい、揚げ句の果てに心中…。江戸時代、スキャンダラスな事件が起きるとそれをすぐ歌舞伎演目にして上演した。今で言うワイドショー的要素もあった。この演目も実際に起きた紙屋治兵衛と遊女小春の心中事件をもとに近松が脚色したとされている。

NHK Eテレ5月31日(日)夜9時より「古典芸能への招待」を放送。今月は平成27年4月に歌舞伎座で行われた四代目中村鴈治郎襲名興行を収録。YouTube では関連動画が配信されている。

中村鴈治郎襲名で中村翫雀の会見(共同通信社:YouTube)
四代目中村鴈治郎襲名 道頓堀で船乗り込み(産経ニュース:YouTube)
中村翫雀改め四代目中村鴈治郎 初の東京お披露目(YouTube)

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