今、大注目の詩人・文月悠光が映画『アバウト・レイ 16歳の決断』を語る!イベントレポと予告動画

2018年01月16日12時18分映画

映画『アバウト・レイ16歳の決断』(『3 Generations』)が、2018年2月3日(土)に新宿ピカデリーにて公開されるが、これを記念して昨日1月15日(月)、スペースFS汐留にて詩人の文月悠光を招いたトークイベントが行われた!オフィシャルレポートと写真が到着したのでご紹介、予告動画はナビコンチャンネルで公開中。⇒映画紹介

『アバウト・レイ16歳の決断』朗読つきトークイベント概要
【日時】1月15日(月)
【場所】スペースFS汐留(港区東新橋1-1-16汐留FSビル3F)
【登壇者(敬称略)】文月悠光(26)

映画

【イベントレポート】(全文)
MCを勤めた映画ライターの門間雄介から映画の感想を尋ねられると、「レイのトランスジェンダーという設定に注目しがちで、性的マイノリティの深刻な話として、見る前に覚悟がいるのかなという思いがありましたが、実際は深刻過ぎずに描いていることに好感が持てました。」鑑賞前の先入観と鑑賞後の印象の差について語ると、「レイの話だけでなく、家族の中のユーモアや、母親の葛藤など周囲の人たちにも焦点を当てていて面白かったです。」と本作の感想を率直に語った。

それを受けて門間が「LGBT映画というのが全面に押し出されていないですよね」と振ると、文月は「LGBTという型から自由になっていっているのもこの映画のいいところだなと思います」とジャンル映画にとらわれていないことを評価した。

印象的なシーンを聞かれると文月は「(マギーが)‟私はひとりで娘を失った、これからもひとりで息子を育てていく“というセリフがありましたが、悩みに悩んで一人でレイを育てた矜持が感じられて、祖母に対してはまだ弱く少女らしさがあり、ある種まだ母親になれなかったマギーが殻を破った印象的なシーンでした。」と熱く語った。

さらに文月は「自分が母になったときは子供がレイのような状況になった時に、どんな風に支えられるか自然と考えてしまった。特殊な家族ではなく、自分と地続きの不安や葛藤の中にこの人たち(マギーやレイたち)もいるのかなという感覚で見ていました」と本作が描く普遍的な問題に共感した。

そして本作をから受けた印象を書き下ろした詩「わたしたちの愛し方」を披露すると、会場から感動の拍手が沸き上がった。

門間に詩の着想を聞かれると、文月は「(本作を)家族たちの群像劇としてとらえたときに、食卓のシーンが印象的でした。祖母とその同性のパートナーと母、当たり前のように一緒に食事をしているけど、少しギクシャクしているいびつさは、親しい友達との距離感とは違うものを感じさせ印象的でした。」と詩の冒頭『食卓に八つの手を集わせる。~(一部抜粋)』について説明。
さらに「“もっとみんなのことを知りたい”というレイの言葉や表情から現れる、彼の気持ちの変化や世界観が広がっていく様子に感化されました。鏡のシーンはエル・ファニングの目と中性的な佇まいと複雑な感情ながらもきれいな表情は素敵だなと思い、詩にも取り入れました。」と本作の印象的なシーンから得た強い想いとともに、詩への着想について語った。

最後に文月は「大きなテーマとして、自分の不完全さ、少し世間一般から外れている部分も魅力的で愛おしいものであると肯定してくれる映画です。家族の在り方や自分自身の在り方をレイの物語と重ね合わせて、変わっていけるきっかけになればいいと思います。」と観客にメッセージ送り、大きな拍手の中イベントは幕を閉じた。

今回披露された文月悠光の詩「わたしたちの愛し方」は『アバウト・レイ16歳の決断』劇場販売用パンフレットにて全文掲載される。

ナビコンch『アバウト・レイ 16歳の決断』日本版予告動画