鞆の浦の埋め立て・架橋計画訴訟、地元住民側が全面勝訴。そんな鞆の浦を動画で確認

2009年10月03日09時37分社会
鞆の浦 - 癒しの国 日本.TVより

広島県福山市の景勝地・鞆(とも)の浦の埋め立て・架橋計画に対し、地元住民らが広島県を相手取り、知事が埋め立て免許を県と市に交付しないように求めた訴訟の判決が、1日、広島地方裁判所で言い渡された。能勢顕男裁判長(広島地・家裁呉支部長)は、住民側の請求を全面的に認め、知事に埋め立て免許を交付しないように命じた。
鞆の浦は、福山市中心部から南へ14kmのところにある、瀬戸内海国立公園を代表する景勝地。古くから大陸との交易の地となり、商人の町として栄えた。そのため、今も名所・旧跡・古寺がいくつも点在しており、その頃の栄華をしのぶことができる。岸壁からの眺めも美しい。宮崎峻監督のアニメ「崖の上のポニョ」の舞台としても知られ、同監督が長期間に渡って滞在した。
埋め立て・架橋計画は、1983年、交通混雑の解消などを目的に、港湾西側を2ヘクタール埋め立てたうえで、約180メートルの橋を港を横切って架けるというものだった。一時、凍結されたものの、2004年に同計画の推進を公約にした羽田皓市長が当選し、再度、同計画が動き出すことになった。そこで、2007年4月、地元住民らが提訴したのが、今回の訴訟。
判決では、鞆の浦の景観は、文化的・歴史的価値を持つ国民の財産ともいうべき公益と指摘し、景観利益は法的保護に値するとした。また、道路や駐車場などの整備に必要性や公共性を認めつつ、景観保全を犠牲にする価値があるかは疑問だとし、事業完成後に復元することも不可能とした。さらに、事業の調査・検討が不十分で、埋め立てを認めることは知事の裁量権の範囲を超えており、差し止めの対象になると結論づけた。
なお、鞆の浦の映像は、「癒しの国 日本.TV」や「バーチャル旅行体験ムービアム」などで見ることができる。

鞆の浦 - 癒しの国 日本.TV
鞆の浦 バーチャル旅行体験ムービアム