JAXA、ビデオライブラリ「SPACE@NAVI-Kibo WEEKLY NEWS 第88号&第89号」をまとめて公開

2010年01月28日19時08分暮らしと文化
視聴サイトへ
「きぼう」日本実験棟船内実験室内で、マランゴニ対流実験
の供試体の補修作業を行う野口宇宙飛行士
(C)JAXA

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙ステーション・きぼう広報・情報センターは、ビデオライブラリ「SPACE@NAVI-Kibo WEEKLY NEWS 第88号&第89号」を公開した。


第88号は、「きぼう」船内で行なわれたマランゴニ実験装置の補修作業について、マランゴニ実験チーム・コーディネータの松本聡(JAXA)を招きインタビューを交えながら詳しく紹介。
水の表面張力は、水などの液体に働く表面積をできるだけ小さくしようとする力のことをいうが、この表面張力は液体の温度や溶けている物質の濃度によって変わり、普通は温度が低い方が大きくなる。
そのため、表面上の左右や表面と内側に温度差がある場合、水の表面に油やアルコールを落とした時のように濃度差がある場合、表面張力の小さい方から大きい方に向かって流れが発生する。液体の表面が流れれば、それに引きずられて液体内部にも流れ(対流)が起きる。
この現象は、19世紀にイタリアの物理学者マランゴニによって初めて詳しく研究されたため、「マランゴニ対流」と呼ばれる。
マランゴニ対流は、半導体材料であるシリコン結晶を作るときや、パソコンの放熱に利用されるヒートパイプにも発生し、結晶の品質や放熱性能に影響を与える。
そのため、マランゴニ対流について詳しく知ることは、流体の性質についての知識を深めるだけでなく、半導体材料の製造や宇宙用の機器開発などに重要な意味を持つ。
マランゴニ対流の実験は、流体を円柱状にして、その両端に温度差を与え、マランゴニ対流を発生させ、その様子を観察する。
ところが、きぼう船内実験室に保管されていた実験用機器(供試体)の試料カセットに充填されているシリコーンオイルが減っていることが判明。調査の結果、軌道上に保管されていた未使用の7本の試料カセットのうち2本に液漏れが発生し、そのままでは軌道上実験に供することが難しいと判断された。
そこで、野口聡一宇宙飛行士が軌道上で補修することになり、接着剤による液漏れ箇所の補修を1月13日から15日に行い、無事に補修が完了した。
マランゴニ対流実験は、1月下旬から再開される。

第89号は、きぼう日本実験棟で行われている、「文化/人文社会科学利用パイロットミッション」から、宇宙・微小重力といった環境を利用したさまざまな芸術表現の話題を中心に送る。また、ヒューストンから日本人宇宙飛行士の活動についての最新情報も届ける。
宇宙に飛び出した人類は、これまでにさまざまな言葉を残し、地球や宇宙に対する新たな視点を得てきた。この環境を単に物質的な科学分野に利用するだけでなく、芸術表現などを通じて驚きや感動を発見することを目的とした実験が、「文化/人文社会科学利用(EPO-Education Payload Observation-」だ。
EPOでは、国際宇宙ステーション(ISS)におけるきぼう日本実験棟を利用し、教育的な活動や文化・人文的な試みによって、「地球人育成」、「人類未来の開拓」、「宇宙利用による新たな価値の創出」をめざす。
「宇宙モデリング」は、 宇宙飛行士が紙粘土(約200g)を手びねりによって2体の「ひとがた」を制作。
「水の球を用いた造形実験」は、水を用いて直径約8cmの水球を針金上に作り、宇宙飛行士の手により2本の針金を水球表面に差し込み振動させる。振動の共鳴により水球は4角形や5角形など形を変える。その水玉の様子をハイビジョンカメラで撮影した。
「墨流し水球絵画」は、水を用いて直径約8cmの水球を針金上に作り、6種類のインクを用いて水球表面に模様を作る。模様は、半球型の和紙に吸い取り乾燥させ地球に回収する。
「Spiral Top」は、「光」をモチーフにしたライトアートの試み。LEDが点灯する独楽のような回転体を動かすことにより、3次元的な螺旋運動を光で造形化し、今までに見たことのない新たな表現世界を創り出した。
「飛天プロジェクト」は、敦煌の壁画や仏教絵画で描かれる「飛天」をヒントに、舞踊表現を通じて無重力空間における人の動きや姿勢の新たな美しさを引き出した。
「ISS宇宙飛行士の‘moon’score」は、きぼうの窓から見える「月」の写真をデジタルカメラで撮影。ほぼ同時期に地上からも月を撮影し、宇宙で撮影した月の写真と地上から撮影した月の写真による音楽を制作した。
「『微小重力の身体と衣服設計に関する基礎実験』-宇宙でのファッショナブルライフ-」は、宇宙に適応(進化)した未来の身体を美術解剖学的な視点から想像し未来のファッションを提案、宇宙から地球に帰還する人たちの身体的・心理的な印象を捉えたファッションも提案した。
「宇宙庭」は、無機質な空間で生きた庭を作ることで、自然に対する考え方、これまで人類が続けてきた文化的営為に対する畏敬を振り返り、人類と自然、人と植物、人と人の関係を宇宙からの視点で明らかにした。

ビデオライブラリ「SPACE@NAVI-Kibo WEEKLY NEWS 第88号」
ビデオライブラリ「SPACE@NAVI-Kibo WEEKLY NEWS 第89号」