「その後の」と謳っているものの内容的にはまったく『仁義なき戦い』と関係なく、いわば工藤栄一版ヤクザ映画である。何しろ若き根津甚八、宇崎竜童、松崎しげるの三人が中心のドラマだから、当然、これまでのヤクザ映画とは趣が異なってくる。任侠ものとも、あるいは実録ものとも違った味わいが出てくるのだ。
大阪に本家のあるの石黒組は、全国的な大組織だ。そこの若頭が急死し、その地位を浅倉組組長と花村組組長が狙いはじめる。
北九州にある竜野組は浅倉組とつながりがあり、若い衆二人(宇崎竜童と松崎しげる)を行儀見習いとして浅倉組に預ける。ここで二人は浅倉組系の若衆・相羽(根津甚八)と知り合い、親友になるのだった。
一方で、石黒組の若頭争いは激烈になり、抗争は若者たちをも巻き込んでいく……。
上部での権力闘争が末端にいる者の運命さえ左右するという構図は、まさに『仁義なき戦い』と同じだが、こちらは現代的で軽いし、乾いていて、義理や人情とは無縁に見える。しかし、そんな中でも若いヤクザの間には友情が存在し、闘い、死ぬのである。
演技のうえでも不器用な根津甚八や宇崎竜童らが、そのせいか良い味を出しているし、最後にサプライズ的な特別出演者もいるので注目。
名匠・工藤栄一が描く、暴力組織の内部抗争に翻弄される若きヤクザたちの群像『その後の仁義なき戦い』
スタッフ: 原案:飯干晃一/監督:工藤栄一/脚本:神波史男、松田寛夫/音楽:柳ジョージ&レイニーウッドキャスト: 根津甚八/宇崎竜童/松崎しげる/原田美枝子/松方弘樹/松尾嘉代/山崎努/小松方正
(C)東映
54件中31~40件を表示しています。
-
『夢』 黒澤明が、自ら見た夢をもとに撮ったオムニバス。
エンタテインメント邦画ドラマ[年月日 ~ 年月日] -
『おかしな奴』 渥美清が演じる、昭和のモダン落語王、三代目三遊亭歌笑。
エンタテインメント邦画ドラマ[年月日 ~ 年月日] -
『パッチギ!』 井筒和幸監督が60年代の京都を舞台に、日本と在日朝鮮の高校生たちを描く青春ドラマ。
エンタテインメント邦画青春[年月日 ~ 年月日] -
『御法度』 新撰組の世界を大島渚が独自の解釈で描く異色時代劇。
エンタテインメント邦画歴史・時代劇 -
スターと大部屋俳優の男、そして落ち目の女優の奇妙な人間関係。大ヒット人情喜劇『蒲田行進曲』。
エンタテインメント邦画コメディ -
『クイール』、盲導犬と人々との触れ合いを温かいタッチで描く。
エンタテインメント邦画ファミリー -
日本の映画史に残る傑作時代劇『十三人の刺客』。
エンタテインメント邦画歴史・時代劇 -
豪華スターが集結、深作欣二監督が手掛けた
本格的時代劇『柳生一族の陰謀』。エンタテインメント邦画歴史・時代劇 -
横山やすしが怪演。小林信彦の同名小説を映画化『唐獅子株式会社』。
エンタテインメント邦画コメディ[2008年08月01日 ~ ] -
和平か抗戦か。昭和天皇の玉音放送録音盤をめぐる対決を描く『八月十五日の動乱』。
エンタテインメント邦画ドラマ[2008年08月01日 ~ ]
54件中31~40件を表示しています。