懐かしのパソコン通信時代のネット恋愛を描いた『(ハル)』

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20年前、いや15年前でもいい。あの時期に、携帯電話やパソコンによってどれほど通信環境が変化するか、それによって人間関係が変わっていくかを予想できた一般人は、きっと皆無だろう。
才人、森田芳光が、今は懐かしい「パソコン通信」を用いたこの映画が1996年の作品である。あのころ、こうした内容でさえなかなか理解されなかったことを思えば、隔世の感がする。

速見昇(内野聖陽)は「ハル」というハンドル名でパソコン通信を始める。
やがて、参加していた映画フォーラムで知り合った「ほし」と名乗る男と、メールのやり取りをするようになる。互いの顔も本名も知らない関係だ。
そのうちに「ほし」は、実は自分はOL(深津絵里)だと告白する。が、二人は同じようにメールのやりとりをつづけていった。
やがて、「ハル」は「ローズ」というハンドルネームをもつ女性と知り合い、デートを重ねる。一方、「ほし」は仕事先で知り合った男性から求婚される。
こうしたプライベートについてもメールで語り合う「ハル」と「ほし」だったが、ある出来事からその関係が乱れはじめた……。

匿名性に由来するヴァーチャルな対人関係の気楽さ、そして脆さは、幾多の識者が論じているが、すでにこのパソコン通信の時代に、映画で提起されていたのだ。
パソコンに打ち込まれた文字が、ひたすらスクリーンに並んでいく。その単調さにも関わらず、緊迫感に溢れた物語を紡ぎ出せたのは、やはり森田芳光の手腕によるところが大きいだろう。
  • 監督・脚本:森田芳光 企画・製作:鈴木光
  • 出演:深津絵里 :内野聖陽 :山崎直子 :竹下宏太郎 :ほか
  • 年月日 ~ 年月日

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