「テバク ~運命の瞬間(とき)~」チェ・ミンスが演じた第19代王・粛宗は絶対君主の強い王!予告動画

2017年09月24日01時06分ドラマ
(C)SBS

ドラマ「トンイ」ではトンイという名前で登場した崔氏をボクスンという名前で登場させ、崔氏と粛宗の間に生まれ夭逝した第一子が「実は生きていた」という仮説で物語は展開する「テバク」!「トンイ」ではヒロインを優しく見守る王として描かれた粛宗が「テバク」では眼光鋭いカリスマ性のあふれる王として描かれている!では本当の粛宗はどうだったのか?今回は、実在した粛宗をご紹介、予告動画は作品公式サイトを公開中だ。

■粛宗(スクジョン)紹介(生1661年~没1720年)
粛宗は、18代王・顕宗の一人息子で、母は明聖王后・金氏。1661年8月15日に誕生、名前は焞(スン)。1667年に王世子に冊封、1674年8月に13歳で朝鮮国王に即位(在位1674年~1720年)。13歳ならば通常、垂簾聴政を受けるところ、即位してすぐに親政(直接国を統治)を行った。ここからもわかるようになかなか気骨のある人物だったようだ。

粛宗は仁敬王后・金氏をはじめ9人の妻から8人の子を得た。そのうち男児は6人、女児は2人。王子の中の2人が20代王・景宗、21代王・英祖。詳細は【「テバク」を2倍楽しむ】「(2)時代背景 」を参照)

約46年間の統治を終えて1720年6月59歳で死去した。46年の在位は息子で21代王・英祖についで長い。(【朝鮮王朝系図】で確認)

■粛宗の換局政治と王権の安定
粛宗の時代は、西人派と南人派がけん制し合う朋党政治の絶頂期で、激しい派閥争いを繰り返していた。(党派の年表参照。当時の時代背景について詳しくはこちらも「(2)時代背景 」を参照)。
しかし、朋党内部の偏重的な運営により党は破たんしはじめ、顕宗以降続いていた「礼訟論争(れいしょう=イェソン論争)」(礼論)により自己破たんを悪化させた。
※礼訟は礼節に関する論難で、嫡男の長男至上主義だった李氏朝鮮で次男で王位に上がった17代王・孝宗の正統性と関連して、1659年の孝宗が崩御した時と1674年の孝宗妃の仁宣王后の崩御した時の2回にわたって起こった。(詳細は■第17代王・孝宗誕生参照。「礼論」については「馬医」第18代王・顕宗(ヒョンジョン)紹介!礼論論争の渦中に同姓婚も禁止?<で詳しく解説している)
この時、仁祖の継妃の慈懿大妃(荘烈王后、趙大妃)の服が争点になったので「服喪問題」とも呼ばれた。

粛宗は長く続いたこの論争を1680年「庚申換局」(西人が政権掌握)で終らせ、その後1689年「己巳換局」(南人再重用)、1694 年「甲戌換局」(西人が政権掌握)と、3つの換局で弱くなった王権を回復した。

テバク朝鮮王朝第19代王・粛宗(チェ・ミンス)■粛宗は絶対君主の強い王
粛宗は、壬辰倭乱(文禄・慶長の役)以降、15代王・光海君が京畿道に実施した税制“大同法”を拡充し全国的に実施した。(大同法について詳しくは【朝鮮王朝豆知識】「◆大同法」を参照、当時の地図については各時代の地図
※大同法とは、従来の現物貢納を地税に一本化して、両班たちによる中間搾取をおさえ、国家財政の確保をはかった税法。当然“おこぼれ”を頂戴できなくなった両班たちの反発も強かったはず。このあたりは「華政(ファジョン)」第3話で詳しく描かれている。

こうして粛宗は、壬辰倭乱と丙子胡乱の戦火によって荒廃した農村の復旧と枯渇した国家財政を立て直し、民生安定と経済発展に相当な業績を残した。
※丙子胡乱については「華政(ファジョン)」第53話で描かれている。

常平通宝常平通宝(出典:大和文庫)■粛宗が貨幣鋳造事業も本格化
社会全般の整備、復旧作業がほぼ終了したことで商業活動が活性化しはじめた。これを支援するために貨幣の鋳造事業を本格化させ、6回にわたって「常平通宝」を鋳造、通用させた。
粛宗は、光海君の税制や貨幣の定着という政策を引き継ぎ、完成させた王朝最後の強い王であった。この成功が「商道-サンド-」「客主」などでも描かれた朝鮮後期の商業発達と社会経済の発展につながる。
※ちなみにこの常平通宝は日本でも数千円~数万円で取引されている。

■ドラマで描かれる粛宗
粛宗は、衰弱した朝鮮王朝に新風を吹き込んだ絶対君主の「最後の強い王」と言よう。
ドラマ「張禧嬪(チャン・ヒビン)」では名優チョン・グァンリョルが粛宗を演じたが、時にチャン・ヒビン(キム・ヘス扮)に振り回されるデレデレぶりの情けない姿を見せた。「トンイ」ではトンイ(ハン・ヒョジュ扮)を見守るユーモアある優しい粛宗としてチ・ジニが演じた。
「テバク」ではこの粛宗をチェ・ミンスが強いカリスマを感じさせる王として演じた。そう考えると、「テバク」で描かれた粛宗が実在の粛宗像に最も近いのかもしれない。ちなみに「張禧嬪」で粛宗を演じたチョン・グァンリョルが「テバク」では粛宗と敵対するイ・インジャを演じているのも面白い。このイ・インジャも実在の人物、李麟佐。こちらも「(2)時代背景」で触れている。

粛宗が倣った光海君をはじめ、朝鮮王朝歴代の王については【韓流コーナー-豆知識】でまとめて紹介しているので参考にされたい。

kandoratop【作品詳細】【「テバク」を2倍楽しむ】

※参考:
『朝鮮王朝実録 【改訂版】』「第19代 粛宗実録」より

BS日テレ「ドラマ」紹介ページ
 2017.09.25スタート月~金06:00-07:00 再放送
 2017.04.13-05.11 月~金16:00-17:00
「テバク」公式サイト


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