「トッケビ~君がくれた愛しき日々~」に登場する“サンシンハルモニ(三神ハルメ)”とは?

2018年08月21日22時00分ドラマ
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トッケビの冒頭シーンは衝撃的だ…一面のそば畑に突き刺さる一本の剣とその周りを舞う一匹の蝶!東洋では昔から蝶は霊的な使いと考えられることがあり、トッケビの中にも蝶がときどき出現している!その蝶にも増して謎の存在感を表しているのは、冒頭から登場する老婆、その老婆の正体とは何なのか?なお、本作は作品公式サイトで予告動画が公開されている。

ドラマの見どころやキャストのインタビュー、各話のネタバレなしのあらすじ、時代背景や豆知識などは【「トッケビ」を2倍楽しむ】でまとめて紹介している。

■冒頭シーンに現れる謎の老婆
そば畑の冒頭シーンに続き、場面は一転、道端で商いをしている老婆のアップになる。
トッケビ「人の手垢や血が染みたものに魂が宿ると鬼になる。多くの戦争で血を吸った剣が主の血まで浴びたのだから当然のことだ。その剣を抜けるのは鬼(トッケビ)の花嫁ただ一人、剣を抜けば無に帰し安らぐだろう…そして、その鬼(トッケビ)はこの世のどこにでもいて、どこにもいない…」と若い女性ヨンヒ(ウンタクの生母:パク・ヒボン扮)に話す老婆。

明らかに特殊メイクだとわかる老婆には一瞬違和感を覚えるが、その違和感はどうぞそのまま。

「死ぬために花嫁を探すなんて、神は無慈悲ね」というヨンヒに
「神は元々無慈悲なものさ、利己的で嫉妬深くて自分のことばばかりさ」と話す老婆。

確かにギリシャ神話に登場する神々も、人間と同じじゃないかと思えるほど利己的で嫉妬深い。

ヨンヒが立ち去ろうとした瞬間、老婆はヨンヒの腕を掴み、
「生死を行き来する瞬間が来たら、念を込めて懇切に願いなさい。もしかしたら心の弱い神が聞いているかもしれない」と諭す。
その願いを偶然キム・シンが聞き入れ、ウンタクの命が助かったというところが物語の肝でもある。

トッケビこのちょっと不気味な存在感を放っている老婆は、イエル扮する「サンシンハルモニ」という神様だ。
要所要所に出てくるのだが、日本人にとっては馴染みのない神様のため、このサンシンハルモニの存在が終盤まで謎だった視聴者も多いだろう。
老婆だと思ったら、真っ赤なスーツの若い女になったり、この女性はいったい何者?という疑問を抱いたまま、ストーリーは進んでいく。

次にヨンヒが老婆と再会するのは、八年後、自らが魂となってしまってからなのだが、それ以降もこのサンシンハルモニは、ウンタクを守るだめだけはなく度々登場する。

■サンシンハルモニ(サムシンハルモニ)とは?
サンシンハルモニとは、韓国人には馴染みのある韓国神話の女神で「三神(サムシン)」や「産神(サンシン)」と言われ、「サンシンハルミ」「サンシンハルメ」「サンシンハルモニ」などと称される。
妊娠・出産を司る神様で、子供を授け、出産養育まで見守る神様のこと。韓国人の精神的母という面で焦点のあった説話が多く、地域によって伝わり方や祀り方は違う。

おもしろいのは、新生児のお尻にある蒙古斑が、お母さんのお腹から早く出なさい!と、サンシンハルモニが叩いた印だという説もあること。

日本でいう百日祝いにあたるペギル(百日と言う意味)では、三神へのお膳も用意し、祭祀を行うとされている。
そのお膳は、「ワカメ・米・水」という地域もあれば、「ワカメ・米・はさみ・糸・お金」を置く地域もある。
「ワカメ」を欠かさないのは、いかにも韓国文化らしい。

他の韓国ドラマにもたびたび登場するこのサンシンハルモニ。
「僕の彼女は九尾狐」「おバカちゃん注意報」でも、シーンやセリフの中にサンシンハルモニが登場している。

「おバカちゃん注意報」の中でナリ(ソリョン/AOA)が生まれたとき、生まれたばかりのナリに向かって、「不細工だね、本当に不細工だ」と皆で嬉しそうに言うシーンがあるが、それはサンシンハルモニが嫉妬して連れて行かないようにという韓国の慣わしによるものだそう。

劇中では、トッケビや死神が敬意を表しているサンシンハルモニ。トッケビの中で最も大いなる神は、実はこのサンシンハルモニなのだ。
この世に人を誕生させる神なのだから、すなわちトッケビたちも彼女によって作られたことになる。

韓国版(全16話版)では1話と9話でサンシンハルモニとドクファが会うシーンがある。9話では珍しくサンシンハルモニが怒りをあらわにするシーンがあるが、その真相は後半で明らかになる!

ウンタクの卒業式でもサンシンハルモニはとても印象的に登場する。
「苦労が多かったね、お母さんはあなたを誇りに思うよ」と言って綿の花束を渡し、担任教師には叱責の言葉を投げかける。それは、その担任教師をも自らが誕生させたからなのだ。
そこで、ウンタクはサンシンハルモニだと気付く。

韓国人には馴染みのあるサンシンハルモニだが、日本人には少々わかりづらい。
謎の老婆の正体がわかるとトッケビがますますおもしろくなる。

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