韓国ドラマ「100日の郎君様」豆知識:ホンシムのお尻ペンペンの罰とその他の刑罰・拷問

2020年06月07日14時30分ドラマ

DVD-BOX発売中でNHK総合での放送も大好評のド・ギョンス(EXO-D.O.)×ナム・ジヒョン主演で贈る、記憶を失った世子と身分を隠して生きる両班の娘の100日間の愛を描く「100日の郎君様」!ヒロインのホンシムが役所で尻叩きの刑を受ける…今回はこの尻叩きの刑と韓ドラおなじみの刑罰(拷問)について解説、DVD公式サイトで予告動画が視聴できる。

※この記事は第3話詳細あらすじの「豆知識」で紹介した記事をリライト、補足したものです。



「100日の郎君様」は、少年時代に謀反の現場を目撃したために心に傷を持つ完全無欠の冷徹世子が、記憶をなくしてしまったために生活力ゼロの無能男子に転落し、婚期を逃したワケありヒロインと偽装結婚を繰り広げる超話題の韓国時代劇。

刑罰ここにうつぶせになってお尻ぺんぺん
@navicon 龍仁大長今パークにて
第3話冒頭でホンシム(ナム・ジヒョン扮)は、「適齢期を過ぎた男女は結婚せよ!」という世子の出したとんでもない命令に従わないことで、役所、公衆の面前で板の上でうつぶせにされて棒でおしりをペンペンぶたれた。そんなホンシムは婚約者の登場で助かるが、婚約者ウォンドク=記憶をなくしたユル(ド・ギョンス扮)は、歩くこともつらそうなホンシムに手を貸そうともしない。どうやら記憶を失くしても不機嫌で意地悪なところはそのまま。とまれ、このコミカルなお尻ペンペンの刑は朝鮮時代に実際にあった刑罰なのだ。

韓国時代劇にたびたび登場し、「イニョプの道」8話ではヒロインがこれを受刑し、奴婢仲間のみんなが肉を使って痛みを和らげるよう工夫した。「テバク~運命の瞬間(とき)~」(4話/24話版)では主演のチャン・グンソクがヨ・ジングと下着まで脱ぐ賭け事をした罰(もちろん劇中)で、カッコいいお尻を30回もペンペンされた。ちょっと笑えるお尻ペンペンの罰だけど、歩けなくなり死に至ることもある恐ろしい刑罰だ。この尻叩きの刑は“杖刑(じょうけい)”と呼ばれる刑罰(“笞刑(ちけい)”と呼ぶことも)。

刑罰@navicon 龍仁大長今パークにて朝鮮時代は儒教を国是とした法治国家を目指し、高麗時代から続く五刑に基づいて犯罪者に以下のような処罰を与えていた。(五刑とは古代中国の刑罰体系。以下の番号は刑罰の軽い順)
※法治国家と儒教については【朝鮮王朝豆知識】「◆朝鮮経国典と経国大典」と「◆儒教」の項を参照されたい。

①笞刑(태형=テヒョン):細い棒でたたく。回数は、10回、20回、30回、40回、50回の5段階。
②杖刑(장형=チャンヒョン):太い棒で臀部を叩く。回数は、60回、70回、80回、90回、100回の5段階。
③徒刑(도형=トヒョン):一定期間獄に拘禁して、強制的に労役に服させる刑。
④流刑(유형=ユヒョン):罪人を辺境や島に送る追放刑。
⑤死刑(사형=サヒョン):最も重い犯罪を行ったものに科される生命刑。

ところが、これはあくまでも建前。実際には法外刑で拷問をすることがあった。ドラマにも頻繁に出てくる脚を固定し2本の棒で股を割いて骨を折るのもそうしたひとつで“周牢(주리=チュリ)”という。ほかにも膝の上に重い石を置いて骨をつぶす“圧膝(압슬=アプスル)”や入れ墨をする“刺字(자자=チャジャ)”などがあった。「ヘチ 王座への道」の主人公として描かれた第21代・英祖は、こうした法外刑の一部を禁じた(詳しくは「チョン・イルが演じた英祖」の「▼評価と業績▼」を参照)。

刑罰キム・ヘスもイ・ソヨンもここで毒を飲んだ。
@navicon 龍仁大長今パークにて
また、「宮廷女官チャングムの誓い」のオープニングや、三大悪女の一人、チャン・オクチョンをモデルにした「張禧嬪-チャン・ヒビン」ではキム・ヘスがもがき苦しみ、「トンイ」ではイ・ソヨンが美しく毒をのんで命果てた。これは王族や両班(支配層)が王から賜った毒薬を飲んで自死する、死を賜るという処刑法で“賜死”という。身体に傷をつけないことから恩情のある措置であることが多い。日本にも、海外でもよく知られている“腹切り=切腹”があったが、これも“賜死”のひとつ。対象者を武士待遇に扱い、名誉を保証する処刑方法と認識されており、“賜薬”はこれに相当すると考えてもいいだろう。ちなみに賜薬の成分は、ヒ素や硫黄化合物、トリカブトなど。その一方、とても残酷な極刑がある。

※ここから先は、4話以降楽しい展開が続く「100日の郎君様」に似つかわしくない残酷な処刑法の解説です。物語の展開には全く関係していないので、苦手な方は読み飛ばしてくださいね。

“凌遅処斬 (능지처참=ヌンチチョチャン)”という処刑法がある。三つの等級に分けられ、一等級は墓に葬られた死体を掘り起こして胴体、腕、脚など六部分に切り取って晒し、二等級は両手両脚を牛に括り付けられ四方別々に牛を進ませて八つ裂きにする、三等級は存命のまま皮膚を剥ぐという残酷な刑。
「イニョプの道」(3話)「ファン・ジニ」(22話)「光宗大王-帝国の朝-」(93話)で描かれた“車裂(コヨル)”刑というのがこの二等級の刑だ。


「100日の郎君様」は、5月17日からNHK総合にて夜11時から地上波放送しており、今夜6月7日は第4話を放送する。夫婦となったウォンドク/世子ユル(D.O./EXO)とホンシム(ナム・ジヒョン)との傑作新婚生活のなかでウォンドクが詐欺に遭う。

泣いて笑って、胸キュン必至の「100日の郎君様」は、毎週日曜よる11時からNHK総合にて放送。【「100日の郎君様」を2倍楽しむ】では、各話の詳しいあらすじとネタバレなしのあらすじ、見どころ、時代背景やキャストの魅力、豆知識などまとめて紹介している。

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kandoratop【作品詳細】【「100日の郎君様」を2倍楽しむ】