韓国リメイク「サイン」「ボイス110」「TWO WEEKS」第2話視聴率大幅ダウンを考える!

2019年07月27日14時40分ドラマ
(左から) (C)テレビ朝日 (C)NTV (C)カンテレ
「サイン―法医学者 柚木貴志の事件―」大森南朋
「ボイス 110緊急指令室」唐沢寿明
「TWO WEEKS」三浦春馬

今クール、夏ドラマとして好調スタートした大森南朋(47)主演の「サイン―法医学者 柚木貴志の事件―」(テレビ朝日系木曜夜9時~)、唐沢寿明(56=同中)主演の「ボイス 110緊急指令室」(日本テレビ系土曜夜10時~)、三浦春馬(29)主演の「TWO WEEKS」(フジテレビ系火曜夜9時~)が第2話で大幅に視聴率を下げた理由について考えた!各番組サイトで予告動画が公開されている。



「サイン」は、法医学vs.絶対的権力“真実”をめぐる壮絶な戦いを描くメディカルサスペンス。⇒各話ネタバレあらすじ
「ボイス110緊急指令室」は妻を殺された敏腕刑事と父を殺された声紋分析官がタックを組む犯罪サスペンス。⇒各話ネタバレあらすじ
「TWO WEEKS」は殺人容疑の濡れ衣を着せられた男が、白血病の娘のために2週間に及ぶ逃亡劇を繰り広げるサスペンス。⇒各話ネタバレあらすじ

■韓国リメイク総崩れか?
「サイン」は初回平均視聴率が今クール暫定トップの14.3%から第2話は9.5%と4.8ポイントの大幅ダウン。「ボイス110」も12.6%の好スタートから8.4%とこちらも4.2ポイント減。そして「TWO WEEKS」に至っては、初回8.4%が第2話で5.9%と大苦戦を強いられている。(数字はいずれもビデオリサーチ、関東地区調べ)
だが、大幅ダウンした第2話を関西地区で調べるとそれぞれ「サイン」12.6%、「ボイス110」9.9%、「TWO WEEKS」に至っては10.2%と初回から2ポイント上げて二ケタ達成。WEBでささやかれる「韓国リメイク総崩れ」とはいえない。

■リメイク版はよくできた原作ダイジェスト版
第1話、2話まで見たところ、3作共実に原作に忠実にリメイクされている。とはいえ、全16話・20話×週2回放送の韓国版をリメイクするためには、過去の回想シーンや事件の経緯などを簡略化して描くしかない。そうした意味で、今作は“韓国ドラマのダイジェスト版”として上手くリメイクしている。だが、その結果どうしても“薄っぺら感”が否めない。

■視聴率ダウンの要因は?
「サイン」で景(飯豊まりえ)が襲われるシーンは第2話で数分で描かれたが、韓国版では第6話~7話にかけてジワジワ視聴者を怖がらせる。また、設備の揃っていない埼玉中央医科大学で景がカラオケのブラックライトを思いつくが、韓国版第4話ではその前にカラオケに繰り出すシーンがあり、主人公(柚木/ユン・ジフン)のコミカルな一面も描かれ、口が悪いだけでない人間味溢れる主人公の一面もみられる。

韓国ドラマではこうした前フリが実に多く、「ボイス110」第2話では屋上でひかり(真木よう子)が樋口(唐沢)に全てを告白するシーンがあるが、この屋上が原作通りなら最終回の重要な場面となるはず。

「TWO WEEKS」大地(三浦)がバイクで逃走するシーンでは、韓国版では手錠につながれたままの見事な片手ハンドルで主人公(イ・ジュンギ)の半端ない身体能力を予感させ、トラック以外にも忍者よろしくストローを使って隠れたり、序盤から警察との逃走劇に引きつけられる。

ここに紹介したエピソードはどれも事件の本質には関係ない。だがこうした肉付けが韓国ドラマの醍醐味であり、ダイジェスト化したことでドラマの魅力を半減させてしまった。その結果、原作ファンは「やっぱり韓ドラがいい」となり、病院&刑事ドラマの目が肥えている日本のドラマファンからすれば、「リアリティ無視で観る気がしない」「ありえない」といわれるゆえんかもしれない。特に「サイン」を放送するテレビ朝日は「相棒」や「科捜研の女」「ドクターX」など病院&刑事ものでいくつものヒットシリーズを出しているだけに、リアリティを求める視聴者にそっぽを向かれたのかもしれない。今クールではフジ月9「監察医 朝顔」が同ジャンルで健闘しているだけに気が抜けない。

3作品の中でダイジェストではなく比較的原作通りに展開している「ボイス110」では、韓国版第3話を丸ごとカットしている。この事件は凄惨な児童虐待を描いており、昨今ニュースで取り上げられる児童虐待事件を忖度してカットしたのではないかと筆者は考えている。ただ、この回で主人公(唐沢/チャン・ヒョク)のずば抜けた捜査能力とヒロイン(真野よう子/イ・ハナ)との抜群のコンビネーションも見られ、この先二人が最高のバディとなるのを予感させる回だけに、なんとも惜しい。その一方で、アクションまで忠実に再現し過ぎてチャン・ヒョクのキッレキレの動きに比べて唐沢の走りやアクションがどうしても見劣りしてしまい、視聴者が離れたのかもしれない。
※この事件は、日本版では10日(土)第5話で放送されることが分かった。

■脇役へのバッシング
主役3人の評価が高い中、辛口コメントが集中しているのが、「サイン」松雪泰子、「ボイス110」真木よう子、「TWO WEEKS」芳根京子のヒロイン3人だ。中でも真木の滑舌の悪さとわざとらしい低音発声への苦情はSNSにあふれており、俳優交代を希望する声まで飛び出す始末。確かにあのしゃべりでは電話で被害者と話したり、無線でチームに指示を出すのは難しいかもしれない。

「サイン」新米検事役の芳根の演技についても、プロフィールにあるようなストレートで司法試験に合格した秀才には見えないと、手ひどいコメントが続出。今後ますます重要になっていくだけに心配が残る。ちなみに韓国版ではもう少し大人の女優で演技力にも定評のあるキム・ソヨンが演じている。

そして気の毒なのは「サイン」の松雪だ。彼女の演技力には全く文句のつけようがない。だが、制作サイドが韓国ドラマの世界観を残そうとしたあまり、警察キャリアとしてありえないファッションや目を覆いたくなる酒癖の悪さなど、松雪本人ではどうしようもないところで叩かれている。



■今後の展開に期待値大!
「世界水泳」放送のために今週の「サイン」は休止だった。今夜27日(土)放送の「ボイス110」からそれぞれ3話に突入する。

アクションは見劣りするものの久々の唐沢のシリアスな演技は見ごたえたっぷりだし、韓国版「ボイス112」の恐ろしさはとても地上波ゴールデンタイムに放送できる作品ではない。「ボイス110」はゴールデンタイムぎりぎりのラインで上手くリメイクされており、原作が見れなかった方にもお勧めしたい。第3話以降、非情なシリアルキラーもベールを脱いでいくだけに見逃せない。

「サイン」では西田敏行のライバルが仲村トオルというところにちょっぴり年齢定期な違和感が残るものの、今後一概に善悪では語れない兵藤(西田)の罪や伊達(仲村)の使命感なども描かれるはず。柚木(大森)を交えた3人の葛藤と対決も楽しみだ。

3作の中で後れを取った「TWO WEEKS」だが、関西地区での支持は高く、特に演技力や主題歌まで担当した三浦の存在感は絶賛されている。

さあ、そんな3作の巻き返しを期待しつつ、今後の展開を見守りたい。

ドラマを見逃した方は「テレ朝キャッチアップ」「hulu」「FOD」などで見逃し配信中!また以下のページで日本版、韓国版のネタバレあらすじを紹介しているので、参考にどうぞ。

【日本版】
「サイン」【ボイス】【TWO WEEKS】

【韓国版】
【「サイン」を2倍楽しむ】
【「ボイス112」を2倍楽しむ】
【「TWO WEEKS」を2倍楽しむ】

テレビ朝日「サイン―法医学者 柚木貴志の事件―」番組公式サイト
日本テレビ 新土曜ドラマ「ボイス 110緊急指令室」番組公式サイト
カンテレ・フジテレビ「TWO WEEKS」番組公式サイト