「ヘチ 王座への道」チョン・イルが演じた延礽君は、民に愛された朝鮮王朝第21代王・英祖!

2019年11月05日01時20分ドラマ
©SBS

韓国ドラマ「ヘチ 王座への道」劇中登場する人物と史書などに伝わる実像とを比べて見た!今回はチョン・イルが演じた延礽君(ヨニングン)、後の朝鮮王朝第21代王・英祖(ヨンジョ)を紹介、予告動画は番組公式サイトで公開している。

「ヘチ 王座への道」は、不遇の王子が仲間に支えられて王(英祖(ヨンジョ))として、司憲府(検察組織)を改革して世の中を立て直していく人気時代劇。題名の「ヘチ」は、善悪を見極める力を持つ伝説の動物のこと。
【「ヘチ」を2倍楽しむ】では、「エピソード0」としてドラマの始まる前と老論(ノロン)派、少論(ソロン)派、南人(ナミン)派について、韓国での評判などまとめて紹介している。



■「ヘチ」で描かれる延礽君/イ・グム(チョン・イル)は?
19代王・粛宗の次男で、頭脳明せきで武芸にも長け、冷静な判断力を持つ。世子でイ・ユン、イ・フォンとは異母兄弟。側室だった亡母は、宮廷で水くみをしていた低い身分出身の女性だったために、朝廷の重臣たちから軽視され、自らも王位継承や政治に関わらぬように遊び人として生きてきた。
ヘチ第21代王・英祖/延礽君/クム
 (チョン・イル扮)
★チョン・イル(1987年9月9日生、184cm)
2006年の映画『静かな世界』で俳優デビュー。同年シチュエーションコメディ「思いっきりハイキック」で反抗期の高校生役で大ブレイク。時代劇「美賊イルジメ伝(帰ってきたイルジメ)」(09)に主演、「私の期限は49日」(11)でイケメン・スケジューラー(死神)というユニークなキャラクターを好演し大きな注目を集める。その後も「ステキな片思い」(15)、「シンデレラと4人の騎士」(16)などでに主演。身長184cm、長い手足の塩顔イケメンのチョン・イルは韓服も完璧に着こなし、時代劇でも「太陽を抱く月」「夜警日誌」で確かな演技力と時代劇アクションで魅せ、韓国ドラマ界における“視聴率保証小切手”と呼ばれた。


■朝鮮王朝第21代王・英祖(生1694年~没1776年)
延礽君は、19代王・粛宗と側室・淑嬪(スクピン)崔氏(チェシ)の次男で、名は昑(クム/グム)。幼い頃は生母の身分が低いことで蔑視されたが、異母兄の景宗が王位に就くと、老論に指示されて世弟に。だが当時は権力闘争が激しく、延礽君は反対勢力の少論から何度も命を狙われた。粛宗の3番目の王妃・仁元王后(インウォンワンフ)金氏(キムシ)のお陰で命拾いし、その直後、景宗が急死する。景宗に子がいなかったために、1724年延礽君が31歳で即位、21代王・英祖になる。王位に就いても生母の出自に対するコンプレックスと、景宗を暗殺したという噂に悩まされた。即位4年後には、李麟佐ら少論の過激派と南人派が昭顕世子の曾孫・密豊君(ミルプングン)をかついで反乱「李麟佐の乱」を起こすが、失敗に終わった。民に寄り添う庶民派の王で、党派の舵取りもこなし名君と称されたが、派閥の思惑で息子の思悼世子を疑い、米びつで死なせてしまった(詳しくはこちら)。83歳まで長生きし、在位期間は52年と歴代王の中で最長(1724年~1776年)。
▼家族▼
英祖には6人の妻から二男七女をもうけたが、正妃と継妃からは子どもが生まれなかった。米びつで死なせてしまったのは、映嬪(ヨンビン)趙氏(チョシ)の子、思悼世子/荘祖で22代王・正祖の父にあたる。
▼実像とドラマの違い▼
【ドラマの年表:朝鮮王朝篇】を見ればわかるように英祖の治世を舞台にしたドラマは実に多い。「イ・サン」で晩年の英祖を名優イ・スンジェが渋く演じ、「テバク~運命の瞬間」ではヨ・ジングが若々しく演じている。だが、キム・イヨン作家が描いた英祖は既存の英祖とは全く違う。「ヘチ」では熱血青年パク・ムンスと司憲府に仕える女性ヨジ、町のごろつきタルムンら仲間たちに支えられ、遠く険しい王座への道を歩く。その姿はキム作家が描いた「イ・サン」の正祖がホン・グギョンやパク・テスたちとの友情とソンヨンとのロマンスを彷彿とさせる。(参:韓国での評判
▼評価と業績▼
父王・粛宗は政権交代(換局)で王権を強化したが、英祖は「ヘチ」でも描かれる乱(1728年、李麟佐の乱)でも首謀者だけを処刑して、党派に偏らない人材登用「蕩平策」で党争を押さえ王権の強化に努めようとした。罪人に対しても、膝の上に重い石を置いて骨をつぶす惨い圧膝刑を廃止(1725年)し、死刑執行に関しても必ず初審、再審、三審を受けさせる「三覆法」を実施(1729年)して、死刑執行に慎重を期すなど、罪人の人権に対しても新しい考え方をした。民衆が自身の無実を王に直接訴えられる申聞鼓制度を復活させたのも英祖だ。他にも民の負担を軽減させる「均役法」や、「公私賤法」を定めて賤民出身の義務と権利をはっきりさせ、庶子とその子孫も官吏として登用できるように改革もした。こうして農業や商業も発展し民の暮しも豊かになり、次の王・正祖時代と共に朝鮮のルネッサンス期と呼ばれた。臣下たちの忠誠心を試すために8回も譲位宣言もしている。

【「ヘチ」を2倍楽しむ】では今後も、実在人物の紹介や豆知識、各話の詳しいあらすじと見どころなどまとめて紹介していく。



NHK「ヘチ 王座への道」番組サイト
 2019.11.10スタート 毎・日21:00~22:00
Youtube|SBS NOW予告動画(日本語字幕なし)

kandoratop【作品詳細】【「ヘチ」を2倍楽しむ】