『許された子どもたち』緊急事態宣言解除後、初の新作公開|内藤瑛亮監督が劇場公開にこだわった理由とは?

2020年06月02日11時45分映画

コロナの影響で公開が延期となっていた映画『許された子どもたち』が6月1日(月)映画の日に無事、東京ではユーロスペース、大阪ではテアトル梅田にて公開を迎え、これを記念し、ユーロスペースにて内藤瑛亮監督が舞台挨拶を行った!オフィシャルレポートが到着したのでご紹介、予告動画は公式サイトで公開している。



緊急事態宣言解除後、新作映画の公開は唯一本作のみ。そして初の舞台挨拶となった。当日は、コロナ対策に配慮し客席を1席ずつ空けての上映の為、通常の半数の観客となったがユーロスペース、テアトル梅田ともに満席スタートの好発進となった。

『許された子どもたち』は1993年「山形マット死事件」や、2015年「川崎市中1男子生徒殺害事件」など実際に起きた複数の少年事件に着想を得たオリジナル作品。『先生を流産させる会』『ライチ☆光クラブ』『ミスミソウ』など、その衝撃的な内容により作品が発表されるたび物議を醸す監督・内藤瑛亮が8年の歳月をかけて構想し、自主映画として完成させなくてはならなかった問題作である。⇒作品詳細

【許された子どもたち・初日舞台挨拶】
■日時:6月1日(月)18:30~
■場所:@ユーロスペース
■登壇:内藤瑛亮監督

こんにちは。監督の内藤瑛亮です。こういった状況の中、初日にかけ つけて頂き、ありがとうございました。緊急事態宣言が解除され、ステップ2へ移行して、ようやく本日公開日を迎えることが出来ました。本作は 韓国で開催されている全州国際映画祭に出品しているのですが、オンライン開催となったので、スクリーンでの上映という意味では本日がワールドプレミアとなってます。

許され当初は5月9日(土)に公開するつもりでしたが、緊急事態宣言が延長となり、本日6/1に延期となりました。しかし果たして6/1に公開出来るのか不安はありました。延長ととなったものの、再延長する話もありましたし、再延長・解除の基準は示されず、突如ステップ2に映画館が組み込ま れ て たり、振り回されました。配信することも考えました。しかしすべての映画がそうであるように、映画は「映画館でしか見えないもの」「映画館でしか聞こえないもの」を追求してつくっています 。

僕たちは 映画館だからこそ意味を持つ芝居・映像・音を目指して、撮影現場でも仕上げでも取り組んでいます。アップに映った眼のささやかな動きやロングショットにポツンと佇む人物や暗闇の奥にあるもの、それは映画館でしか見えません。映画館でしか鳴らせない低音や爆音もあります。配信を選択してしまうと、その映画作品の本来の姿を観客に見せること・聞かせることが出来ません。『許された子どもたち』を映画館で上映する作品としてつくったキャス ト・スタッフのためにも、本来の姿を見せたい・聞かせたいと思って、映画館での上映に拘りました。

大幅に延期することも考えました。感染対策のためすべての客席は使えません。映画館に行くことを控える人も少なくない。客足が回復したころに公開する方が興行的には有利です。ただし大幅延期した場合は、宣伝・配給の予算がかさみます。こういった小さい映画は、大幅延期する経済的体力がありません。それに公開を延期した作品が渋滞している現在では、大幅延期によって上映期間・上映回数の面で不利になる可能性があります。

そして、ミニシアターに新作がなくなってしまうことも問題に感じました。新作が公開されて、観客が劇場に向かう。そういった慣習が失われてしまいます。多くのミニシアターが経営的に厳しいなか、営業してきましたが、公的な支援もないまま、大幅延期したときに、持ちこたえられない危険性もあります 。ミニシアターを守るためにも、新作を届けることには意義があると思い、解除後すぐ公開という選択をしました。

映画館という存在に救われた、という想いもあります。僕は鬱屈とした暗い思春期を過ごしていました。精神的にしんどかったその頃、僕の逃げ場所となったのは映画館でした。僕には友達がいませんでした。でも、映画館で好きな作品と出会うと、この作品を好きな人がこの世界のどこかにいると考えると、孤独感が和らぎました。映画館があったから、これまで生きてこれたと思います。

コロナ対策において、映画や映画館よりも優先するものがあると思う方もいるかもしれません。しかし映画館によって救われた心もあります。映画館を救うことは、この世に彷徨う荒んだ心を救うことだと思います。伝えたいことはすべて作品に詰まってます。ご覧頂ければ、すべて分かると思っています。本日はご来場ありがとうございました 。あなたの子どもが人を殺したら、どうしますか?

6月1日(月)よりユーロスペース、テアトル梅田にて絶賛公開中!
~以降全国順次公開~
6月12日(金)より京都・出町座
6月20日(土)より神戸・元町映画館、広島・横川シネマ
上映決定 名古屋シネマスコーレ、横浜シネマ・ジャック&ベティ、宮崎キネマ館、別府ブルーバード劇場


『許された子どもたち』
主演:上村侑
出演:黒岩よし、名倉雪乃
阿部匠晟、池田朱那、大嶋康太、清水凌、住川龍珠、津田茜、西川ゆず、野呈安見、春名柊夜、日野友和、美輪ひまり、茂木拓也、矢口凜華、山崎汐南、地曵豪、門田麻衣子、三原哲郎、相馬絵美
監督:内藤瑛亮

映画『許された子供たち』公式サイト