ヨ・ジング主演「王になった男」、映画版との違い:ハラハラドキドキ・胸キュンが止まらないドラマチックな展開

2020年10月17日22時30分ドラマ
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DVD-BOX3が2020年10月2日に発売となり、全話揃ったヨ・ジング主演韓国ドラマ「王になった男」は、映画のリメイク版だが、第5話(全24話版、全16話版の第3話)あたりからドラマオリジナルストーリーが本格的に始まる!今回は映画版との大きな違いについて紹介、予告動画は公式サイトで視聴できる。

4話までのネタバレ一部あり。【「王になった男」を2倍楽しむ】では、各話のあらすじと見どころや韓国での評判、主人公のモチーフになった朝鮮王朝の王・光海君についてなどをまとめて紹介している。



王になった男イ・ホン役(ヨ・ジング)■史実から架空の設定へ
「王になった男」は、暗殺に怯える王の身代わりになった男の、禁断の愛と数奇な運命の壮大な韓国時代劇。
イ・ビョンホン主演の映画の原題は『光海、王になった男(광해, 왕이 된 남자)』。タイトルからもわかるように朝鮮王朝第15代王である光海君の治世を背景に、王や都承旨、王妃など実在の人物をモデルとして描いている。
一方ドラマ版は映画版のリメイクでありながらも登場人物を架空としている。これによって史実に縛られ過ぎずに、よりドラマチックな展開に仕上がっている。⇒押さえておくべき登場人物8人の人物設定とキャスト紹介

王になった男【映画版】(C)2012 CJ E&M CORPORATION
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■替え玉の立案者
暗殺に怯える王というのは同じだが、替え玉作戦を思いつくのは、映画版は王で、自分にそっくりの人物をさがすように都承旨に命じ、その後の計画についても王が主導権を握っている。
一方、ドラマ版では都承旨がたまたま王を愚弄する道化師を見かけ、懲らしめようとして仮面を取ったら、「王と瓜二つ!」だったことで計画を思いつく。ドラマの影の主役ともいえるのが2人の都承旨だ。

王になった都承旨イ・ギュ役(キム・サンギョン)■名前違いの都承旨
替え玉となる道化師はどちらも“ハソン”という名前だが、王の側近でドラマの陰の主役ともいえる都承旨の名前が違う。ドラマでは“イ・ギュ”だが、映画では“ホ・ギュン”。映画版のホ・ギュンは光海君時代に実在した許筠をモデルにしている。なぜわざわざ名前を変えたのか?
イ・ギュは“陰の主役”とも言える人物だが、決して“正義”の人ではない。何事も独断で決めて、ハソンを道具のように利用し、王妃を見捨てようとしたりする。ネタバレになるので詳しくは書けないが、民のための国造りのためとはいえ、この先、臣下として絶対にやってはいけないことをする。そんなイ・ギュを政敵である奸臣シン・チスは「同じ穴の狢(むじな)」呼ばわりする。だが、“影の主役”をイ・ギュに代えたことで、主役であるハソンの“絶対正義”が引き立ち、ドラマ版のストーリーは広がり、映画版との違いを明確にすることに成功したのではないか、と筆者は考える。正悪で割り切れないのもまた時代劇の醍醐味の一つだ。この後、イ・ギュが“正義の人”ハソンとどうかかわり、どんな人生を選ぶのか?
※ちなみに、許筠は光海君から厚い信任を得て明の使臣としても活躍したが、庶子差別や身分階層を打破しようとした革命家であり、小説『洪吉童』の著者でもある。ドラマ版4話で、イ・ギュの師匠として”キル・サムボン”の名前が出てくる。イ・ギュはキル師匠に学んで、民のための政治をめざした人物として登場するが、筆者はこのキル・サムボンこそが許筠のことではないかと考えている。韓国人の名字で“キル”で思いつくのは“吉”…小説『洪吉童(ホン・ギルドン)』主人公の名前だ。許筠については都承旨の師キル・サムボンは、映画の都承旨?実在の許筠(ホ・ギュン)紹介!紹介している。

王になった男宣化堂:ソン・ファダン役(ソ・ユンア)■オリジナルキャスト
映画版では実在の時代背景だけに大北派といった党派(参考:党派の表)もセリフの中に登場するが、ドラマ版では王に敵対する勢力として“大妃一派”“シン・チス一派”が登場する。ドラマではシン・チスの姪で側室の宣化堂が登場する。都承旨イ・ギュを支えるウンシムという芸妓やイ・ギュが目をかける数学の天才チュ・ボゴルも、ハソンの妹ダルレもドラマオリジナル人物だ。
また、両方に登場する毒味係の女官だが、ドラマ版ではケファという名前で、ハソンが妹ダルレと同じ年ということで目をかける。
映画版ではサウォルという名前でより重要な人物の一人として登場する。サウォル役は映画『新聞記者』で日本アカデミー賞最優秀女優賞を受賞し、10月現在放送中の連ドラ「七人の秘書」にもメインキャストの一人として出演しているシム・ウンギョンが演じている。

王になった男王妃:ユ・ソウン役(イ・セヨン)■王妃とハソンの関係
ドラマと違って約2時間で結末する映画版では、王妃(中殿)とハソンの関係についてロマンスまでの展開には至らない。ネタバレになるので詳しくは書けないが、映画版の王妃は一度はハソンにかけられた偽物疑惑を体をはって(?)払ってやるが、その後、確かめるためにトラップを仕掛ける。肝っ玉の大きいところも持ち合わせている王妃は「トンイ」のハン・ヒョジュが気高く演じている。
一方ドラマ版ではたっぷりのロマンスを仕込んだ後で、王が偽ものだと気づいてしまった王妃が、ある言葉を言わせることで本物だと信じたいという悲恋を展開する。演じたのはヨ・ジングと同じく子役出身のイ・セヨン。ハン・ヒョジュとはまた違う、まだ青さの残る気品と恋心に揺れるヒロインを好演している。
王妃の肉親が無実の謀反で罰せられるが、映画版では王妃の兄という設定が、ドラマ版では父親になっている。父親にしたことでまたドラマチックなエピソードが増えた。

王になったハソン役(ヨ・ジング)■ハソンの描かれ方
映画版では、ハソンがある事から民のための国づくりをしたいと強く願う。ハリウッドでも活躍するイ・ビョンホンが演じただけに、お髭もはやして下品な言葉遣いや雅な言葉遣い、また漢陽の方言など自在に使い分け、堂々とした偽の王になりすましている。時にはリュ・スンリョン演じる都承旨をからかったりもする。ちなみに2人は同じ1970年生まれの同じ年。当時、油の乗り切った40歳くらいの年齢だ。
一方、ドラマ版では1997年生まれのヨ・ジングと1971年生まれのキム・サンギョン。20歳そこそこのヨ・ジング扮するハソンはひたすら都承旨を怖れ、羽交い絞めにされたりもする。映画版ラストではハソンと都承旨の大人の関係が見どころだったが、ドラマ版では見くびっていたハソンの人柄と王材(王としての資質)に都承旨が次第に惹かれていくのが見どころだ。また、映画・ドラマ両方でチョ内官役を演じたチャン・グァンとの親子のような触れ合いもドラマの見どころの一つ。キム・サンギョンやチャン・グァンとの素敵なケミ(相性の良さ)は若さと演技力を兼ね備えたヨ・ジングだからこそ作りだせたもの。視聴者も「イ・ビョンホンは少し太々しい感じならば、ヨ・ジングは可愛らしい感じ」と、ヨ・ジングが見せた演技に魅了されたようだ(韓国での評判より)。

2時間という制約の中で喜怒哀楽のすべてを詰め込んだ映画版に対して、たっぷり時間をかけて登場人物の背景からロマンスまで描いたドラマ版。
「王になりたかった」映画版のハソン「愛する人のために王を続けた」ドラマ版のハソン、どちらも素晴らしい作品だ。

いよいよドラマオリジナル色が強くなる「王になった男」第5話は、テレビ東京で10月19日(月)8時15分から放送する。これまでのあらすじと見どころは【「王になった男」を2倍楽しむ】でまとめている。
映画版は以下の配信サイトで視聴できる。



■キャスト【押さえておきたい登場人物8名の人物設定】
王 イ・ホン(2役):ヨ・ジング
道化師 ハソン(2役):ヨ・ジング
王妃 ユ・ソウン役:イ・セヨン
都承旨 イ・ギュ役:キム・サンギョン
妓女 ウンシム役:チョン・ヘヨン
チョ内官役:チャン・グァン
左議政 シン・チス役:クォン・ヘヒョ
護衛武士 チャン・ムヨン役:ユン・ジョンソク

「王になった男」作品公式サイト

kandoratop【作品詳細】【「王になった男」を2倍楽しむ】