11.28(土)映画『滑走路』Sano ibuki登壇トークイベントレポート&写真公開

2020年11月29日11時12分映画

32 歳の若さで命を絶った歌人・萩原慎一郎による初の歌集にして遺作となった「歌集 滑走路」を映画化した『滑走路』が11月20日(金)より全国公開中で、これを記念して昨日28日(土)に主題歌を担当したSanoibuki、本作の出演者である寄川歌太、木下渓、本作で商業映画デビューを飾った大庭功睦監督が登壇し、トークイベントを実施した!オフィシャルレポートが到着したのでご紹介、予告動画はYoutubeにて公開中だ。



『滑走路』は、数々の話題作に出演する水川あさみが扮する翠(みどり)、実力派俳優として活躍目覚ましい浅香航大扮する若手官僚・鷹野(たかの)、そして新人・寄川歌太が扮する中学二年生の学級委員長たちの心の叫びを抱えて生きる3人のメインに非正規、いじめ、過労、キャリア、自死、家族―現代を生きる若い世代が抱える不安や葛藤、それでもなお希望を求めてもがき生きる姿を鮮烈に描き出す。
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『滑走路』公開後トークイベント
日時:2020年11月28日(土曜日)15:15 ~15:45(13:15の回上映後)
会場:テアトル新宿(東京都新宿区新宿3-14-20 新宿テアトルビルB1F)
登壇者:Sano ibuki、寄川歌太、木下渓、大庭功睦監督


滑走路本編上映に続き、大庭監督が演出を手がけ、寄川&木下が出演した主題歌MV『紙飛行機』がこの日初めてスクリーンで上映されると、客席からは大きな拍手が。その後、ステージにあがった大庭監督は「今日は舞台挨拶ということで、やる気満々だったんですが、皆さんと一緒に(客席後方で)MVを見て、感動してしまって腑抜け状態です。すみません、自分で作っておきながら(笑)」と感無量の面持ち。また、木下は本作の舞台挨拶に初めて登壇し「めちゃくちゃ緊張している」、Sanoにとっては人生初の舞台挨拶だといい「手汗が止まらず、マイクが落ちそう」とそれぞれ緊張を隠せない様子だった。

映画の封切り後、周囲からさまざまな声が聞こえているといい、「自分で結構エゴサするんですけど、見てくださった皆さんの心に残るものがあったり、演者さんのお芝居がすごく良かったと(レビューなどで)書いてくださる人も多くて。社会派の映画なので、見るのに一歩踏み出す勇気が必要かもしれませんが、見終わって、感じたことを発信してもらえるのは、すごくうれしい」(寄川)、「私もネットなどで映画のレビューを見るんですが、たくさんの方々に見ていただきたいという気持ちがあったので、(さまざまな反響があり)うれしい」(木下)と揃って誇らしい表情を浮かべていた。

滑走路共演した印象については、寄川が「そうですね、(木下は)天然なんで(笑)。何を考えているか分からないというか、思ったことをすぐ発信する」と明かすと、当の木下は思わず「えっ?」と声をあげ、「私にとっては勉強になることばっかりで、寄川さんとお話するのも楽しかったですね」と振り返っていた。
寄川(幼馴染を助けたことからをきっかけにいじめの標的になってしまった中学二年生の学級委員長役)と木下(一枚の絵をきっかけに学級委員長とささやかな交流を始めるクラスメイト・天野役)は、ともに約500人が応募したオーディションから起用された。

起用理由について、大庭監督は「歌太くんは最初からズバ抜けて芝居がうまかった。体全体を使って、目の奥まで芝居していて、この子は間違いないと思った」「渓ちゃんは、最初に会ったとき、声が枯れていて(笑)。『声枯れているの?』って聞いたら、『あっ、そうっす、すみません』って帰っていって…。こいつ大物だなと(笑)。第一印象から決めていました」と語った。

滑走路主題歌を担当したSanoは映画について「すごくいい意味でやるせない気持ちになり、希望や絶望をパンと突きつけるだけじゃなく、じんわり香ってくるものを感じて、リアリティに胸打たれる瞬間が多かった」と回想。大庭監督との対話を通して、主題歌『紙飛行機』は生まれたといい「自分と映画の接点を追求しながら、完成した曲。監督とお会いしてお話をしながら“紙飛行機”という題名にしようとその場で決めました」と誕生秘話を披露した。

大庭監督が「柔らかさ、憂い、温かさが同居している。声の質が、この映画に合っている」と絶賛すると、Sanoは「自分の声はむしろ苦手で。なので、自分の声は曲を邪魔せず、曲を際立たせることに徹したいと思っている。映画に合っていると言われるのはうれしい」と喜びのコメント。自身も出演しているMVについては「大庭さんがアットホームな撮影環境を作ってくれた。ストーリー性があり、自分でも知らなかった『紙飛行機』の一面を知ることができてうれしい」と話していた。撮影現場では、ギターの弾き語りに挑戦した木下にSanoが手ほどきをする一幕があったというエピソードも。また、MVに登場するダンスは、一部寄川が自ら振付を考案したのだという。監督からの要望を受け「出来ますよ」と豪語した寄川の振付に、大庭監督が「悔しいけど良かった」と漏らす場面もあり客席からは温かい笑いが起こった。

舞台挨拶の締めくくりとして、寄川は「人それぞれ感じることも考え方も違うと思うんですけど、(映画を通して)何百通りの考えが浮かんでくると思うんです。それを希望に変えて、余韻を味わっていただければ」と真摯に挨拶。木下は「辛い思いをして、立ち直れないと思っても、それがいつか『自分の滑走路だった』と思える時が来ると思います。見てくださった皆さんにも、そう感じてもらえれば」とメッセージを送った。

滑走路また、Sanoは「今、僕は24歳なんですが、きっと30歳、40歳、はたまた80歳、100歳になったとき、見え方が変わってくると思いますし、そういう作品に参加できてうれしい」。大庭監督は「ご覧くださった皆さんが、それぞれ自分の問題として捉えてくださり、とてもうれしいです。作り手としての責任も生じる一方、見ていただくことで、自分にもいろいろなものがもたらされた。この場を借りて、改めて感謝を申し上げたい」と本作への強い思いを吐露。客席からも歓声に代わり、大きな拍手が沸く中、舞台挨拶は幕を閉じた。

『滑走路』公式サイト予告映像

水川あさみ、浅香航大、寄川歌太
木下渓、池田優斗、吉村界人、染谷将太
水橋研二、坂井真紀
原作:萩原慎一郎「歌集滑走路」(角川文化振興財団/KADOKAWA刊)
監督:大庭功睦 脚本:桑村さや香
主題歌:Sanoibuki「紙飛行機」(EMIRecords/UNIVERSALMUSIC)
撮影:川野由加里 照明:中村晋平 録音:西正義 
装飾:小林宙央 音楽:永島友美子
編集:松山圭介 VFX:田中貴志 助監督:桜井智弘 制作担当:赤間俊秀
製作:「滑走路」製作委員会、埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ、制作プロダクション:角川大映スタジオ、デジタルSKIPステーション
配給:KADOKAWAc2020「滑走路」製作委員会PG12

『滑走路』公式サイト