「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」タイトルの意味と題材になった『ピョンガン王女とバカのオン・ダル』って?

2021年09月05日12時00分ドラマ
©2021 Victory Contents Co., Ltd. All rights reserved

10月31日(日)からNHKBSプレミアムにて日本初放送が決定し、注目が集まっている「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」、今回はタイトル「月が浮かぶ川(달이 뜨는 강)」の意味と、物語のモチーフになった韓国では誰もが知る『ピョンガン王女とバカのオン・ダル』を紹介、Youtubeにて日本語字幕なしの予告動画が視聴できる。



「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」は、三国時代の高句麗(コグリョ)を舞台に、国を守るために戦う王女と純朴な青年の真実の愛の物語。

【太陽を抱く月】(全20話)ドラマ紹介(c)2012MBC■タイトルの意味
韓国では“太陽=王”、“月=王妃”と例えることが多く、タイトルにそうした意味を持たせた「太陽を抱く月」が大ヒットしている。とすると本作の「月が浮かぶ川」の“月”も王妃…?と考えがちだが、このドラマには当てはまらない。本作のタイトルは主人公2人の名前からきている。男性主人公=オン・ダル(温達)、女性主人公=ピョンガン(平岡)のそれぞれ“達=달”“岡=강”と同じ音の“月”と“川”に当てた。“夫が妻のおかげで浮かぶ=内助の功”と解釈できるが、そんな主人公たちは韓国でもっとも有名な夫婦をモチーフに描かれている。
※“太陽=王”、“月=王妃”と例えについては「オクニョ」第29話見どころで詳しく説明している。

■モチーフになったのは世紀の逆玉物語
日本でもよく知られている韓国の昔話として、妓生の娘と両班の息子の身分を越えた恋愛物語『春香伝』や名門貴族の子だが庶子のために差別され育った少年がやがて義賊となり朝鮮全土に神出鬼没の大活躍する『洪吉童伝』などがドラマの題材にもなっているが、他にも親孝行物語の『沈清伝』や兄弟愛の『興夫伝』、夫婦の物語『‘馬鹿’温達と平岡姫』がある。この『‘馬鹿’温達と平岡姫(ピョンガン王女とバカのオン・ダル)』こそが、ドラマ「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」の題材になった昔話。日本で内助の功といえば『山之内豊一の妻』が有名だが、『‘馬鹿’温達と平岡姫』も教科書に載るほど内助の功を発揮した、韓国で一番有名な夫婦なのだ。

●物語を簡単に紹介すると…
オンダルトピョンガン高句麗(コグリョ)第25代王・平原(ピョンウォン)王には泣き虫の娘の平岡(ピョンガン)王女がいた。泣き止まない王女に、王は「泣き止まないと、おバカな温達(オンダル)の嫁にするぞ」と言い聞かせてきた。16歳になり結婚適齢期になった王女は、「温達の元に嫁ぐ」と言い出し、条件の良い国婚を考えていた王は激怒して言うことを聞かない王女を勘当、王宮から追い出した。行き場のない王女は温達を捜しに行き、目の見えない母親と貧しい二人暮らしの温達を探し当てる。母は身分違いを訴えるが、王女は譲らず温達の押しかけ女房に。王女の持つ財宝を家畜などに変えて一生懸命に働き家は豊かになる。温達は王女からたくさん学び、瞬く間に人としても武術でも目覚ましい成長を遂げる。そんなある日、王の狩りに参加した温達は獲物を一番多く獲り、王の目に留まる。その後、戦で大きな手柄を建てた温達は、王から娘の婿として正式に認められ大出世を果たした。
※Youtubeにて紙芝居動画が公開されている。⇒紙芝居動画と題材になった作品紹介

内助の功であり、世紀の逆玉物語。男性に高い理想を追い求め続ける女性を“シンデレラコンプレックス”と言ったりするが、その逆バージョンの“逆玉”を、韓国では“オンダルコンプレックス”と呼んだりもする。

「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」はこれをモチーフに、大胆なアレンジを加えている。昔話で、おバカとして描かれる温達だが、文字通りのおバカではなく“純粋な”という意味が込められている。ドラマでも“馬鹿が付くほどの純粋で、義理堅い男”として描かれる。そして、序盤キーマンとして登場するオン・ダルの父親(カン・ハヌル扮)が「馬鹿になれ!」と言う名シーンがある。またドラマでは養母として描かれるオン・ダルの母親はドラマでも盲目だが、その理由が何とも泣かせる。これも序盤で明かされるのでお楽しみ。ほかにも、王女が王に勘当されたり、押しかけ女房、夫の教育、やせた馬を安く買ってうまく育てるなどは昔話と同じ。何とも凛々しい女丈夫なヒロインだが、これを身長165cmの華奢な女優キム・ソヒョンが、身長188cmの俳優ナ・イヌ相手にどう演じるのか?ドラマで確認しよう。
※オンダル役は当初「私がいちばん綺麗だった時」のジスだったが、途中でナ・イヌが代役に抜擢された。その経緯については作品紹介で確認できる。

■主人公の二人は実在の人物
『‘馬鹿’温達と平岡姫』は、『三国史記』の「温達伝」に記されたもので、実在した温達将軍とその妻が主人公。妻の平岡王女の“平岡”は名前ではなく、父王の“平原(ピョンウォン)王”の娘だからこう呼ばれている。26代王・嬰陽王、27代王・榮留王の姉で、28代王・宝蔵王の伯母にあたる。温達将軍については別の機会に【「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」を2倍楽しむ】で紹介する。
※『三国史記』とは、三国時代(新羅・高句麗・百済)から統一新羅末期までをまとめた歴史書(詳細は【新羅】豆知識で)。

ドラマ制作会社Victory Contents(ビクトリー・コンテンツ)は2日、ドラマ「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」が「第48回韓国放送大賞」でドラマ部門の作品賞の受賞作に選定されたと明らかにした。

そんな世紀の逆玉物語「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」が、2021年10月31日(日)よりNHKBSプレミアムにて放送される。【「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」を2倍楽しむ】では、ドラマの時代背景や、キャストの魅力、放送にあわせて各話の詳しいあらすじと見どころ、豆知識など紹介していく。なお、本作と同じ時代を背景にしたドラマは【ドラマの年表:三国時代】で確認できる。

NHK「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」番組サイト
 2021年10月31日 日曜21:00~22:00 日本初放送
Youtube予告動画(日本語字幕なし)

kandoratop【作品詳細】【「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」を2倍楽しむ】