水がトラウマになる衝撃のクライマックス!Netflix SF韓国ドラマ「静かなる海」最終考察と評判をチェック!

2021年12月27日21時30分ドラマ
Netflixシリーズ『静かなる海』独占配信中

コン・ユ×ペ・ドゥナ×イ・ジュン出演の宇宙を舞台にしたNetflixオリジナル新時代ドラマ「静かなる海」(全8話)が12月24日から配信開始された。これを観たら水を飲むのが怖くなる!?最終考察と視聴者の評判を見てみよう。

●Netflix独占配信の韓国ドラマはこちらで紹介⇒Netflix韓ドラ一覧

「静かなる海」(全8話)は荒廃した未来の地球を舞台に廃墟と化した月面基地から未知のサンプルを回収するという機密ミッションの為に集められた研究者チームを描いた、韓国ドラマとして初めて宇宙を舞台にしたドラマである。



より深く作品の方向性とクオリティの高さを実感して頂くために、是非Netflix Japanが公開している2分30秒の予告編も合わせて観てもらいたい。


●作品紹介⇒「静かなる海」ってどんなドラマ?

ここからは全8話を視聴した上で感じたドラマのメッセージ性や魅力を紹介する(一部にネタバレも含むのでご注意頂きたい)。

この作品を観る上で押さえておきたいキーワードがずばり「水」だ。各話に挿入されるオープニング映像でもCGを駆使した水のグラフィックが挿入される。物語の舞台は水が枯渇して水の配給量を決めるランクで国民の階層が分かれる世界だ。物語の中盤で明かされる過去の事件の真相もやはり「水」に関するものだった。月面基地に到着後に発見された大量の溺死体、そして基地内でウイルスに感染して水を吐き始めて隊員が命を落とすシーンでは、暗い水中に沈んでいく描写が描かれており、物語の終盤ではこの「水」が隊員達を脅かす驚異となる。視聴者からは「水がトラウマになりそう」という声も見られた。


■ドラマの構成
このドラマは月面でのプロジェクトへの参加、不時着から基地到着、基地内での真実発覚から脱出までが描かれて、5年前の事件の真相と少しずつ結びついていく。作品の舞台となるのは月に建設され5年前に放射能漏れで閉鎖されたとされている渤海(パレ)基地。主人公のジアン(ペ・ドゥナ)は基地の事故で亡くなった姉から受け取った難解なメッセージの謎を解く為にプロジェクトに参加するが、5年前の事故は放射能漏れではなく、血液と反応して無限に水を増殖させるウイルスが原因だったと知る事になり、人体実験で唯一ウイルスに適応し、隊員を殺すほどの高い身体能力を持った少女に出会って、サンプルを地球に持ち帰るべきなのか悩む。

全部で11名いる隊員のうちプロジェクト以前の生活や家族関係が深く掘り下げられたのはジアンのほか、ユンジェ隊長(コン・ユ)など3名だけだ。他の隊員については深く語られていない代わりに、物語の軸は非常にシンプルだ。中盤までは謎が生まれる一方なのだが、全て観終える頃には基地で起こる事件と政府の思惑が全て繋がるように作られている。


■演技力に高い評価
他の隊員についてどういった人物なのかが深く描かれなかったのは少し残念だが、基地で緊迫した状況に置かれた隊員たちの恐怖や不安がよく伝わる。中でもチームドクターとして参加したホン・ガヨンを演じるキム・ソニョン。普段はコミカルな役柄が多い彼女だが、隊員が命を落とす度に悲しみだけでなく救えなかった悔しさや憤りが伝わってくる演技は彼女の新しい一面を見る事ができる。またイ・ムセン演じるコン・スヒョクはウイルスに感染して弟が水を吐き続けて息絶えていく様子を見守ることしかできずにガラス越しに励まし続け、その後も気丈にチーム長としての任務を全うする様子に心を打たれる。


■ところどころに挿入される社会風刺
このドラマには「環境問題」「感染症」「国民の階級差別」「国同士の利権争い」「人体実験への倫理問題」など多くの要素が盛り込まれており、現実にも直面している話題も多い。
政府が隠してきたプロジェクトの目的は「増殖する水」の研究技術を他国に盗まれる前に回収するという狙いがあった事が描かれ、実際隊員の中には2名ものスパイが紛れ込んでいた事からも「水」を増やすという事がどれだけ政府にとって重要課題だったのかという事を物語っている。また、水を増殖させるウイルスは致死率が高い為、基地では秘密裏にクローンを使った人体実験が行なわれていた事も明らかになり、ウイルスが広まりパンデミック状態となった基地内を生存者も含めて政府が封じ込め、事実を隠蔽したという事実が基地内に残る大量の溺死体に結びつく。

また、真相は定かではないが、宇宙と言えば、12月に実業家の前澤友作氏が日本の民間人として初めて宇宙ステーションで12日間の滞在を成功させた事は記憶に新しいのではないだろうか。韓国をはじめ世界中で報道されたこのニュース。もしかしたらNetflixはこの出来事も計算した上で、宇宙への関心が高まっているこの時期に本作品を公開したのかも知れない。


■続編はあるのか?想像を委ねられる結末(ネタバレ注意)
本作のストーリー自体は特にどんでん返しはなく、隊員が犠牲になっていく以外は概ね予想通りに展開が進む。最終的には二人の隊員が生き残り、救助船にサンプルと共に救出されるのだが、作中では一貫してサンプルと実験体である少女ルナを地球に連れて行く事に反対し、宇宙に浮かぶ国際宇宙研究所に連れて行けば研究の独占を防げると主張していた主人公。このまますんなり地球に戻ってサンプルを渡すというのは考えがたい。

基地からの脱出直後に宇宙服を脱ぎ捨てて月面に佇む実験体ルナもその後どうなったのだろうか。宇宙局でプロジェクトの真相を隠していたチェ局長(キル・ヘヨン)の側近でありながらプロジェクトに反対し、裏で部隊と交信をしていたキム課長(ホ・ソンテ)も「状況を変えるのは難しいが帰還までには何とか策を練る」というセリフが最後で、歯切れの悪さが残る。この後どうなったか、どうすべきかは視聴者の想像に委ねるというメッセージなのか、もしくは続編の構想があるのかは今の時点では知る術がない。

クリスマスシーズンに公開され、一気に観た視聴者も多いようで「1話50分程度なので見やすかった」「映画のようなグラフィック技術と緊張感!」「続きがありそうな終わり方。周りの考察が気になる」など公開直後から大きな反響を集めている。

地球よりも重力が少ない月でのアクションや、宇宙服なしで月面に佇むクローン少女など科学的常識とSF要素の境が分かりづらいという厳しい意見も見受けられるが、韓国ドラマで初めて宇宙を舞台に描いた本作は、月面着陸と同じく大きな一歩と言っても間違いないはずだ。

視聴者を危険な宇宙の旅に連れて行ってくれる今年最後のNetflixオリジナル韓国ドラマ「静かなる海」は2021年12月24日からNetflixで全8話一挙独占配信開始された。1話を観たら8話まで興味を欠く瞬間のないこの冬休みに必見の超大作だ。

■スタッフ
演出:チェ・ハンヨン
脚本:パク・ウンギョ
制作:チョン・ウソン
原題:고요의 바다

■キャスト
ソン・ジアン役:ペ・ドゥナ
ハン・ユンジェ役:コン・ユ
リュ・テソク役:イ・ジュン
ホン・ガヨン役:キム・ソニョン
キム・ソン役:イ・ソンウク
コン・スヒョク役:イ・ムセン
キム・ジェソン役:ホ・ソンテ
コン・スチャン役:チョン・スンウォン
 ほか

■配信予定
配信開始:2021年12月24日
エピソード数::全8話

Netflix
予告動画(Youtube)

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