登場キャストの変顔が炸裂する衝撃作「美男堂の事件手帳」あらすじネタバレと最終考察

2022年08月26日00時07分ドラマ
Netflixシリーズ『美男堂の事件手帳』独占配信中

ソ・イングクとオ・ヨンソ主演で韓国KBS2の新月火ドラマとしてスタートした「美男堂の事件手帳」(全18話)が8月23日最終回を放送し、Netflixでも全話揃った。シリアスな凶悪犯罪を巡って、登場人物の濃いキャラクターが炸裂する痛快な捜査劇のあらすじと最終考察を見てみよう。



「美男堂の事件手帳」は、元プロファイラーのナム・ハンジュン(ソ・イングク)が巫堂(ムーダン)になり事件を解決する、ミステリアスでコミカルな捜査劇を描く。Kakao Pageのモバイル小説公募展で大賞を獲得して、15万人の読者に読まれたチョン・ジェハン作家の小説の実写化作品だ。

■物語あらすじ
連日若い女性が行列をなす占いカフェ「美男堂」。ナルシストでお調子者なオーナーのナム・ハンジュン(ソ・イングク)は、よく当たると大企業からも注目されるほどの話題の巫堂(霊媒師)。そんな彼の正体は元警察のプロファイラー。天才的な洞察力と、元国家情報院職員で天才的なハッカーだが清潔感皆無の妹ヘジュン(カン・ミナ)、元刑事で忠清道方言の取れない田舎っぺだが怪力のスチョル(クァク・シヤン)と共に霊能力と称して、顧客の問題を解決してきた「美男堂」の一同は、VIP顧客からあるひき逃げ事件の解決を求められる。

一方、人間離れした身体能力と、素手で犯罪組織を壊滅させるほどの戦闘力を誇り、「寒鬼」の異名を持つ女刑事ハン・ジェヒ(オ・ヨンソ)は、媚びない性格から警察内でも腫れ物扱いされ、検挙実績最下位のテウン署7課の班長として配属される。ある日、ひき逃げ事件の通報を受けて出動したジェヒは通報したハンジュンを見て衝撃を受ける。

二人をつなぐ3年前の殺人事件。「コプリ」と呼ばれる、宗教儀式で使われる布を使って殺された後、死体を焼くという猟奇的な事件で、ハンジュンは検事だった友人ジェジョン(ソン・ジェリム)を失っていた。そして、ジェヒは兄を殺され、家族と渡米するも兄の無念を晴らす為に韓国に戻り、改名し刑事となっていた。

警察時代のハンジュンに恋心を抱きながらも、ハンジュンのプロファイリングが原因で兄が死んだと思い込んでいるジェヒはハンジュンに敵対心を抱き、警察の邪魔をする美男堂と対立を深めていく。

ハンジュンもまた、友人を失った悲痛な事件で、罪をなすりつけられ実刑判決を受け、出所した後にひょんな事から巫堂として表向きは占いカフェを経営しながら、事件の真犯人「コプリ」を追っていた。

警察と美男堂は行く先々で対立しながらも、3年前の事件の容疑者ヨンソプ(チャン・ヒョクジン)を発見するが、彼の背後にはもっと深く巨大な組織がある事に気づいたハンジュンとジェヒはお互いの誤解を解き、距離を縮めていく。

事件以来、ジェヒに想いを寄せながらそばで支えてきたチャ・ドウォン検事(クォン・スヒョン)や、刑事7課、美男堂は表と裏、両方のルートから事件の背後にうずまく巨大な思惑に一歩ずつ近づいていき、ハンジュンとジェヒ、ヘジュンとスチョルは互いを想い合う仲に発展していく。

事件の背景に浮かび上がったのはチェガングループの長男で、チャ検事の兄であるチャ・スンウォン(イ・ジェウン)だった。組織と通じる警察上層部からの圧力を言葉巧みにかわし、命の危険に晒されながらも3年前の殺人事件の真相に近づいていく一同。幼少期からサイコパスの兆候を見せ、高校生の時に同級生を殺しながらも、父親の力で罪を問われなかった過去を持つスンウォンが真犯人だと睨んでいた一同は、手がかりを探しているうちに罠にはまり、新たな殺人事件が発生。ハンジュンは殺人の容疑で逮捕されてしまう。

見え隠れする真犯人にはめられたかのように見えたハンジュンだが、美男堂の実力が一枚上手だった。全ての元凶がチャ検事で、幼い頃のサイコパス的な行動の記憶を改ざんされていた彼は、植え付けられた「正義の守護者」としてのアイデンティティと、サイコパスとしての本能が交錯し、無罪放免となった犯罪者達に自ら制裁を下していた。

ハンジュンに罪を着せて油断しきっていた「コプリ」チャ検事をハメようと刑事7課と美男堂が協力して罠を仕掛ける。本性が暴かれても逃走を続け、制裁を続けるチャ検事を追い詰める一同。ハンジュンはチャ検事との互角の戦いでチャ検事を倒すが、油断したハンジュンを襲おうとしたチャ検事を倒したのは「寒鬼」ジェヒだった。

事件解決後、ハンジュンは店を妹らに託し、恋人ジェヒと自由な時間を過ごそうとする。一方、詐欺団のリーダーを捕まえて、手柄を立てた刑事7課だが、捜査の為に莫大な経費を注ぎ込んだ事が明らかになると全員強制休暇を取らされる。

こうしてのんびりとした時間を過ごす二人だが、根っからの刑事体質のジェヒはどこか落ち着かない。そんな時に、公園から女性の悲鳴が聞こえ、向かった二人は遺棄された人間の手首を発見する。連続殺人事件と共通する遺体の特徴に気づいた二人は、一度は警察に任せようとするが、性格を抑えきれず、美男堂へと駆け込む。ハンジュンの不在で経営が回らなくなっていた妹らと共に、新たな事件を解決すべく颯爽と夜の街に消えていく…。

■最終考察:主要人物の体を張った演技は必見
朝鮮半島土着の宗教文化である「巫堂」を主人公にした斬新なドラマが最終回を迎えた。全国視聴率では3.7%〜5.7%(ニールセンコリア調べ)と、高過ぎず低過ぎずの安定した視聴率を記録した作品だが、実は結構な衝撃作である。これまでクールな印象の役柄を演じる事が多かったソ・イングクが、無心に鐘を鳴らしながら奇声を上げて跳ね回る姿に衝撃を受けた視聴者も多い事だろう。

この作品では主人公の二人を結びつける3年前の凄惨な殺人事件を背景に、シリアスな部分と、その真逆で突き抜けてコミカルな部分が共存するのだが、主要キャストにとってはかなりそれまでのイメージを崩壊させる挑戦作になっていると思う。二枚目俳優として人気が高いソ・イングクやクァク・シヤンが白目を剥いて変顔を連発したり、おバカなキャラを演じる意外性や、アイドル出身のカン・ミナも本作では頭も足も臭い、衛生観念ゼロのずぼらな天才ハッカー役を演じ、ファンを驚かせた。また、「このエリアのクレイジーX」で、ある事件から過剰な被害妄想を抱いてクレイジーな性格になってしまった主人公を演じたオ・ヨンソも、本作では超人のような戦闘能力を持ち、Fワードを連発する刑事気質なジェヒを演じ、クレイジーさに拍車をかけている。

「巫堂」という伝統的だがあまり馴染みの無い文化は、海外の視聴者からは少し奇抜に映ってしまうかもしれない。また、導入部となる第1話ではコミカルに事件を解決していく美男堂と、超人的なジェヒの活躍が描かれた後、終盤で、ハンジュンとジェヒの繋がりがほのめかされ、エピローグでは一転してシリアスな過去の事件の一場面が描かれ、少し雑然とした印象は否めないが、徐々に明かされる過去や、美男堂誕生のエピソード、上述したように漫画から飛び出したような登場人物のキャラの濃さで、回を重ねる毎に引き込まれていく中毒性のある作品だ。

警察と、非合法なプロフェッショナル集団が協力して事件を暴いていくストーリーや、犯人と思っていた人物の背後に公権力も牛耳るような巨大な権力が存在するなど、王道の要素が描かれるものの、脚本はまるで視聴者の心理を呼んでいるかのように、巧妙に作られている。

まず、序盤で視聴者が気になるのはハンジュンとジェヒの関係と、二人をつなぐ過去の事件だ。二人の共通点が明かされると、次に視聴者が気になるのは、事件の犯人なのだが、ここで視聴者の多くはチャ検事に疑いの目を向ける事だろう。作中でもチャ検事が疑われるような描写があるのだが、事件の背後に巨大な力の存在が明らかになってくると、捜査に大きく貢献するチャ検事から一度疑いの目は逸らされる。より疑わしい容疑者の登場に視聴者が「まんまと騙された!」と再び推理をし始めた直後に、巡り巡ってやっぱりチャ検事が真犯人だった、という展開に、視聴者はミスリードを何度も強いられる事になるのだが、同時にどっぷり物語にハマっている事に気づかされるはずだ。

検挙実績最下位で、どこか抜けていて憎めない刑事7課の刑事達も微笑ましく、特に終盤で組織の息のかかった上層部を出し抜き、警察署長をうまく言いくるめながらも、非合法集団である美男堂と協力して捜査を進めたり、チャ検事の裏をかいて一芝居打つなど、全員がチームとして一丸となっていく様子が痛快だ。

ラストではロマンスよりも事件解決に血がうずくハンジュンとジェヒが、再び美男堂に集結して夜の街を颯爽と歩く姿は、この先も彼らの活躍が続いていく事を示唆し、清々しい印象を与え、もしも続編があるのであれば観てみたいと思わせる結末となった。

キャストの新たな一面が楽しめ、この夏、コアな韓ドラファンを魅了した衝撃作「美男堂の事件手帳」はNetflixにて独占配信中だ。

■キャスト
ナム・ハンジュン役:ソ・イングク
ハン・ジェヒ役:オ・ヨンソ
コン・スチョル役:クァク・シヤン
ナム・ヘジュン役:カン・ミナ
チャ・ドウォン役:クォン・スヒョン
チャン・ドジン役:チョン・マンシク
ほか

■スタッフ
脚本:パク・ヘジン
演出:コ・ジェヒョン
原作:チョン・ジェハン『미남당 사건 수첩』

■放送・配信
放送・配信開始:2022年6月27日~8月23日
エピソード数:全18話

Netflix
Youtube|Netflix予告動画
KBS「미남당 사건 수첩」公式ページ

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