韓国ドラマ「緑豆の花」最終回考:ドラマのその後は、ユン・シユンの悲しい幻想通りに…

2023年08月10日12時30分ドラマ
©SBS

1894年~1896年の朝鮮時代末期を描いた韓国本格史劇「緑豆の花」感動の最終回を振り返り、ドラマのその後がどうなったのかを説明しよう。予告動画は作品公式サイトで視聴できる。



「緑豆の花」はチョ・ジョンソクとユン・シユンのW主演を務め、農民軍と討伐隊に分かれて戦わなければならなかった異母兄弟の波乱万丈な生涯を描くヒューマンストーリー。各話の詳しいあらすじと見どころ、時代背景などは【「緑豆の花」を2倍楽しむ】でまとめて紹介している。

■最終回を振り返って

東学農民運動は鎮圧されるが、日清戦争に勝利した日本軍の朝鮮侵略が始まり、朝鮮の開化派の親日姿勢が強まる。そんな中最終回では1895年4月、チョン・ボンジュン(全琫準)ら民乱の首謀者たちの絞首刑が執行され、ドラマの主人公(架空の人物)である兄イガンと弟イヒョンは別の道を進んだ。人間らしく生きるために義兵を続ける決心をしたイガンに対して、イヒョンは強まる日本による内政干渉を文明国家をなるためと諦め、日本の後ろ盾を得て故郷、古阜の郡守となった。だが、日本の領地となった朝鮮の未来を見て心が壊れてしまい、逆賊として捕えた兄イガンを逃がして、自ら命を絶った。
イガンは愛するジャインと再会し、求婚。ドラマの最後はその1年後、1897年イガンがチョン・ボンジュンの後を継いで義兵として戦い続け、そんな彼の元に同志が集まるという開かれた形で幕を閉じた。

戦いの場面は目を覆いたくなるシーンも多かったが、物語の中心に架空の人物を置くことで、時代を生きた一般の人々のロマンス、兄弟愛、家族愛、そして師弟愛を丁寧に描き、開かれたラストに明るい気持ちでドラマとお別れできた。ところが、実際の朝鮮はこの後、悲しい時代の幕を開けることに…。

最終回ネタバレと見どころ・感想

■ドラマのその後

▼乙未事件
ドラマ23話にさかのぼった1895年4月、日本と中国との間で「下関条約」が締結され日清戦争は終わるが、閔氏勢力がロシアに近づいたことで半年後、明成皇后・閔妃暗殺事件(乙未事件)が起こる。

▼高宗亡命と大韓帝国誕生
これに不安を感じた第26代王・高宗はロシア公使館に避難する。だが日清戦争で負けた清国がロシアに朝鮮での権利を譲ったことで親露政権が誕生。1897年、高宗はロシア公使館を出て国名を「大韓帝国」とし、自ら皇帝に即位し近代国家に乗り出す意思を示す。オランダバンクーバーで開催される「万国平和会議」にも密使を送って大韓帝国の主権を主張するが、失敗に終わる。

▼朝鮮最後の王・純宗
朝鮮半島と満州の権益をめぐり1904年2月、日本とロシアの間で戦争勃発。1905年9月日本が勝利し、ますます国威を高めた日本は、反日意識の高い高宗を退け、1907年7月に皇太子の純宗を大韓帝国第2皇帝(朝鮮王朝通算第27代王)に即位させ、本格的に大韓帝国に干渉する。1910年、純宗が日韓併合条約を締結し、519年続いた朝鮮王朝は幕を閉じ、ドラマでイヒョンが幻想したとおりに、日本の領土に組み込まれてしまう。

緑豆の花©SBSその後も、半島各地ではドラマのイガンたちのように農民たちが義兵活動が起こし、義兵団は太白山や智異山などに潜伏し、各地でゲリラ戦を展開し、アジアにおける民衆の反帝国主義闘争の先駆として大きな意義を果たした。

ここでは、朝鮮滅亡までを駆け足で紹介したが「日韓近代史の出来事を解説」で東学農民運動(1894年)~朝鮮開放(1945年)まで時系列に紹介しているので参考にどうぞ(「名家の娘ソヒ」より)。

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kandoratop【作品詳細】【「緑豆の花」を2倍楽しむ】