小雪「『桜色の風が咲く』から生きる意味や生かされている意味を感じてほしい」完成披露試写会・舞台挨拶レポート

2022年10月28日00時48分映画

映画『桜色の風が咲く』(11月4日(金)公開)の完成披露試写会・舞台挨拶が10月27日に開催され、小雪、田中偉登、福島智教授、松本監督、結城プロデューサーが登壇した。映画公式サイトで予告動画が公開中だ。



『桜色の風が咲く』は、9歳で失明、18歳で聴力を失いながらも世界で初めて盲ろう者の大学教授となり、東京大学の教授として教鞭をとっている福島智(ふくしまさとし)さんの幼少期から大学受験までの姿を描いた作品。⇒映画詳細

『桜色の風が咲く』 完成披露試写会・舞台挨拶
◆日時:10月27日(木)  ◆場所:スペースFS汐留
◆登壇(敬称略):小雪、田中偉登、福島智教授、松本准平監督、結城崇史プロデューサー
MC: 秋沢淳子


小雪が12年ぶりに主演した映画『桜色の風が咲く』(11月4日公開)の完成披露試写会が10月27日に都内で行われ、主演の小雪、共演の田中偉登、モデルとなった福島智教授、そして松本准平監督、結城崇史プロデューサーが出席した。

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エレガントなロングドレス姿でにこやかに登場した令子役の小雪は12年ぶりの映画主演。今回演じるにあたり福島教授と初対面し「エネルギーと人間的懐の豊かさを感じて、計り知れない人生だったと想いを馳せながら、福島先生の事を多くの方にお伝えしなければという使命を感じました」と本作に出演することへの意義を口にしていた。母・令子さんによって考案された“指点字”も実際に学び「撮影期間中はいつでもどこでも指点字。寝ている間にも頭に残るような思いで学びました。そこができないとダメだと、自分の中に滲み込ませたいという思いでやりました」と熱演を報告した。

福島智役の田中は“母”小雪について「撮影のとき以外でも僕のことを息子として見てくれて、体調の事や食事の事を心配してくれたり、家事出来るの?と聞いてくれたり。本当のお母さんみたいな感じで、それが本編にも滲み出ているはずです」と撮影を振り返る。

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福島教授は自身を演じた田中について「僕と同じ関西人ということで波長も合うし、若い頃の私と同じようなエネルギーとガッツを持っている。そして関西人的なアホっぽさもあり…これは褒めているんですよ!」と笑わせつつ絶賛。母・令子さんを演じた小雪については「おふくろは、小雪さんなんて恥ずかしい!と言っているし、兄も小雪さんとは雲泥の差だと言っていました」と謙遜しつつ「おふくろは大阪のおばちゃんで小雪さんとの共通点はないと思ったけれど、実際にお会いしてお話をすると、お母さんとしてのパワーと生きる力を感じた。それは私のおふくろと同じだと思った」と魂に共感していた。

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赤ちゃん時代の智を演じた子役との共演について小雪は「スタッフさんの中に子育て経験のある女性がいなかったので、私が家でもお母さん、外でお母さんみたいな感じだった」と3児のママパワーを現場でも発揮したという。本番以外でもその赤ちゃんを抱っこしていたそうで「どのくらいのタイミングで眠くなって機嫌が悪くなるとかもあるし、お腹を空かせていないか、眠くないかがポイント。それは自分の経験上わかっているので、お手伝いをさせていただきました」と自身の子育て経験をフル活用した撮影秘話を披露。

田中はそんな小雪の母親ぶりに触れて「今日も肉じゃがのレシピを教えてもらう約束をしました。現場でも小雪さんのお陰で自分のやりたいように好きに演じることができた。お母ちゃんが小雪さんで良かった!」と感謝しきりだった。

結城プロデューサーは「コミュニケーションとは生きる上での酸素や水だと福島先生は仰います。この映画から僕自身が生きる力を感じた気がしたので、観客のみなさんにもその感覚をシェアしてもらいたいです。心のこもったメッセージを感じてください」とアピール。
松本監督も「僕は福島先生の苦しみに対する向き合い方に感銘を受けてこの映画を作ろうと思いましたが、撮影をする上で目の当たりにしたのは、お母さんの愛の強さでした。それを観て感じて少しでも何かを持ち帰ってもらいたいです」と期待。

福島教授は「障害の有無に関係なく、生きていく中で辛いこと苦しいことは誰しもが必ず体験するものです。癒されない傷、つらい記憶が残る人もいるでしょう。その辛い経験とどう向き合うのか?それを考える上でのヒントにこの映画がなってくれればいいと思っています」と観客へメッセージを述べた。

そして田中は「この映画は若い人でも色々と考えさせられる作品です。何か受け取るものがあれば、それを大切な人に伝えてほしい」と願い、
最後に小雪も「私も3人の子を持つ母として、色々な思いをこの作品に込めました。生きる意味や生かされている意味など、映画を通して感じてもらえる作品になっています」と語ると、会場からは大きな拍手が沸き起こり、キャスト、スタッフからの熱い想いが溢れるイベントとなった。

■映画概要
小雪
田中偉登 吉沢悠 吉田美佳子 山崎竜太郎 札内幸太 井上肇 朝倉あき / リリー・フランキー 
製作総指揮・プロデューサー:結城崇史、監督:松本准平、脚本:横幕智裕 、音楽:小瀬村晶、 協力:福島令子 福島智
エンディング曲:辻井伸行「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 《悲愴》 II. ADAGIO CANTABILE」
製作:スローネ、キャラバンピクチャーズ 制作:THRONE INC./KARAVAN PICTURES PTE LTD
助成:文化庁文化芸術振興費補助金 ©THRONE / KARAVAN Pictures
製作国:日本/日本語/2022/ビスタ/5.1Ch/113分/英題:“A Mother’s Touch” 配給:ギャガ 

映画公式サイト
◇Twitter: @sakurairo114