映画『土を喰らう十二ヵ月』沢田研二が茶目っ気全開で恋人・松たか子に甘える本編映像解禁

2022年11月03日10時00分映画

中江裕司監督最新作『土を喰らう十二ヵ月』(11月11日(金)公開)より、ツトム(沢田研二)と真知子(松たか子)、ふたりが晩酌する本編映像(小芋)が到着した。

『土を喰らう十二ヵ月』は、作家・水上勉によるエッセイ『土を喰う日々 ―わが精進十二ヵ月―』を原案に沢田研二主演、『ナビィの恋』『盆唄』の中江裕司が監督・脚本を手がけ映画化した作品。料理研究家の土井善晴が初めて映画の料理に挑んだ作品だ。



タイトルの「土を喰らう」とは、旬を喰らうこと。四季の移ろいの中で、自然が恵んでくれる食物をありがたく頂くこと、今この瞬間を大切に生きること。楽しくも厳しくもある里山の暮らしから何かを得ようとする作家ツトムとその周囲の人々の一年間の物語がここから始まろうとしている。

土を喰らう人里離れた信州の山荘で、犬のさんしょ、13年前に亡くなった妻の遺骨と共に暮らしている作家のツトム(沢田)。畑で育てた野菜や山菜を収穫し幼少期に禅寺で習った精進料理を作る日々。食いしんぼうの担当編集者で恋人である真知子(松)が東京からやってきた。日が暮れて、皮を少し残して囲炉裏であぶった小芋で晩酌―。静かであたたかな時間を過ごしていたが、突如、真知子の一言で、ふたりは恋人同士から、作家と編集者へと様変わりをする。
土を喰らう「原稿は?」「‥‥ない。」「もう締め切りよ」ツトムは頬杖をつき、「子芋さんでゆるしてくれないかな」
と甘えた素振りをして見せるが、穏やかな口調ながらに真知子は、おもむろに立ち上がると、手に取ったのは他でもない原稿用紙。きっちり仕事をする真知子を目の前に、逃げ場がなく観念したツトムは思いを巡らせ万年筆を手に取ると‥‥…。
松が演じる真知子のキャラクターは、原案にはなく、脚本も手掛けた中江監督によるオリジナルキャラクターだ。
土を喰らう中江監督は原案エッセイのあとがきの「ミセス編集局の女子連に、ひそやかな悦しみをのぞかれ、かくも、よしあしごとを書く始末になった。嗚呼。」という一文を読んで真知子を作りだした。「水上さんの(他の)小説をもう一度読み直して、そこに出てくる女性たちを通じて真知子像を作り上げていきました」「(松さんは)素晴らしかったですね、沢田さんはそこにいるだけで役を成立させる役者さんですが、松さんはそういう沢田さんを細かくサポートしてシーンを作り上げてくれた。ただ脇を固めるだけでなく、瞬時に松さんが場の中心になることもある。その切り替えが見事なんです」と振り返る。

締め切り原稿の催促は、作家と編集者間でよく繰り広げられるやりとりであると想像に難くないが、穏やかな時間が流れる中、暮らす場所も年齢も離れた、一筋縄ではいかない作家ツトムと編集者・真知子の関係や多くは語らずも匂い立つ男女の機微を感じる印象的なシーンとなっている。この幸福感溢れる穏やかな時間に限りはあるものなのだろうか。



土を喰らう■あらすじ
長野の山荘で暮らす作家のツトム。山の実やきのこを採り、畑で育てた野菜を自ら料理し、季節の移ろいを感じながら原稿に向き合う日々を送っている。時折、編集者で恋人の真知子が、東京から訪ねてくる。食いしん坊の真知子と旬のものを料理して一緒に食べるのは、楽しく格別な時間。悠々自適に暮らすツトムだが、13 年前に亡くした妻の遺骨を墓に納められずにいる…。

■映画概要
沢田研二 松たか子 西田尚美 尾美としのり 瀧川鯉八 / 檀ふみ 火野正平 奈良岡朋子
監督・脚本:中江裕司
原案:水上勉 『土を喰う日々 ―わが精進十二ヵ月―』(新潮文庫刊) 『土を喰ふ日々 わが精進十二ヶ月』(文化出版局刊)
料理:土井善晴 音楽:大友良英 製作:『土を喰らう十二ヵ月』製作委員会 配給:日活 制作:オフィス・シロウズ
©2022『土を喰らう十二ヵ月』製作委員会 tsuchiwokurau12.jp
11月11日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座他にて全国公開