映画『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』かず子(宮本茉由)が強い決意を語る本編映像を公開初日に解禁

2022年11月04日10時00分映画

“斜陽族”と流行語にもなり、大ベストセラーとなった太宰治の名著「斜陽」執筆75周年を記念するした映画『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』の公開初日を迎えた本日11月4日に、宮本茉由演じる主人公、島崎かず子が人生の決意を語る本編映像が解禁となった。



映画『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』は、日本映画界の名匠、増村保造監督と脚本家の白坂依志夫が遺した草稿脚本を元に近藤明男監督(『ふみ子の海』(07)、『エクレール・お菓子放浪記』(11))が脚本を仕上げ、準備から5年の歳月を経て、太宰治「斜陽」を完全映画化した作品。

解禁となったのは、宮本茉由演じる主人公、島崎かず子が、安藤政信演じる太宰治自身を投影した作家・上原に人生の決意を語る、物語の最重要シーンとなる本編映像。


映像は二人が酒を飲み交わすシーンから始まる。険しい顔で酒杯を煽る姿に、「ずいぶん召し上がるのね。毎晩ですの?そんなにおいしいの?お酒が」と飲み続ける男を気遣う。朝から飲んでいる彼は、「不味いね。ちっともうまくねえ」とこぼす。執筆途中の原稿に目をやったかず子は、「よくお仕事ができるわね。たくさん書いていらっしゃるんでしょう」と文学雑誌を手に取る。「いくら書いてもみんな駄目だ。ばかばかしくて、哀しいね。まあ、もうどっちみち長いことないしな」と酒に蝕まれた我が身を自嘲した上原は、「俺の話なんかつまんねえ。あんたの話聞かせてくれ」と横になる。「興味がありますの、そんな事に?」と応じたかず子に、「ああ、大ありだ。日本中がひっくり返り、社会の上下、金持ちと貧乏が入れ代わったんだ。あんたの生活だって、大変だろう」と、終戦によって起こった格差社会で没落貴族であるかず子の体験は「小説のネタになるかもしれない」と伝える。

東京から西伊豆へと都落ちした島崎家の生活は、病に伏した母と薬や酒に溺れお金を持ち出すだけの弟、直治を抱え、このままでは困窮するばかりのかず子。「金が必要なのか」という問いには、毅然と「いいえ、お金なら私がお金持ちのおじいさんと結婚すればいいんです。いざとなれば何とかなりますわ」と答える。お金ではないならば何が必要なのか。更に問われたかず子は、「それが何なのか、私にもよく分かりません。このまま伊豆にいて、そしてだんだん年を取って行く生活には、我慢出来ません。もっと、自由に生きたいの」と、激変した環境の中でも真っ直ぐに生きる強い決意を、上原の瞳を見つめて言葉にする。

戦後に日本を包み込んだ混沌の中で、没落貴族となったかず子は、出版当時流行後となった「斜陽族」そのもの。でも、どんな環境であっても“真っ直ぐ”生きる強い意志をもった女性だ。執筆から75年、太宰治が書いた希望の物語を、ぜひ、映画館の大画面でお楽しみに!

<作品情報>
宮本茉由 / 安藤政信 水野真紀 奥野壮
田中健 細川直美 白須慶子 三上寛 柏原収史 / 萬田久子 / 柄本明
尾崎右宗 菅田俊 岡部尚 中谷太郎 緒方美穂 三木秀甫 
岡元あつこ 栗原沙也加 今泉朋子 白石恭子 薗田正美 光藤えり 
山村友乃 野崎小三郎 ジョナゴールド / 春風亭昇太

原作:太宰治 監督:近藤明男 脚本:白坂依志夫 増村保造 近藤明男 製作:野口英一
プロデューサー:足立喜之 石戸谷洋治、市川武 今泉朋子 上村正樹 小浜圭太郎 栗原隆一 野崎小五郎 山村隆昭
音楽:海沼正利 主題歌:小椋佳「ラピスラズリの涙」(作詞・作曲・歌)
撮影支援協力:青森県 山梨県 五所川原市 つがる市 弘前市 甲府市 山梨市 都留市 三鷹市

2022年/日本/日本語/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/109分/配給:彩プロ 映倫G
©2022『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』製作委員会(オフィス近藤 アップサイド 実正寺 スペースT ぱあとなあ ハーモニー ライジングシネマ 山梨日日新聞社 山梨放送)

映画公式サイト