ディズニープラスでも独占配信され、日本でも注目を集めたユク・ソンジェ、イ・ジョンウォン、チョン・チェヨン、ヨヌら主演のMBC月火ドラマ「ゴールデンスプーン」（全16話）が11月12日に最終回を迎え、全話揃った。気になるあらすじと最終考察を見てみよう。

「ゴールデンスプーン」は、貧しい家庭で生まれた子供が偶然得たゴールデンスプーンを通じて、人生の逆転を狙うアドベンチャーストーリーだ。



ディズニープラスで公開されている公式予告動画もあわせてご覧頂きたい。


■あらすじ
貧しい家庭に生まれながらも韓国でもトップクラスの金持ち「金のスプーン」が通うソウル第一高校に通うスンチョン（ユク・ソンジェ）。ある謎の老婆から「金のスプーン」を手に入れたスンチョンは、生まれも育ちも裕福なテヨン（イ・ジョンウォン）と人生を取り替えてしまう。人生を奪われ、記憶を書き換えられたテヨンも戸惑いながら愛に溢れるスンチョンの一家に適応していく。

スプーンの能力を使った人が元の人生を選択するチャンスは1ヶ月、1年、10年の3回のみ。裕福な生活を手に入れるも、テヨンの厳格な父や継母、威圧的な叔父など複雑な家庭環境を目の当たりにし、元の家族や、想いを寄せるジュヒ（チョン・チェヨン）が気がかりなスンチョンは1ヶ月目で元の生活を選択する。しかし、同じくスプーンの能力で幼い頃に人生を取り替えていたヨジン（ヨヌ）は御曹司であるテヨンとの婚約を結ぶ為にスンチョンに再び人生を取り替えるよう迫る。

ジュヒと気持ちを確かめ合いながらも再びテヨンとしての生活を選んだスンチョンだが、その頃、ジュヒの父であるナ会長が何者かに殺される事件が起きていた。テヨンが現場にいた事から事件を事故としてもみ消したファン会長（チェ・ウォニョン）だがジュヒは事件に裏があると確信。スンチョンも事件の真相を暴こうとするが、ジュヒに疑われたままファン会長の命令でアメリカに送られてしまう。

それから10年、父も財産も失いながらも記者として事件の真相を探っていたジュヒの前に帰国したスンチョンが現れる。事件の真犯人だと思い込み恨み続けていたジュヒだが共に捜査をしていくうちに誤解は解け始め、叔父ジュンテの自供により事件は終結。そんな中、テヨンとジュヒはスンチョンが残した日記からスプーンの秘密を知ってしまう。

スプーンを使って人生を元通りにしようとするテヨンとそれを防ごうとするスンチョンが対立する中、誕生日を迎えたその日に、本当の両親と鉢合わせしてしまい、二人の人生は再び入れ替わってしまう。

スプーンにはまだ秘密が隠されていた。スンチョンが使った金のスプーンで食事をすると、スンチョンが人生を入れ替える前後全ての記憶が見えてしまうのだった。誕生日に人生が入れ替わり、ジュヒと再び心を通わせるスンチョンに嫉妬したヨジンはスンチョンの父チョルにスプーンを渡し、チョルは息子が家族の為に人生を入れ替えた真実を知ってしまう。

誕生日が終わった瞬間に再び人生が入れ替わった二人。ナ会長殺害現場にファン会長がいた事を思い出したテヨンはスンチョンと共にファン会長の素性を調べ始める。ファン会長もまた、昔スプーンを使って身分を取り替えた一人で、スンチョンとテヨンが入れ替わった事にも気づいていた。それでも有能なスンチョンを後継者にしようとするファン会長に裏切られたジュンテは脱獄しスンチョンを殺そうとするが、彼をかばったチョルが代わりにこの世を去り、更にジュンテも出生の秘密を知るとショックで姉だと思っていた母ヨンシンの目の前で自ら命を絶ってしまう。

人生を取り替えたせいで大きな対価を払う事になったスンチョンは事件を決着させようとファン会長の悪行を暴こうとするのだが…。

■最終考察
「人生を取り替えてお金持ちになる」誰でも一度は想像した事があるような題材で注目を集めた本作だが、描かれたのは人生を取り替えて裕福な生活を手に入れたスンチョンのサクセスストーリーでもなければ、「やっぱりお金より家族の愛が一番」と元の生活に戻っていくような童話的な結末でもなく、最終回終盤まで予想外のどんでん返しが続くかなり複雑なサスペンスだった。中でも終盤は「お金より大切なもの」についてメッセージを含みつつも、お金の為に人生を取り替えた人々が対価として大切なものを失っていく壮絶な展開が連続した。

物語の至るところにその後の展開に繋がる伏線が張られていて、回が進む毎に視聴者は衝撃を受けたに違いない。まず、人生を取り替える不思議なスプーンが世の中に複数存在し、実は周辺にも人生を取り替えた人が少なからず存在するというストーリー展開が視聴者の予想を大きく裏切った点だ。更に、人生を再び入れかる3回のチャンスや、誕生日に親と鉢合わせすると元の人生に戻ってしまうという設定も相まって、スンチョンとテヨンが入れ替わりを繰り返す事によって、視聴者の予想を許さない複雑なサスペンスを築いた。

まず最初に視聴者を驚かせたのは「スプーンがひとつではない」という事だ。第5話ではヨジンもスプーンを使って人生を入れ替えた事が明かされ、スンチョンの正体を知る人物の登場で物語はより複雑に絡み始める。作中では彼女の他にもスプーンを持つ人物が4人登場し、終盤ではファン会長もスプーンで人生を取り替えた一人だと明かされる衝撃の展開が続いた。

さらに意表を突いたのが時系列だ。スンチョンらの高校時代からスタートし、当然のようにそれが現代だと錯覚してしまうが、中盤になると一気に10年後にストーリーがスキップし、実は10年後の世界こそが現代の時間軸だと明かされるのだ。よく見てみると高校時代の物語で登場する携帯電話や画面が少し古い点に違和感を覚えるが、これも時間軸に対する伏線だったのだ。

中盤以降はスプーンを手に入れた本人以外もスプーンの秘密を知る事になり、ファン会長の正体が暴かれると、ラストに向けスンチョンらがファン会長の罪を暴いていくのだが、ここでも意表を突いた展開が待っている。主人公スンチョンが死んでしまうのだ。決してハッピーエンドとは言えない展開でエピローグに突入するのだが、このエピローグがまた意表を突いてくる。

数年後にスンチョンとして暮らすテヨンが父の遺志を継いで「ゴールデンスプーン」というウェブ漫画を執筆して話題になり、ヨジンやスンチョンの姉はそれぞれ結婚し幸せな生活を送っている様子が描かれるのだが、まだまだ予想不可能な展開は続き、ジュヒは会うはずのない人物と会う事になる…。

上述の通り、おとぎ話のような設定で視聴者の注目を引いたものの、サスペンス色が強く、決してハッピーエンドとは言えない独特な余韻を残して幕を閉じた本作では、終盤から特に最終話にかけて、スプーンを使った人物が大切なものを失う様子が描かれ、「欲の為に家族を捨てる事」「他人の人生を奪う事」に対する対価の大きさを強調した残酷な結末と呼ぶのがふさわしいだろう。

名女優ソン・オクスクが怪しく演じたスプーン売りの老婆も最後まで正体は明かされず、視聴者に向けて「人生を取り替えたいと思うか？」と怪しく問いかけてくる。

独特な後味で難解な箇所もある作品ではあるが、予測不可能な展開が毎回視聴者の興味をそそり、細部に伏線が隠されているので、もしもよく分からなかったと感じた場合は、記憶が新しいうちにもう一度、第1話から観てみると見落としていたキーワードを見つける事が出来るはずだ。

ちなみに最終回でスンチョン役のユク・ソンジェの代わりに死んだ庭師は、「哲仁王后 俺がクイーン！？」の美しすぎる悪役キム・ビョンインや、「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」の途中から登板した主人公を見事にやってのけたナ・イヌだった。

「ゴールデンスプーン」は2022年9月23日から金土ドラマとしてMBCで放送され、同日よりディズニープラスでも独占配信中だ。

■スタッフ
演出：ソン・ヒョヌク
脚本：ユン・ウンギョン、キム・ウニ
原題：금수저（クムスチョ）
韓国放送：2022年9月23スタート MBC金・土21：45ドラマ
配信：ディズニープラス「スター」

■キャスト
イ・スンチョン役：ユク・ソンジェ
ファン・テヨン役：イ・ジョンウォン
オ・ヨジン役：ヨンウ（元MOMOLAND）
ナ・ジュヒ役：チョン・チェヨン（元DIA）
ファン・ヨンド役：チェ・ウォニョン
イ・チョル役：チェ・デチョル
チン・ソネ役：ハン・チェア
ソ・ヨンシン役：ソン・ヨウン
ほか

■配信予定
配信開始：2022年9月23日
エピソード数：全16話

■ディズニープラスとは：
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