タン・ウェイが『別れる決心』で生み出した新たなファムファタールに絶賛の嵐!

2023年01月17日19時00分映画
◎『別れる決心』EPK

初のパク・チャヌク作品に言語の壁を超えて韓国映画『別れる決心』に出演したタン・ウェイが韓国国内映画賞で主演女優賞を軒並み受賞した!映画公式サイトで予告動画が公開中だ。



<今年最もロマンティックな作品>との呼び名も高く、カンヌ国際映画祭コンペティション部門で監督賞を受賞、本年度アカデミー賞では国際長編映画賞のショートリスト入りも果たし、アカデミー賞®ノミネートにも大きく注目が集まるパク・チャヌク監督最新作の『別れる決心』。本作でタン・ウェイは、刑事のヘジュン(パク・ヘイル)が追うある事件の、被害者の妻・ソレを演じている。刑事と容疑者という立場ながらも、互いに惹かれあっていくという役どころだが、二人の交錯する目線とプラトニックながらもなんとも艶やかなやりとりに世界中の観客が虜となっている。『別れる決心』はすでに、韓国国内で社会現象とも言えるブームを巻き起こしており、数々の映画賞を獲得しているが、タンは、青龍賞・釜日映画賞・韓国映画評論家賞と韓国国内の映画賞で主演女優賞を軒並み受賞。さらにパクも青龍賞・大鐘賞・釜日映画賞にて主演男優賞を受賞するなど、男女主演賞を揃って受賞を果たすほどの独走状態だ。

パク・ヘイルの出演は脚本が出来上がる前に決定し、彼の出演を前提に脚本作業がされたというが、その際にすでにタン・ウェイの出演も決まっていたという。ヒロインのソレを中国人に設定したのも、彼女をキャスティングするためだというほどで、パク監督は、「『ラスト、コーション』を見た時から、彼女と映画を撮りたいと思っていました」と念願の出演であったことを明かし、「自信に満ちたソレというキャラクターは彼女なら説得力が出ると思ったんです。そして、彼女とパク・ヘイルなら、魅力的な組み合わせになると思いました」とオファーの決め手を語った。

そして、パク・チャヌク監督作品への出演は本作が初となるが監督の作品の大ファンだというタン・ウェイは「彼は驚異的な考えの持ち主であり、驚異的なキャラクターを生み出します。私が演じたソレというキャラクターもそうでした。昨日、パレでの公式上映が終わった瞬間、『監督、ありがとうございます。監督のおかげで、私の人生の一部が完成しました』と言ったほどです」とカンヌ国際映画祭の際に喜びを語っている。

タンが演じたソレは、夫が山で亡くなり一人残された時、夫の事件を担当する礼儀正しく清廉な刑事へジュンと出会うという中国人女性である。タンは、韓国の監督との仕事は初ではないが、これまで韓国語を話すことはなかった。本作で一から韓国語を学び、自身のセリフのみでなく相手のセリフまでを覚えていたほどの勤勉さであったという。それについて、タンは「仕事を通して学ぶのが好きなので、大変だとは思いませんでした」と言い、「大変だったのは、撮影の最初の頃に使っていた翻訳マシンの方かもしれないです。最初は面白がっていたのですが、あまり役に立たず…。必要がなくなってしまって、結局途中から使わなくなってしまいました」と撮影時を振り返った。

劇中でも、普段は韓国語で話すソレが、熱弁する際に翻訳アプリを使用し、へジュンをもどかしい気持ちにさせるシーンがあり、なんとも印象的なのだが、彼女自身も言語の壁を超えての出演であった。

『ラスト、コーション』にて熱烈な映画デビューを果たし、<女スパイが暗殺目的で誘惑する>という、所謂ファムファタール(男を破滅させる魔性性のある運命の女性)的な役柄で映画史に名を刻むほどの熱演を魅せた、タン・ウェイ。しかしパク監督は、この映画に従来の意味でのファム・ファタールは当てらず、意識的に気を配り極力避けようともしたという。女性を神話化したり、性的対象としてみたりする従来のファムファタール像というのは現代の価値観には通用しないかもしれないというのだ。ただ、本作で、ヘジュンを翻弄し惹きつけてやまないソレの姿に、『どうやってへジュンを弄ぼうとするのか』と好奇心を持って早合点をすることとなるだろう。監督は「ソレは愛という言葉で全てを正当化できないほど、本当に命をかけた愛をしている人物であり、そういう彼女の姿を見ながら、『私が見間違えていたのか』と作品を楽しんでもらえるといい」と語った。タン・ウェイだからこそ魅せることができる現代に生まれる新たなファムファタール像に注目だ。

別れの■映画概要
監督:パク・チャヌク
脚本:チョン・ソギョン、パク・チャヌク
出演:パク・ヘイル、タン・ウェイ、イ・ジョンヒョン、コ・ギョンピョ
提供:ハピネットファントム・スタジオ、WOWOW
配給:ハピネットファントム・スタジオ
原題:헤어질 결심|2022 年|韓国映画|シネマスコープ|上映時間:138 分|映画の区分:G
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