【試写レポ】『THE WITCH/魔女 -増殖-』ため息ものの豪華キャストと前作超えのバトルに、高まる3作目への期待!

2023年03月31日20時00分映画
『THE WITCH 魔女―増殖―』より

人体実験で殺人兵器と化した少女の戦いを描いて話題となった韓国映画『The Witch 魔女』シリーズの第2作『THE WITCH 魔女―増殖―』の5月26日劇場公開に先駆けて試写したので、ネタバレなしで見どころと感想をご紹介しよう。予告動画などは映画公式サイトで視聴できる。



『THE WITCH/魔女 ―増殖―』は、焦土化した秘密研究所でただ1人で生き残り、世界の外に出ることになった少女の前に、異なる目的で彼女を追う勢力が集まり壮絶なバトルを展開するアクション映画だ。

オーディションで1408人の中から抜てきされた新人、シン・シアが主演を務め、ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」で一躍時の人となったパク・ウンビン、ドラマ「ビッグマウス」のイ・ジョンソク、そして前作の主演キム・ダミも出演、「新しき世界」のパク・フンジョンが前作に続いて監督・脚本を手がけている。
このたび試写をし、想像以上のアクションと物語の展開に驚いた。

始まりは、まだカセットで音楽を聴いている人がいる時代。社員旅行の団体バスが襲われ、一人の妊婦だけが生き残る。この女性が生き残ったのには訳があり、それがこの物語で描かれるバトルにつながっていく。

時は流れ現代となり、極寒の中、全身血まみれの少女(シン・シア)が裸足でさまよっている。彼女は、秘密研究所アークに収容されていた人物で、何者かによって襲撃されたアークで1人生き残ったのだ。何を隠そう少女は、遺伝子操作で最凶のアサシンを養成する「魔女プロジェクト」の実験体だったのだ。そんなインパクトのあるシーンから物語はスタートし、舞台は済州島に移っていく。

済州島に住むギョンヒ(パク・ウンビン)は、弟のデギル(ソン・ユビン)と住んでいる。広大な敷地を買い取るために必死のヤクザ、ヨンドゥ(チン・グ)らの執拗な嫌がらせを受けながらも、自分たちが住む土地を守ろうと必死だ。

ある日、ギョンヒがヨンドゥの手下の車で連れ去られていると、道路を血まみれの少女が歩いていた。ヨンドゥの手下たちがギョンヒとともに少女を連れ去るが、少女は恐ろしい力で手下たちを倒していく。片手で車を投げ飛ばし、手下たちはあっという間に瀕死の状態となる。

WITCH『THE WITCH 魔女―増殖―』より人間とは思えない能力を持つ少女は一体何者なのか。疑問に思いながらも、自らを助けてくれた少女をかくまうギョンヒ。少女はギョンヒを恩人と思うようになり、そして弟のデギルとの間にも絆が生まれる。

人間社会から隔離されていた少女が収容されていた箱舟(アーク)の責任者、チャン(イ・ジョンソク)や、魔女プロジェクト創始者、ペク総括(チョ・ミンス)、そして逃げ出した少女を追う工作員、チョ・ヒョン曹長(ソ・ウンス)らが登場し、少女をめぐって激しいバトルが繰り広げられる。また、前作の主演で、姿を消した魔女、ク・ジャユン(キム・ダミ)と少女の関係もラストで明らかになる。

少女を演じたのは、1408人の中からオーディションで選ばれ、今作で初めて演技を披露するシン・シア。彼女の存在感がすごい。人間社会から隔離されていた孤独な少女という役柄のため、ほとんど無表情でせりふもあまりない。そんな難しい役であるにも関わらず、目で感情を表現し、少女の怒りや戸惑い、そして喜びを豊かに演じた。これまで演技経験がないとは思えない、見事なパフォーマンスだ。

『THE WITCH 魔女―増殖―』より『THE WITCH 魔女―増殖―』よりそんな無機質な少女とは対照的に、パク・ウンビンが演じるギョンヒは、人間の温かみを随所に感じる優しい女性だ。「恋慕」で史劇アクションを見せたパク・ウンビンが、剣を銃をに持ち替えて、時に乱暴な言葉を発したりもするのだが、激しい銃撃戦や血が飛び散る争いが多く描かれる本作で、パク・ウンビンの存在は癒しとなる。

パク・ウンビン『THE WITCH 魔女―増殖―』より同様にギョンヒの弟・デギルを演じたソン・ユビンも癒しの存在となった。特に少女はデギルと心を通わせるので、二人が美しい星空のもとで語り合うシーンは、それまでの激しい戦いが嘘のように、まるでラブストーリーをみているかのような気持ちになれる。

この3人以外のシーンは、熾烈な銃撃戦・肉弾戦が繰り広げられ、宙を舞い、血が飛び散るといった激しいアクションが描かれる。そんな手に汗握るシーンが多いながらも、本作では笑いが随所に入っているのが面白い。

例えばヤクザのボス、ヨンドゥを演じるチン・グだ。

2022年にディズニープラスで配信された「刑事ロク 最後の心理戦」では、イ・ソンミンと対峙する型破りな刑事を好演した。

今回はヤクザのボスということで、血も涙もない残忍なキャラクターとして登場するかと思いきや、車を軽々と持ち上げ、投げ飛ばしてしまう少女に腰を抜かしてしまう。挙句の果てには、ギョンヒに「しっかりしてよ!!」と喝を入れられてしまう、そんなちょっと3枚目なヤクザを演じている。もちろんヤクザの非情さも表現しつつ、間抜けな姿もみせるチン・グの演技のふり幅の広さは、さすがとしかいいようがない。

『THE WITCH 魔女―増殖―』より『THE WITCH 魔女―増殖―』よりそして工作員のチョ・ヒョン曹長(ソ・ウンス)と外国人の部下とのやり取りも愉快だ。チョ・ヒョンは、「くそ野郎」と汚い言葉を使う時は韓国語を使い、部下に「韓国語は汚い言葉が多い」と言われた時の不満げな表情がなかなかいい。もちろんソ・ウンスのガンアクションと流暢な英語にも注目だ。

映画『THE WITCH 魔女―増殖―』より『THE WITCH 魔女―増殖―』より箱舟(アーク)の責任者、チャンを演じるイ・ジョンソクと前作で主演を演じたキム・ダミは、出番こそ少ないが、圧倒的な存在感を放っている。こうしてみると、本当に豪華なキャスティングだとため息が出る。「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」「ビッグマウス」「梨泰院クラス」の出演者がそろって登場するとは、なんとぜいたくなことだろう。

映画『THE WITCH 魔女―増殖―』より『THE WITCH 魔女―増殖―』より基本的なストーリー展開やヒロインが身を寄せる田舎の牧場の家など、前作を丁寧に引き継いだ本作。ラストのイ・ジョンソクの意味深なセリフからも第3弾が期待させられるが、次作は間違いなくイ・ジョンソクとキム・ダミが、ますます存在感を増していくだろう。「覚醒」したシン・シアをめぐって、どのような戦いが繰り広げられるのか、恐ろしくもあり、楽しみでもある。

『THE WITCH 魔女―増殖―』は、2023年5月26日に全国公開される。

■作品概要
脚本/監督:パク・フンジョン『新しき世界』
出演:シン・シア パク・ウンビン「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」 ソ・ウンス『キングメーカー 大統領を作った男』 ソン・ユビン『神と共に 第一章:罪と罰』  チン・グ「太陽の末裔」 チョ・ミンス『嘆きのピエタ』 イ・ジョンソク「ビッグマウス」 キム・ダミ「梨泰院クラス」

2022年/韓国/138分/5.1ch/シネスコ/字幕翻訳:福留友子/提供:ツイン、Hulu/配給:ツイン  ark-thewitch.com
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映画公式サイト

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