『それから』、夏目漱石の同名小説。
登場人物たちの揺れ動く心情を、森田芳光監督が美しい映像で描く。

エンタテインメント 邦画 恋愛
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夏目漱石にしても、森鴎外にしても、明治の文豪たちの凄さというのは、現代でも十分に通じる恋愛小説を書いていることである。道ならぬ愛もあれば、純愛もあるし、叶わぬ恋もある。
この漱石の『それから』にしても、そうだ。真正面から恋愛を取り上げ、甘美さだけでなく、悲しさ、辛さをも描いていくのである。

明治42年。長井代助(松田優作)は高等遊民を自認し、30歳になるも定職に就かず、結婚もしていない。周りからは、早く結婚するよううるさく言われていた。
ある日、学生時代の友人、平岡常次郎(小林薫)が3年ぶりに東京に戻ってくるという知らせが届く。
実は、平岡の妻、三千代(藤谷美和子)は、かつて代助も心を寄せていた女性だったのだ……。

森田芳光監督、いつもの軽妙な演出は封印し、重厚な、息詰まるような映像空間を作り出している。そんな試みに松田優作、藤谷美和子も十分に応えており、とくにワンカット、7分間にわたる告白シーンは観ているほうも緊張してしまう。
とにかく、恋愛というものの芯の部分は、いつの時代にも変わらないようである。まとっている衣装が変化しているだけなのかもしれない。

Yahoo!映画オンラインシアターの『それから』番組情報
  • 原案:夏目漱石/監督:森田芳光/脚本:筒井ともみ/音楽:梅林茂
  • 松田優作/藤谷美和子/小林薫/美保純

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