観客の涙を誘う悲恋物語、若き吉永小百合の代表作『愛と死をみつめて』。

エンタテインメント 邦画 青春
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吉永小百合という女優は、よく考えると、実に長きにわたって第一線で活躍している。いまも主演した『まぼろしの邪馬台国』が公開中なのだ。
最近の、年を経て味のある雰囲気もまた良いが、やはり、20代のころの輝きは、他に類がないだろう。その残像を抱いているファンも多いのではないか。
『愛と死をみつめて』は、そんな吉永小百合と、かつてのゴールデンコンビ、浜田光夫の悲恋ものである。

浪人中の高野誠(浜田光夫)と高校生の小島道子(吉永小百合)は病院で出会い、互いに好意を持って、文通するようになる。
ただ、道子はさらに入院生活を余儀なくされていた。そんな道子が元気づけられるのは誠の手紙の故だった。
高校を出た道子は希望の大学に入学するが、肉腫の再発でまた入院しなければならなくなる。
道子の苦しい闘病がはじまるが、生命を守るためには大手術が必要だと言われるのだった……。

実話を元にしているだけに、話そのものは淡々と進む。
ただ、この作品では、吉永小百合じしんのもつ寂寥感がうまく発揮されていて、不思議なリアリティを生んでいるのだ。
他にも、笠智衆、滝沢修、北林谷栄、ミヤコ蝶々、笠置シヅ子など芸達者が多数出演して、画面を引き締めている。

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