★「歴史ドラマ」を楽しむ⑮新ヒーロー登場?‐『大望』チョ・インソン

特集 韓ドラここが知りたい 新ヒーロー登場
『大望』は、商業に従事する主人公が権力者たちと起こす軋轢と、それを克服する過程とロマンスを描いた歴史劇で、時代は朝鮮時代の末期。

この時代を描いた作品はMBC「商道」やSBS「女人天下」など韓国ドラマにたくさんあるが、『大望』は現代劇に通じるテンポのあるアクションで圧倒的に若い層からの人気を集めた。そういう意味では、前回まで紹介した「チェオクの剣」の支持層と似ている。しかし、こちらは「チェオクの剣」に比べてロマンスよりアクションに特化していて、もう少し娯楽性が高い作品と言えるかもしれない。

出演者たちも当時(2002年)人気沸騰中の若手俳優と女優たちを登用していて、彼らのほとんどは歴史ドラマ初出演。その中のひとりに今回紹介するチョ・インソンがいた。

彼は、「チェオクの剣」のハ・ジウォンら、今をときめく人気俳優を多く輩出した名作「学校シリーズ」でドラマデビューし、その後、「ピアノ」「星を射る」「バリでの出来事」などで一躍トップ俳優の仲間入りをした。モムチャンの体格のよさと少年のような澄んだ笑顔が魅力で、彼の天真爛漫な笑顔は不思議とファンたちの心を掴んで離さない。嵌る俳優である!

彼は、現在韓国で大ヒット公開中の映画「霜花店」で歴史劇の主役を演じているが、初めて歴史ドラマに挑戦したのがこの『大望』だ。しかし、このドラマでの彼の出演は、冒頭シーンに少し出てくるだけ。冒頭シーンで彼はトラと格闘する。そのシーンからは「歴史物」の臭いが全くしない。それでいて違和感は感じないのだ。時代を超越した彼の佇まいが「なんだか不自然だが、カッコイイ」と若者の目に写ったのかもしれない。

トラとの対決シーンの直後に、若い女性が突如現われる。で、その女性の出産を手伝う羽目になるのだが、ここでの女性とのやり取りでも、彼の演技に時代は感じられない。トラをも狩るほどの剣術の腕の持ち主ながら、産婦の言いなりになってしまう。そして、散々世話をした女に簡単に捨てられるのだ。まるで、「彼女に良いように使われる最近のチョロイ彼氏」そのもの。

彼の醸し出す中性的な雰囲気と、武将というより貴公子と言った方がピッタリ来る端正な姿は、これまでの韓国の歴史ドラマの主人公とはあまりにもかけ離れている。それでいて、多くの『大望』ファンの記憶の中に彼の姿が深く刻まれているのだからなんとも不思議な魅力の持ち主だ。

新作映画「霜花店」は、王と若き護衛兵との禁断の恋を描いた物語だが、ユ・ハ監督は彼のこの不思議な魅力に嵌ったのかもしれない。

俳優チョ・インソンには“外柔内剛”という言葉がよく似合う。たおやかでいてそれでいて決して芯がぶれない。身長187センチもある大人の男性相手に“かわいい”という言葉がこれほどしっくりくるのも珍しいのではないだろうか?現代ものであれ、時代物であれとにかく今後の彼の活躍から目が離せない。

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キャスト: チャン・ヒョク、ソン・イェジン、イ・ヨウォン、ハン・ジェソク
演出:キム・ジョンハク、脚本:ソン・ジナ