アトムの夢全33話

原子力を理解するために基本となる知識と技術をわかりやすく説明し、中学生と一緒に考える番組です。第1回「いまなぜアインシュタインか」まずアトムとはギリシャ語の(これ以上分けられないもの)という言葉だ、という説明からはじめます。そして、物質の最小単位であるアトム(原子)1個にもエネルギーがある、と予言したアルバート・アインシュタイン博士を紹介します。1905年、彼が発表した三つの論文(①光量子仮説②ブラウン運動③特殊相対性理論)を説明します。①は<光は波であると同時に粒子であること> ②は<物質は常に運動していること>③は<物質の質量とエネルギーは深い関係があること> 以上が重要なポイントです。そしてこの番組で特に重要なのは③の特殊相対性理論であることを強調します。アインシュタインが発表した方程式とは何か?彼の予言によれば、1gの物質をすべてエネルギーに変換したならば100万KWの発電所を24時間稼動させてつくるエネルギーに相当します。この予言が今日の原子力エネルギー開発の重要なキーワードとなりました。なぜこれがキーワードなのか。それを今後13回にわたって勉強していくことを予告します。また、アインシュタイン博士とはどんな人間だったのか、少年時代勉強はあまり好きではなかったこと、バスの料金の計算をよく間違えたこと、自分の住所をよく忘れたこと、などを紹介します。つまり、天才とは俗事に無関心な面があり、既製の常識にこだわらなかったからこそ、ものすごい発明発見をするわけです。サイエンスとは常識を疑ってみることから新しい進歩の道を見つける学問なのです。最後に<特殊相対性理論>が原子力エネルギー開発のキーワードになったことをもう一度強調して番組を終わります。
  • 餌取 章男 日本科学技術振興財団 理事、立川 らく次 立川企画 落語家、麻布科学実験教室 中学部のみなさん 株式会社 創造教育センター
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原子力を理解するために基本となる知識と技術をわかりやすく説明し、中学生と一緒に考える番組です。第2回「それはギリシャにはじまった」2004年にオリンピックが開催されるアテネを首都とするギリシャはヨーロッパの何処にあるのか?から話をはじめます。そのギリシャにはいまから2000年以上昔に偉大な科学者が沢山いました。彼らはあらゆる物質はなにからできているか、いろいろな学説を発表しました。タレスは(すべて水でできている)と言い、アリストテレスは(水と火と土と空気ともうひとつよくわからない何かで出来ている)と言いました。そしてデモクリトスと言う学者はこれ以上分けられないもの、つまりアトムが万物を作っている)と発表しました。しかし、このデモクリトスの学説はアリストテレスをはじめとする有名な学者たちに否定されました。新しい学説というものは最初否定されるのが世の中の常のようです。ここで話は変わって錬金術の紹介に入ります。アリストテレスの(万物は水と火と土と空気ともうひとつよくわからない何かで出来ている)という説から(よくわからない何か)が見つかれば、貴重な金や銀を人工的に作れるかもしれない、という考え方が生まれました。これが中世の錬金術の流行を生みます。多くの科学者が金や銀を人工的につくろうと様々な実験を試みます。でも、元素である金や銀を人工的につくれるはずがありません。錬金術は失敗に終わります。でも、そこから収穫もありました。第一に金や銀は人工的につくれないものであるとわかったこと。第二に、さまざまな実験が、試験管、ビーカー、フラスコなどの実験機材を進歩させたこと。失敗は成功の母なのです。
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原子力を理解するために基本となる知識と技術をわかりやすく説明し、中学生と一緒に考える番組です。第3回「元素発見の歴史」万物の中でもっとも硬いものがダイヤモンド。このダイヤモンドがなにからできているのか?昔、ダイヤモンドを燃やす実験が行われました。ダイヤモンドを燃やすと酸化して炭酸ガスになってしまう。その結果ダイヤモンドは炭素からできていることがわかりました。ここで、原子(アトム)と元素(エレメント)の考え方の違いを説明します。さらに、ギリシャ時代、万物の素であると信じられていた水も実は水素と酸素の化合物であることがわかりました。そして元素発見の歴史をふりかえります。古代に発見されたものはなにか。中世に発見されたものはなにか。近世に発見されたものはなにか。いったい原子っていくつあるのか。原子番号1番の水素から92番のウラニウムまで、自然界に存在する元素を紹介します。他に一定の条件を与えると、非常に短い時間だけ存在する元素がいくつかあることに少しだけふれます。このなかで、原子力エネルギーになるウラニウムについては後に詳しく説明する事を約束します。ところで地球上で一番多い元素は何か?クラーク博士の研究によると、一番多いのは酸素、続いて珪素であることを説明します。人間の身体の中に多いのはなにか?人間の身体の約三分の二は水分なので、水素と酸素が多いわけです。では宇宙で一番多い元素はなにか?これは圧倒的に水素とヘリウムです。そして復習です。ギリシャ時代、元素のひとつと信じられていた(水)も(土)も、その後の科学者の研究で、元素ではなく化合物であることがわかりました。このように、科学の進歩はそれまでの常識をこわしてゆく。そこに科学の魅力があることを強調します。
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原子力を理解するために基本となる知識と技術をわかりやすく説明し、中学生と一緒に考える番組です。第4回「マリー・キュリーとイレーヌ・キュリー」キュリー夫人がラジウムを発見したこと。そして、ラジウムが出す放射線の研究をしたことから話をはじめます。放射線とは、ある種の元素が出す目に見えない光のこと。放射能とは、この光を出す能力のこと。二つの言語を混同しないようにと強調します。ところで、19世紀末から20世紀初期に放射線の研究がとても進歩しました。1895年、レントゲンがX線発見。1896年、ベクレルがウランの放射能を発見。1902年、キュリー夫妻がラジウム発見。1905年アインシュタインが特殊相対性理論を発表。これらが後の原子力研究に大きく貢献したことを強調します。そしてもう一度放射線とはなにか、に話を戻します。放射線とは目に見えない光。光には目に見える光と見えない光があること。目に見えない光のうち、波長の長いものの特長。放射線に代表される波長の短いものの特長。放射線の透過力の強さが医学の進歩に大いに役立ったこと。しかし、気をつけなければいけないのは透過力の強い光は身体を壊す場合もあるいうこと。そして、キュリー夫人の娘、イレーヌを紹介します。彼女はウラニウムの原子にさらなる刺激を与える研究をし、原子が壊れるとき、すごいエネルギーが出ることを発見しました。原子力の研究がまた一歩前進したのです。このように、親から子へ、先輩から後輩へ研究成果が受け継がれてゆくこともまた科学では大切なのです。
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原子力を理解するために基本となる知識と技術をわかりやすく説明し、中学生と一緒に考える番組です。第5回「原子の構造(その1)」原子一個ってどのくらいの大きさなのか?ここで、1mの100億分の1、オングストロームという単位について勉強します。そして、目に見えない小さなものの実態をどうやって調べるのかについてを考えます。粒子は光速のスピードで運動しています。それが何かにぶっかったときの衝撃で、目に見えないものの実態を調べるのです。ひとつの実験を見せます。ガラス管の中へ高圧電流を流すと、1本の線が見えます。そこへ磁石を近けると線が動きます。電気には+同士-同士が反発しあい+と-はくっつく。という性質を学びます。イギリスの物理学者トムソンは、この電気の性質を利用して、原子の中には-の電気を持った小さい粒子があると発表、これを電子と名付けました。ここで、それぞれの元素の持っている電子の数を紹介します。次に電子の発見によって、原子はどんな構造なのか世界の物理学者たちが研究をはじめました。イギリスのトムソンは雲のような形と主張しました。日本の長岡半太郎は輪を持った土星のような形を主張しました。当時は雲型が有力で、土星型は否定されましたが、後に長岡半太郎が正しいことがわかります。ここでまた、新しい理論ははじめ否定されやすいということを復習します。ギリシャのデモクリトスの原子説、ガリレオの地動説、そして、長岡半太郎の原子構造の理論、いずれも、常識を打ち破ったものゆえに、はじめ否定されたのです。いま常識になっていることでも、一度はなぜ?って考え直してみる、そこから科学は進歩するのです。
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原子力を理解するために基本となる知識と技術をわかりやすく説明し、中学生と一緒に考える番組です。第6回「原子の構造(その2)」まず放射線の中にアルファ線、ベータ線、ガンマ線について説明し、これらの放射線が原子の構造の研究に大きな役割を果たしたことを強調します。20世紀のはじめ、イギリスの物理学者ラザフォードは、薄い金箔にアルファ線をぶつけた。すると、ごくまれにアルファ線が大きな角度で進路を変えたのです。それは何を意味するのか?金の中に+の電気を持ったなにかがある。ラザフォードはそれを(原子核)と命名しました。続いて、窒素にアルファ線をぶつけたところ、原子核の中から何かが飛び出しました。ラザフォードはそれを(陽子)と命名。次に、イギリスの物理学者チャドウィックが、原子核の中に陽子と同じ質量で電気を帯びていないものがあると発表、これを(中性子)と名付けました。ここで、原子の構造について、まとめてみます。陽子と中性子がつくる原子核。そのまわりをまわっている電子。電子の数は水素が1個、酸素は8個、ウラニウムは92個。さて話を変えて、同位元素(アイソトープ)について説明します。同位元素とは、同じ元素の仲間でありながら、中性子の数がちがうものです。例えば、天然のウラニウムには234、235、238という三つの同位元素があります。そして、この同位元素が原子力エネルギーの重要なキーとなることを予告します。もうひとつ、この回で(絶対温度)の勉強をします。自然界で高い温度は無限大らしいが、低い温度はマイナス273,15℃以下になりません。それは273,15℃で原子は運動を止めてしまうからです。逆にいえば、温度は原子の運動によって変化するものなのです。
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原子力を理解するために基本となる知識と技術をわかりやすく説明し、中学生と一緒に考える番組です。第7回「湯川秀樹博士の功績」ノーベル賞とは何か、という勉強からはじめます。そして、日本初のノーベル賞受賞者、湯川秀樹博士をクローズアップします。ここで一寸前回の復習。原子核の中には(+)の電気を持った陽子と電気を持たない中性子があります。そこでなぜ、陽子同士が反発しあってバラバラになってしまわないのか?湯川博士はこの点に疑問を持ち、考えを進めました。そして、原子核のなかには、陽子と中性子のほかに、もっと小さい(中間子)というものがあり、これが陽子と中性子の間を行ったり来たりしている。中間子がぶつかると、陽子が中性子に変わったり、中性子が陽子に変わったりする。湯川博士はこれを実験ではなく理論として考え、論文にまとめました。1934年のことです。ヒントは、研究所の仲間とキャッチボールしていたときに得たと言われています。中間子理論ははじめ世界の物理学界で否定されました。この番組で繰り返し述べていますが、それまでの常識をくつがえす新理論には拒否反応が強いものです。しかし、、1937年、アメリカのアンダーソンが中間子を発見、湯川理論の正しさが証明されました。そして、1949年、湯川博士はノーベル物理学賞・受賞。最後に素顔の湯川秀樹博士について紹介します。彼は当時できたばかりのテレビジョンについて、早くもその影響力が強くなるだろう、と予言していたということです。
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原子力を理解するために基本となる知識と技術をわかりやすく説明し、中学生と一緒に考える番組です。第8回「核分裂」原子(アトム)はこれ以上分けることができないもののはずでした。しかし、科学者たちの研究の積み重ねにより、原子も分裂することがわかりました。ウラニウムの原子核に放射線を当てていろいろな実験を試みたことの成果です。原子核は分裂すると中性子が飛び出します。飛び出した中性子が近くの原子核にまたぶつかって、そこでも分裂がおこります。これを核分裂と呼びます。そして核分裂は連鎖反応を起こします。ここでアインシュタインの予言を復習します。どんな小さな物質にもエネルギーを出すパワーがあること。そして、核分裂は、連鎖反応によって、ものすごいエネルギーを出します。原子爆弾の誕生です。ところで、ウラニウムには同位元素があります。天然ものの99%以上が238、わずか0,3~0,5%の235、そして、もっと少ない量の234です。ウラニウム235に中性子がぶつかると核分裂をおこします。ウラニウム238はぶっかつてくる中性子をのみ込んでも核分裂をおこしません。しかし、中性子の数が変わり、プルトニウム239というものになります。これは人工的に作られた新しい元素です。前に自然にある元素は92番目のウラニウム(天王星という意味)までと勉強しました。その次に人工的に誕生した元素、93番目がネプツニウム(海王星)94番目がプルトニウム(冥王星)と呼びます。プルトニウム239に中性子がぶつかると核分裂が連鎖反応でおこり、ものすごいエネルギーを出します。広島に落とされた原爆はウラニウム235、長崎に落とされたものはプルトニウム239を使ったものです。核分裂の研究は恐ろしい兵器を生みました。これはよくないことです。核分裂が生むエネルギーを平和利用するためにはどうすればよいのか。それを次回に勉強します。
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原子力を理解するために基本となる知識と技術をわかりやすく説明し、中学生と一緒に考える番組です。第9回「原子炉」核分裂が生むものすごいエネルギーを核兵器にするのではなく、平和利用するためにはどうしたらよいのか。これが今回のテーマです。まず、核分裂に使用するウラニウム235の量を少なくします。核兵器に使う場合に比べて、3%~5%のウラニウム235を核分裂させます。しかもパーフェクトに安全管理をした原子炉の中で行います。原子炉の仕組みはどうなっているのか?図表を使って、核分裂で生じたエネルギーで水を水蒸気にかえ、水蒸気の力でタービンをまわして、電気をつくることを説明します。次に安全管理です。これを図を使って説明します。核分裂作用のブレーキの役割をする制御棒。燃料棒に入ったペレット、そのペレットを包む被ふく管、原子炉圧力容器、原子炉格納容器、原子炉建屋、と五重の壁が安全を管理します。水力、火力、さまざまな自然エネルギー利用について、その長所と短所を考えてみます。そして、原子力の平和利用のためには、完璧な安全確認が大切であることを復習します。水力、火力、原子力、自然エネルギーのベスト・ミックス、これが現在もっとも望ましい形の電気供給であることを説明して番組をしめくくります。
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原子力を理解するために基本となる知識と技術をわかりやすく説明し、中学生と一緒に考える番組です。第10回「放射性廃棄物」原子力エネルギーを安全に運用するためには原子炉の安全だけでは済みません。原子燃料を燃やした後に残る放射性廃棄物をどうするかが問題です。今回はこの放射性廃棄物をどう処理するかについて勉強します。文明の進歩に伴ってゴミも多くなることは必然です。身近なゴミ処理問題から考え初めて、原子炉の出すいろいろな放射能を持つ廃棄物をどう処理するかを解説します。なにしろ、ウラン235を燃やして、残ったプルトニウム239は強い放射能を持ち、厄介な代物です。原子力発電所では慎重にこれを処理します。また、電力中央研究所では、より完全な廃棄物処理について、さまざまな研究を進めています。一番頭を悩ますのは、使用済み核燃料の再処理です。イギリスやフランスへ船で運んで再処理してもらうのが現状ですが、これに甘んじてはいられません。使用済み核燃料をどうするのか、今後の大きな課題です。
  • 餌取 章男 日本科学技術振興財団 理事、立川 らく次 立川企画 落語家、麻布科学実験教室 中学部のみなさん 株式会社 創造教育センター、中村 政雄 財団法人 電力中央研究所 研究顧問
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