テクノ・ギャラリー全63話

出演者プロフィール原島 博 (はらしま ひろし)1945年9月12日 東京生まれ 55歳 1968年東京大学工学部卒1973年同大学院博士課程修了  工学博士同大学専任講師、助教授を経て、1991年から教授。1995年3月日本顔学会を設立。現在、東京大学大学院情報学環教授。(工学部電子情報工学科兼務)番組内容 原島教授は一貫して情報工学の分野を歩いてきた。情報の本質は何か。それは人と人とのコミュニケーションであると教授は考える。では人はどこから情報を得ているのか。その最大のものは顔であると教授は言う。そこから顔の研究が始まり、ついには異分野の研究者を巻き込んだ顔学会の設立に至った。 専門性にとらわれない学問のあり方を目指す教授は、顔学が稀に見る学際的な組織になったと考える。それは教授が提唱する「ダ・ヴィンチ科学」のひとつの実践の場にもなった。こうした教授のユニークな発想の源は、感受性豊かな生活を送っていた子ども時代にあった。文系の感性を持った理系の研究者、それが教授が理想とする今後の科学者の姿である。
  • 原島博 東京大学大学院工学部教授、中尾みち雄(ナレーター) 青ニプロダクション、
  • 再生時間 : 29分
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茨城大学農学部資源生物化学科 助教授太田寛行さんの研究を紹介。太田さんの研究対象は人間の目では見えない小さな生き物「微生物」である。微生物は人間が生まれるずっと前、原始段階から地球上で生きてきた。長い時間の中で、彼らはあらゆる環境下でも種を維持するために、さまざまな生活週間を身につけてきたのだ。そしてさまざまな生活週間を持った種が食物連鎖の関係を作り、1つの社会を作っている。太田さんは微生物社会の中でも土の中の微生物社会を調べている。一掴みの中に1万3千種はいるという土壌微生物の社会は、その社会が成り立つことによって、野菜が育つための養分を作ってくれる。いわば生き物社会全体を支える縁の下の力持ちなのである。1991年、フィリピンのピナツボ火山が噴火した。噴火によって火山灰に覆われた大地には微生物がいなくなってしまったのだ。しかしながら10年たった現在、土の中には少しずつ微生物が発生し、社会が作られ、それによって植物も生え始めている。太田さんは、ピナツボ火山周辺の土を調べることによって、微生物社会がどう構築されるのかそのプロセスが分かるのではと調べている。それと同時に、少しでも早く農作物の育つ土を作るためにあとどんな微生物が足りないのか、調べているのだ。遺伝子解析など技術が進んだ現在でも土の微生物のまだ1パーセントしか分かっていないという。太田さんは、少しでも土の微生物のことを知ろうと、土を見つめている。
  • 太田寛行 茨城大学農学部資源生物化学科、中尾みち雄(ナレーター) 青ニプロダクション、
  • 再生時間 : 29分
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「良い音」と「悪い音」の違いとはいったい何か? 楽器はどんな仕組みで音を発しているのか? この謎に取り組み続ける電気通信大学の高澤嘉光先生は、もともとはコンピュータが専門。少年時代からのクラシックマニアである高澤さんは、コンピュータを使ってピアノを自由自在に演奏できないか、と22年前に研究開始。出たばかりの日本最初のパソコンを駆使して、コンピュータによる自動ピアノを開発。数曲の演奏に成功するが、その後、コンピュータは極端に発達。作曲ソフトも豊富になり、研究に意味がなくなってしまう。そこで、今度は「音」そのものの研究へと移行する。「良い音」を探るため、残響時間を調節できる実験室を作り、特製の計測器を使って弦楽器の弦の振動をチェック。その結果、弦楽器の弦運動は、それまで考えられていた単純なものではなく、じつに複雑精妙な動きをしていたことがわかる。高澤さんのさらなる調査により、弦を止める「駒」の違いによって、その弦運動に差が生じ、それがギターとピアノの音色の差なのであった、ということが判明するのだった。
  • 高澤嘉光 電気通信大学情報工学部、中尾みち雄(ナレーター) 青ニプロダクション、
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理化学研究所の辨野義己さんを紹介。辨野さんの研究対象は腸内細菌。人の寿命や病気に関係する腸内細菌の興味ある話しを紹介する。
  • 辨野義己 農学博士 理化学研究所 微生物系統保存施設室長、中尾みち尾(ナレーター) 青ニプロダクション、
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独立行政法人 産業技術総合研究所 脳神経研究部門 感覚認知科学研究グループ グループリーダー、斉藤幸子さんの研究を紹介。彼女の専門は心理学。大学時代よりにおいや味が人間の心理にどう影響を与えるのか、心に挑んできた。味嗅覚は視覚や聴覚に比べて、じゃまされるんものが少ない為、過去の出来事と連合して覚えてることが多いという。だからこそ、においは過去のことを思い出させ、脳を活性化させるきっかけになるのではと考えている。6年前からは、脳計測も含めて、においを認知した脳がどう働くのか解明に努めている。
  • 斉藤幸子 独立行政法人 産業技術総合研究所、澤井正延(ナレーター) 株式会社アマゾン、
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東京大学工学部の舘研究室。ここでは、日本におけるロボット工学・バーチャルリアリティ研究の第一人者である舘教授が、いくつものプロジェクトを進めている。舘教授が提唱する「テレイグジスタンス」とは、人間がロボットを遠隔操縦することで、臨場感を味わいつつ目的の行動を果たす技術のこと。舘教授は大学生の時に、ラジオでノーバート・ウィーナーの「サイバネティクス」の考え方に触れ、以後、機械と人間の関わりについて研究を続けてきた。まず、盲人のために盲導犬ロボを研究、開発。続けて遠隔操縦型の極限状況で作業できるロボットを開発。「テレサ」と名付けられたそのロボットは視覚を完全に操縦者の元に再現、3次元感覚と、ロボットの一体感を感じさせる画期的なロボットだった。このように、離れた場所で、人間の分身(ロボット)が活動し、操縦者の目的が実体を伴なう技術「テレイグジスタンス」は、現在も発展を続けており、舘教授が次世代のロボット構想として進めているのが、「アールキューブ」だ。これは、ネットワークとロボットを結びつけたもので、利用者は、インターネットに接続する感覚で、コクピットブースから世界各地のロボットに接続、旅行や買い物、コミュニケーションがはかれるというシステム。これなら老人や体の不自由な人でも世界各地に行くことができる。さらに、操縦者の姿がロボットに投影されるシステム「相互テレイグジスタンス」の研究も進んでおり、人間にとって「実体験」の幅は予想もつかないほど大きく広がることになりそうだ。
  • 舘すすむ 東京大学工学部、塚本千代(ナレーター) 紅屋25時、
  • 再生時間 : 29分
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八ヶ岳南麓天文台 地震前兆電離層観測センター台長 串田嘉男さんを紹介。串田さんはFM放送の電波を使った流れ星の観測中に地震に先行する現象を発見した。天気予報のように地震予報が世の中に流せる日を現実のものとするために、この6年間、1日の休みもとらず地震前兆の観測を続けている。
  • 串田嘉男 八ヶ岳南麓天文台 地震前兆電離層観測研究センター、中尾みちお(ナレーター) 青二プロダクション、
  • 再生時間 : 29分
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日本原子力研究所高崎研究所 植物資源利用研究室 室長 田中 淳さんの研究を紹介。「TIARA」というイオンビームを用いて、植物の基本的な機能を調べている。イオンビームを植物の遺伝子に当てると、突然変異体を作ることができる。生物の機能を探る研究は、突然変異体を中心に進んできたといえる。田中さんは、研究に役立ついくつかの突然変異体を作り出してきた。例えば、その中の1つが「フリル突然変異体」である。フリル突然変異体は、野生種であれば円い花びらであるのに対して、ギザギザの花びらを持つ変異体。これを作り出したことによって、逆にいえば、イオンビームを当てたことによってキズを付けられ、なくなった遺伝子があるから、花びらのふちをつるんとしたものにするということが分かってくるのである。植物に秘められた機能を知ることができれば、例えば今後環境が悪化した時に、その下でも生きることのできる品種を作り出すなどの応用ができるのである。
  • 農学博士 田中 淳 日本原子力研究所 高崎研究所 環境・資源利用研究部 植物資源利用研究室長、中尾みち雄(ナレーター) 青ニプロダクション、
  • 再生時間 : 29分
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原子物理学の世界が新しい局面を迎えている。教科書に記述されている、基本法則に反する結果が次々と出てくるようになったのだ。その口火を切ったのが、RIビームによる、「不安定核」の生成だ。宇宙の始まりである、ビッグバンの直後、恒星がたどる一生のある時期、瞬間だけ現れる数々の不安定核は、これまで作り出すことができても、調べるには至らなかった。しかし、安定した元素(260種類前後)が作られる過程を調査するためには、理論的に存在するはずの不安定核(7000種類)の構造を解明する必要があるのだ。そこで登場したRIビームは、安定核を破壊して飛び出した不安定核のうち、特定のひとつだけを、電磁分離して取り出したもの。理化学研究所のリングサイクロトロンでは、光速の40%まで加速して実験装置に送ることができるのだ。谷川勇夫さんは、そのRIビーム研究の第一人者。彼が、原子核の構造が陽子と中性子が均等に分布して球を作っているパターンは安定核のみの場合で、中性子過剰な原子では、原子核の周囲を霧のような密度の薄い霧のような中性子が包んでいること(中性子ハローと命名)、また別の原子核では、原子核の周囲を中性子の層が包みこんでいること(中性子スキンと命名)、などRIビームによる近年の研究成果をくわしく解説。
  • 谷川勇夫 理化学研究所、中尾みち雄(ナレーター) 青二プロダクション
  • 再生時間 : 29分
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海洋科学技術センター、海洋生態・環境研究部 土田真ニさんの研究を紹介。彼は海底に点々とある熱水、その周辺に生息する甲殻類の、日本で数少ない研究者の1人である。熱水とはいわば温泉と同じで、その熱水には硫化水素やメタンが含まれている。熱水の周りには、その硫化水素など人間を含め多くの生物にとって有害だとされる化学物質を分解するバクテリアが多数存在し、彼らが化学反応して作り出した物質をエネルギー源とする生態系が形成されたのだ。この生態系は太陽の恵みを受ける光合成下の生態系とは全く違う形で進化していったと考えられている。土田さんが熱水生物の中でも、カニを主とした甲殻類を調べるのは、甲殻類の適応能力の強さが故である。熱水に住む甲殻類が海洋のどこで、どのような環境下で生まれたのか、そのルーツを探ることは、生物全体の可能性を知ることになるのである。
  • 土田真ニ 海洋科学技術センター 海洋生態・環境研究部、中尾みち雄(ナレーター) 青ニプロダクション、
  • 再生時間 : 29分
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