「僕の彼女は九尾狐」は、現代の中の時代劇?ホン姉妹の脚本の魅力に迫る!-TBS
九つの尻尾を持つ妖怪“九尾狐”と、苦労しらずの大学生とのピュアな恋物語「僕の彼女は九尾狐」の最終回は、おそらく多くの視聴者が納得した結末だったのではないだろうか?見逃した方はTBSオンデマンドで配信している。
最終回まで視聴して、主役はもちろん脇役に至るまで演技派を配した本作、はじめは“ありえない設定”と軽く見ていた方も、後半では二人のラブラインにハラハラドキドキさせられたのでは?
もちろん俳優陣の熱演あっての賜物だが、やはり、ホン・ジョンウン、ホン・ミラン姉妹の脚本が光っていた。
ホン姉妹の脚本は、「ドラマの冒頭で思いっきり笑わせて、中盤で胸キュンさせて、胸キュンポイントが最高まで上がった時点で、切ないメロに切り替え、最高のフィニッシュで終わらせる」というお約束があるということを、筆者は常々紹介してきた。
そして、ホン姉妹の脚本のもう一つの魅力は、笑いの中に必ず「社会風刺」を入れているとも語ってきた。もっとも風刺といっても決して嫌味な書き方ではなく、それをさらりとユーモアに交えてドラマの中に取り入れるのだ。
「僕の彼女は九尾狐」のキーワードを考えてみると…「普通と違う、100日、究極の選択、命がけの恋」といったところだろうか?学歴や家庭環境のチェックなどが日本以上に厳しい韓国では、「普通と違う」ことは大きなマイナスポイント。また男女の交際で“100日”というのは男性に課せられた一大イベント。これらが、ホン姉妹の手によると、普通と違うのは「魅力的な個性」になり、100日イベントなんて「やらなくたって死ぬわけじゃなし…」となる。
また、本作の面白さはヒロインが時代感のある妖怪・九尾狐だったことにもよる。イマドキ、日本も韓国も恋愛において昔ほどの障害は少ない。現代のロマンスではその障害となるものを探すのも難しく、その壁も本人たちがその気になれば意外と容易に乗り越えられる。だから、“韓ドラ黄金則”などといわれる「異母兄弟、交通事故、記憶喪失…」などどの悲劇の数々をこれでもか、というほど盛り込む。もちろん、それでも作品ごとにそれぞれ最高のキャスティングと演出をしているので、設定は同じでも韓ドラは面白い!
ところが、時代を過去に持っていくと、“家門、派閥、身分制度…”といった抜き差しならない事情や究極の選択がついて回る。しかし、歴史ドラマでは本人たちにそうそう自由恋愛をさせるわけにもいかず、どうしても現代ドラマほどの熱愛は描けない。こうしたところが歴史ドラマは恋愛が弱いといわれるゆえんかもしれない。(もっとも最近の歴史ドラマは恋愛も濃い!)
かといって、「主人公たちにただ時空を超えさせるのは安直!」と彼女たちは考えたのだろうか?そこで彼女たちは、ラブコメの中に時代感たっぷりの妖怪・九尾狐をヒロインに据えることで、究極の選択、命がけの恋をさせることに成功した。そして怖ろしい妖怪を可愛い女の子変身させ、500年前からやってきたということで、乱暴でたどたどしい言葉を効果的に使わせた。そういう意味では、TBSの日本語の吹替えも面白かった。
また、ラストに“日食”という気象現象を持ってきたのもいかにも時代感を感じさせる。日食は超常現象として歴史ドラマでもたびたび使われている。ナビコンで紹介している「善徳女王」でも劇中“日食”に大きな演出を任せている。
こうしたことが、簡単なハッピーエンドでも、「人魚姫」のような悲劇的な結末でもない、究極の愛を成就させる結末を見せた。「僕の彼女は九尾狐」は、ホン姉妹の代表作、「美男<イケメン>ですね」でもなく「快刀ホン・ギルドン」でもない、クミホらしいラストの描き方だった。
コーナー最後は、次回、魅力的な俳優たちを“ホイ”と紹介をするのでお楽しみに♪
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「僕の彼女は九尾狐」は、3月25日から4月18日までTBS韓流★セレクトで放送。見逃し配信はTBSオンデマンドで。
TBS韓流★セレクト「僕の彼女は九尾狐」番組サイト
TBSオンデマンド「僕の彼女は九尾狐」見逃し配信ページ
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