2009日本アカデミー賞・最多13部門を総ナメ!映画「おくりびと」の静謐な魅力

2008年12月19日13時40分映画

今月18日、第32回日本アカデミー賞の記者発表が東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ滝田洋二郎監督の映画「おくりびと」がなんと最多13部門を総ナメしたことが明らかになった。

同映画は興行収入27億円を突破したほか、栄えあるモントリオール世界映画祭・グランプリも受賞。世界中から賛辞の声やまない「おくりびと」の魅力とは一体何なのだろうか?

映画「おくりびと」は、プロの夢を諦めたチェロ奏者がひょんなきっかけから遺体を棺に納める納棺師となり、生からの旅立ちを見送り続ける優しさに満ちた”おくりびと”となってゆく物語。本作で主演を務めた俳優・本木雅弘氏が青木新門著の「納棺夫日記」を読み、その深い感銘から滝田洋二郎監督に映画化を懇願し、実現が叶った。

「おくりびと」の魅力、それは本木雅弘&山崎努という実力派俳優の共演という部分もさることながら、やはり小山薫堂脚本、滝田洋二郎演出の”匠技”にあるのではないか、と思う。この映画を通して漂う崇高な情感といったらどうだ…小津映画を思わせる静謐で丁寧な感情描写は近年比類ない。彼等の匠技は人物の感情に、そして情感にひたすら丁寧に寄り添う。昨今の映画シーンに横溢するありきたりな構成術などに背を向け、独自の情緒を獲得。文学的たり、詩的たりと形容される本作はむしろ”これぞ映画”と賛辞を差し向けるべきなのではないか。映画ならではの通達力がここにある。その眼を見張る芸術的達成はモントリオール世界映画祭・グランプリ、そして今回の日本アカデミー賞・最多13部門総ナメと言う結果となってあらわれた。

同映画はまだまだスクリーンにて大ヒット上映中である。この作品はまさしく銀幕で鑑賞するのがふさわしい作品。まだ未見の映画ファンはいますぐ映画館へ繰り出して欲しい。日本映画の歴史的1ページに立ち会えないことになる。

上映スケジュール、予告編、TVスポットなど最新情報は公式サイトで確認を。
映画「おくりびと」公式サイト (主演:本木雅弘 広末涼子)
※注 丸の内ピカデリー/池袋シネマ・ロサ/品川プリンスシネマは12/19までの上映となる。