グギョンの怒りの行方!コラム:天主教って学問?「イ・サン」第60話あらすじ、予告動画と前回ダイジェスト
ホン・グギョンは、貞純大妃の情報から狙撃犯たちの集会の場を割り出し急襲し、逃げた者の中の一人に矢が当たった!その人物はソンヨンに絵の本をくれた若者ソンウクだった…今回は第60話のあらすじと見どころを紹介、番組サイトでは前2話分のダイジェスト映像と予告動画が公開されている。
サンは今回の狙撃犯逮捕に疑問を持っていた。犯人たちはグギョンたちが踏み込んだとき一切抵抗しなかったのだ。グギョンの態度もおかしい。捕らえたものたちが抵抗しなかったことをサンに伝えた武官を罷免し、テスたちの言葉にも耳を傾けようとしない。そればかりかソ・ジャンボをお金で手なずけようとまでする始末。さらに、サンに、亡くなったウォンビンのために跡継ぎとなる養子が欲しいとまで言い出す。グギョンよ!一体どうしたのか…。思わず叫んだ筆者の声だ。
その頃恵嬪がまた次の側室選びを言い出す。これが後にますますホン・グギョンのヒョイ王妃への怒りを増長させることになる。
さて、サンは日ごろより清だけでなく広く西洋も含めたあらゆる科学、思想、学問を学ぶようにと検書官たちに言うが、これがきっかけで、ホン・グギョンが捕らえたのが天主学(キリスト教、カトリック)の信徒たちであったことを知る。グギョンは天主学徒たちを弾圧していたのだ。これは実際に歴史書などに記されている「天主学迫害事件」をモデルにして描かれた。天主教の基本原理は「人はみな平等」というもの。グギョンは身分制度が厳然とある朝鮮王朝を批判するものとして弾圧したのだ。さすがにサンもグギョンの行き過ぎた言動が心配になり、逮捕された男たちについて自分で直接調べることにした。彼らの調査をしたサンが見たものとは…?
ソンヨンが手厚く看病していたソンウクはどうにか起き上がることができるまでになった。彼は仲間のところに帰ろうとするが、ソンヨンは、どこか弟を思い出すソンウクの体を心配し、変わりに自分が彼の仲間のもとに伝言するために向かう。危険を冒してソンウクの仲間の元に駆けつけたソンヨンは、そこである事実を知らされる。果たしてその事実とは…?
■もっとドラマを楽しむために:天主教って学問?
韓国にキリスト教=カトリックが伝わったのは、朝鮮王朝後期のこと。しかし、日本や中国へのキリスト教伝来とは少々異なる。日本や中国は、海外からやってきた宣教師によって教会が造られ天主教が広められたが、韓国では、両班の知識層の間に、西学(西洋の自然科学、西洋思想、天主学)などが広まり、天主教も宗教としてではなく西学の中の一つの学問として伝わった。それに触れた人々の中で、後に自らこの教えを信仰として受け止め、自主的に教会を造った。
ちょうど、英祖や正祖の時代は、これまでの儒教の学風(詞章=詩や文章の減額を重視する)などに疑問や反発を持つ者が増え、西学で学べる数学、工学、医学、農業などの実学への探求心が高まっていたころ。当時は、天主教を黙認する派と弾圧する派が対立していた。そんな中で正祖は、西学に理解を示して実学派のチョン・ヤギョンらを重用している。そういえば、「神の下に人は平等である」という天主教の教えは、英祖や正祖の唱えた基本政策である党派を越えた登用した「蕩平策」に近いのかもしれない。
しかし、そんな天主学が、儒教の肝心要の“孝”の象徴でもある“祭祀”を否定したことで、弾圧されることになる。正祖15年の1791年、天主学徒のユン・ジチュンが自分の母がなくなった際、母の位牌を燃やしてカトリック方式で葬儀を行ったため、彼は死刑となった。もっとも改革推進派の正祖はこの事件以降、天主学に関して寛大な政策を打ち出し、正祖在位中は迫害が起こらないようにしている。
NHK総合「イ・サン」番組サイト
【作品詳細】【「イ・サン」を2倍楽しむ】