開幕せまる!騎馬スペクタクル「Zingaro ジンガロ」待望の新作“バトゥータ”の魅力に迫る!

2009年01月16日19時44分暮らしと文化

現在の“シャーマン(祈祷師)”とも称される本名不明のミステリアスな男、バルタバス!彼が情熱的に創造した、不可能を可能とし、人馬一体となった華麗なる技の数々でおくる圧巻の騎馬スペクタクル、それが「Zingaro ジンガロ」の世界だ。あまりにも美しく、そしてあまりにも優雅な「Zingaro ジンガロ」の世界は、馬と人が奏でる歓喜の世界とまで形容される。賛辞としてこれ以上のものはない。

そう、バルタバスが率いるのは“騎馬劇団”。馬たちは人間と同じように細心に、そして決然と数々の演戯を円形のステージで披露する。かつて、そんな事は不可能だと考えられていた。それはそうだ。常識のみで考えれば、いかに賢い馬であったとしても、やはり動物。舞台上で巧みな演出の下、人間が意のままに操るには不確定要素が多すぎると、そんな風に考えられていた。

だが、バルタバスの手にかかるとどうだ!彼が倒れれば、馬も倒れ、彼が踊れば馬も見事に踊る!それは人馬一体という言葉が表現できるものを超越している。バルタバス、そして出演者たちと馬の間には親密な連帯があり、何者もそこには介入できない。またそのパフォーマンスは演戯と形容するよりは、人間と馬がある瞬間の躍動を共有しているようにも思える。素晴らしいオーケストラが、微細な指の感覚までもマエストロと共有しているかのように。そこには感覚的な融合があり、芸術としての昇華がある。ここにあらゆる常識を覆すすべてがある。だが、そもそも芸術家にとって常識などという概念は存在しない。自らの信念こそがすべてのルールだ。

15年前に旗揚げされた「Zingaro ジンガロ」。その言葉を用いない極限の芸術の魅力は瞬く間に世界へ伝播。旗揚げ後、第二作となった演目「オペラエケストル」では、ユーラシアとアフリカ大陸の騎馬民族をドラマティックに描き、人間の悲しみを謳った。作品「シメール」ではインド放浪の民と漆黒の馬が展開する世界が、荘厳さを湛えた聖なる高みへ観客を誘った。「エクリプス」では韓国と日本をテーマにした、オリエンタルの世界が展開。白と黒の圧倒的なコントラストは、精妙にして鮮烈だった。そして、日本発上陸作品「ルンタ」では、チベットを背景とし、生と死の世界を彷徨う神秘的な空間をつくりあげ、観客を魅了した。もはや「Zingaro ジンガロ」は、民族と宗教を超えた普遍的な世界観へ到達。その驚異的なアクロバティック馬術とともに、感覚、あるいは官能を通して直感的に理解していく作品となった。

そして満たして放たれる「Zingaro ジンガロ」の待望の新作、“バトゥータ”。遊牧民の魂をテーマに、その自由な精神を称える美しい凱歌を人と馬が謳いあげる。天井から流れ落ちる滝の音、疾駆する馬上の花嫁、そして市民の喧騒。華やぎ溢れるルーマニアの民族音楽の生演奏を背景に、生命の悦びが馬38頭とともに躍る、躍る、躍る。前作「ルンタ」よりも動きはアクロバティックとなり、ときにユーモアを挟みながら、圧巻の“自由と祝祭”が、ステージに展開する。この新作“バトゥータ”は、1月24日(土)と開幕が迫っている。

そこでご紹介したいのが、騎馬スペクタクル「ジンガロ」の公式サイト。最新演目“バトゥータ”のハイライト映像を配信しているほか、「Zingaro ジンガロ」15年間の栄光の歴史が丁寧に解説されているヒストリー・ムービーも配信中で、これを観れば「ジンガロ」についての前提的な知識が直ちに得られる。サービス満点の映像だ。ミステリアスな主宰者、バルタバスについての経歴も、語られる限り明かされている。

「Zingaro ジンガロ」、それはヨーロッパ文化が誇る馬術が、遂に芸術的な達成を手に入れた証でもあるのだ。

騎馬スペクタクル「ジンガロ」公式サイト