韓国の鬼才キム・ギドク、オダギリジョーの新境地を演出する「悲夢(ヒム)」

2009年01月28日18時33分映画

映画『サマリア』でベルリン映画祭銀熊賞を受賞した韓国の鬼才キム・ギドク監督が、韓国でも高い人気を誇るオダギリジョーを主演に迎えて撮り上げた狂おしいラブストーリー「悲夢(ヒム)」が、2月7日(土)より日本でも全国公開となる。

映画「悲夢」は、愛がゆえに夢と現実の境目に迷い込み、葛藤するジン(オダギリ ジョー)とラン(イ・ナヨン)が主人公。ある夜、忘れられない過去の恋に縛られているジンは、かつての恋人ランを追うために車を運転している。だが、その道中、深刻な事故を起こしてしまう。だが、そこでジンは眠りからハッと目覚める。なんだ、これは夢だったのか。そう思うも、あまりにも衝撃的な事故の情景に不安を覚えるジン。しかし、ジンはその後、この事故をランが実際に引き起こしたことを知ってしまい、そして…。

男と女の深く哀しい愛。それが夢を通じて接触をする詩的なロマン譚として仕上がった本作は、各国の評論化筋から高い評価と絶賛を受けスペイン国際映画祭に招待されるなど、世界中が「悲夢」に熱い視線を注いでいる。この映画がジワリと追い描く、夢と現実の境界線、生と死の狭間。そこに愛という得体の知れない何かは影法士のように息を潜めているのかもしれない。誰も気づかない静かな川の流れみたいに。そして最終的に夢と現実が融合をみせるとき、観客は息を呑むほど美しい映像を目撃することになる。キム・ギドク監督と役者オダギリジョーとの信頼関係は終始揺ぐことは無く、このファンタジックなラブストーリーに写実的力感を漲らせた。説明過多な部分などなにもない秀逸なストーリーラインも感性にそっと寄り添う。イ・ナヨンの瑞々しくも肝の据わった演技にも注目だ。

「悲夢」は、2月7日(土)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー。観終わってもすぐに席を立たないことをお勧めする。しばらくその美しい残影を脳裏に留めてジワリと余韻を味わって欲しい。劇場情報、予告編映像は下記の公式サイトにて。

映画「悲夢」 オフィシャルサイト