延べ200万人が視聴!現役プロ棋士がコンピュータに惜敗した団体戦『第2回将棋電王戦』をアーカイブ配信中!-ニコ生

2013年04月22日17時42分スポーツ
「第2回将棋電王戦」より

現役プロ棋士が最強の将棋ソフトと対局する、5対5の団体戦『第2回将棋電王戦』!第22回世界コンピュータ将棋選手権で好成績を挙げた上位5チームの最強コンピュータと現役のプロ棋士5人による史上初の団体戦が、2013年3月23日~4月20日の毎週土曜日10時より開催され、ニコニコ生放送にて生配信されたが、見逃した方はその様子を「タイムシフト」で視聴できる。

1初の現役プロ棋士VS最強の将棋ソフトの団体戦は、1日1組の対戦で全5局実施し、結果3勝した方が勝者。コンピュータ側が2勝1負1分けと王手をかけ、プロ棋士側にとっては絶対に負けられない、大将戦の第5局が4月20日(土)、東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われた。勝負はコンピューター側が3勝1負けでプロ棋士に勝利となったが、プロ棋士たちも最後まで維持を見せた歴史的な対戦のレポートが到着したので、写真と一緒に紹介しよう。

プロ棋士VS将棋ソフトの対局は、回を重ねるにつれて注目度を増し、大手メディアも大々的に報じるなど、いまや国民的な関心事になったといっても過言ではない「電王戦」。
その様子を生中継するニコニコ生放送では、対局開始前から多数のコメントが飛び交い、大盤解説を行う六本木・ニコファーレにも開場直後から大勢の立ち見が出るなど、盛り上がりは最高潮に達した。

3最終戦に臨むプロ棋士は、将棋界最強棋士の一人、“人類のトップ10”となる順位戦A級に所属する三浦弘行八段。迎え撃つのは、第22回コンピュータ将棋選手権1位、東京大学にある600台超のPCを接続し、1秒間に2億8千万手を読むという最強ソフト「GPS将棋」。コンピュータVS人間の頂上決戦は、午前10時開始した。

先手の三浦八段の初手▲7六歩から始まった対局は、序盤戦は定跡に則って淡々と進行し、相矢倉のかたちに。人間側の出方を伺うように、どっしりと構えるGPS将棋。序盤に難があるとされるコンピュータに対し、早めに優勢に立ちたい三浦八段は、矢倉から変化し、こちらもコンピュータが苦手としている「入玉」を目指した。

王将の前を堅め、スクラムを組むようにして、相手陣内に攻め込む三浦八段。GPS将棋の飛車角を奪い、着実に前進しているように見られたが、当然のようにコンピュータは焦らない。持ち駒が少ない中でも巧妙に攻めをつなげ、徐々に形勢はGPS将棋に傾いていく。

3その後もGPS将棋は的確な指し回しを続け、三浦八段のわずかな隙をとがめながら、持ち時間を奪っていった。そして迎えた102手、懸命に指し続けた三浦八段が持ち時間を使い切ったところで投了を宣言。「あっけない幕切れ」と見る視聴者も少なくなかったが、双方に悪手・疑問手と呼べるものが見当たらなかったこともあり今対局もお互いが力を出し合った名局となった。

対局後、三浦八段は「GPS将棋が強いことはわかっていた。どこでミスをしたのかわからない。ただ、もっと危機感を持って準備をするべきだったと思うし、責任を果たせなくて申し訳ない」と語った。GPS将棋開発チームの金子知適・東京大学准教授は「勝敗の実感はまだない。ただただ、貴重な対局の機会をいただけたことに感謝している」との言葉を残した。

『第2回 将棋電王戦』は、3勝1敗1分けで、コンピュータ側が歴史的な勝利を収めた。プロ棋士、コンピュータ将棋の開発者、将棋ファンと、それぞれに思うところがあるのは当然で、大盤解説の聞き手を務めた矢内理絵子女流四段は「やっぱり悔しい。プロ棋士にも危機感が生まれたと思うし、ぜひリベンジを」と語り、解説の屋敷伸之九段は「個人主義のプロ棋士が、人間のプライドをかけ、団体で戦うところを観られてよかった」と総括している。

プロ棋士を応援していたファンからは「残念だ」というコメントも寄せられたが、「今度はソフトに人間が挑む番だ」と今後に期待する声や、「新たな歴史の1ページ。しかし将棋の楽しさは変わらない」「最高の一ヶ月だった」と、この団体戦を大いに楽しんだという声が圧倒的に多かった。

その反響を示すべく、本対局は、ニコニコ生放送での総視聴者数が486,430人、総コメント数が739,779件といずれもニコニコ生放送での将棋番組史上最高値を更新。また、全5局の総視聴者数(延べ)は、200万人を超えた。

今回の電王戦はコンピュータ側の勝利に終わったが、「持ち時間が少なかったのが人間に不利だった」との声や、多くのパソコンを接続し、いわば“合議制”で手を決めるクラスタ配列について、「1台 VS 1人」の対局がフェアなのではないか、などレギュレーションを変えて再び対局が見たい、という意見も多数寄せられている。

第3回電王戦が行われるかはまだ協議中だが、対局後の会見で将棋連盟の谷川浩司会長は「棋士にとって厳しい結果となったが、対局した5人には胸を張ってもらいたい。第3回電王戦も前向きに考えていきたい。今回の経験で、プロ棋士側としてもコンピュータと対局することへの抵抗や不安も解消されると思うので、また違った内容の将棋を見せられるのではないか」と語っている。

それぞれの対局で、様々なドラマが生まれた第2回将棋電王戦。人間の無限の可能性を感じさせてくれたプロ棋士も、そして社会に貢献するテクノロジー・人工知能の発展を視野に、日々進化を続けてきたコンピュータ将棋とその開発者も、同じく“人類の夢”の体現者だといえるだろう。
◆第2回将棋電王戦対局概要◆
・日時:2013年3月23日(土)~4月20日(土)までの毎週土曜日 午前10時より
    午前9時開場/大盤解説開始~対局終了まで

 第1局 (3/23):阿部光瑠四段 vs 習甦(しゅうそ)
         ◆解説者:阿久津主税七段/聞き手:矢内理絵子女流四段
        (生放送 http://live.nicovideo.jp/watch/lv118753162)
 第2局 (3/30):佐藤慎一四段 vs ponanza
       ◆解説者:野月浩貴七段/聞き手:山口恵梨子女流初段
        (生放送 http://live.nicovideo.jp/watch/lv118754300)
 第3局 (4/06):船江恒平五段 vs ツツカナ
       ◆解説者:鈴木大介八段/聞き手:藤田綾女流初段
        (生放送 http://live.nicovideo.jp/watch/lv118755562)
 第4局 (4/13):塚田泰明九段 vs Puella α
       ◆解説者:木村一基八段/聞き手:安食総子女流初段
        (生放送 http://live.nicovideo.jp/watch/lv118757229)
 第5局 (4/20):三浦弘行八段 vs GPS将棋
       ◆解説者:屋敷伸之九段/聞き手:矢内理絵子女流四段
        (生放送 http://live.nicovideo.jp/watch/lv118757933)
・持ち時間:各4時間(1分未満切り捨て)
      先手番は、第1局 阿部光瑠四段(2局目以降は先手番・後手番が交替)
・主催:株式会社ドワンゴ、公益社団法人 日本将棋連盟

※その他詳細は「第2回将棋電王戦」公式ホームページでご確認を。
 http://ch.nicovideo.jp/channel/denousen