ベルリンフィル・ライブ4月26日はツィンマーマンの大作「若い詩人のためのレクィエム」
2009年1月からベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は「Digital Concert Hall」として、ホールから公演のライブ配信とオンデマンド配信を有料で開始している。(=既報)
4月26日(日)午前3時(日本時間、現地時間4月25日午後8時)からのライブでは、ベルント・アロイス・ツィンマーマン(1918-1970)作曲の「若い詩人のためのレクィエム」を演奏する。
同曲は、3つの合唱団とソプラノ、バリトン独唱、ナレーション、電子楽器や録音テープを駆使した大曲。荘厳な合唱と独唱、語り、録音テープによる著名人の演説の一部や既存の音楽の一部などが同時並行的に演奏される。既存の音楽や技法をはめ絵のように貼付ける"引用"(コラージュ)、複数の音楽が同時並行的に進行する多元主義を特徴とする前衛音楽家、ツィンマーマンの集大成ともいえる大作だ。
引用されるテキストは聖書の詩篇から革命前後のロシア詩人ウラジミール・マヤコフスキー、セルゲイ・エセーニン、ウィーングループの前衛詩人コンラッド・バイヤー、オーストリアの哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインなど。引用される音声はヒトラー、毛沢東、スターリン、チャーチル、その他。そしてメシアンの「キリストの昇天」、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」、ザ・ビートルズの「ヘイ・ジュード」などがテープで流される。これらが個別に並行しつつ渾然一体となって音楽が進行する。
「若い詩人」とは特定の詩人ではなく20世紀を生きた普遍的な詩人を指すが、ツィンマーマン自身を指すとも言われる。ツィンマーマン自身、この曲を作曲した翌年に拳銃自殺して世を去っており、結果として自身に対するレクィエムであったという指摘もある。
とにもかくにも、1970年前後の混沌とした世界を反映した問題作が、ベルリンフィルによって再現されることになる。指揮するペーター・エトヴェシュ(1944-)は、シンセサイザーによる作曲でも知られ、当時の空気を肌で知るハンガリー生まれの指揮者兼作曲家だ。独唱はカロライン・シュタイン(ソプラノ)、クラウディオ・オテリ(バリトン)、語りがゲルト・フォス、トーマス・ヴィトマン。
配信開始:4月26日(日)午前3時(日本時間)
視聴方法:公演ごとの視聴と年間通しチケットによる視聴がある。詳しくはこちらのナビコン記事を参照。
ベルリン・フィル「Digital Concert Hall」