金ロ、夏休み3週連続ジブリ祭!第1弾は日本中が涙した名作14日放送『火垂るの墓』あらすじと予告動画
直木賞作家・野坂昭如の半自伝的小説をスタジオジブリ高畑勲監督がアニメ映画化!1988年劇場公開から27年経った今も多くの人に愛されている『火垂るの墓』を14日(金)夜9時、金曜ロードSHOW!で放送。清太(辰巳努)と節子(白石綾乃)の兄妹の生き様から目をそらしてはいけない!予告動画は番組公式サイトで公開。
「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」主人公・清太(声:辰巳努)が駅構内で事切れるところから始まる『火垂るの墓』。何年かごと、8月15日終戦記念日近辺で放送される至極の名作アニメである。
原作は直木賞作家・野坂昭如著の短編『火垂るの墓』(新潮文庫刊)。兵庫県神戸市と西宮市を舞台に太平洋戦争で両親を失った幼い兄妹がなんとか生き延びようとする物語。監督は日本アニメ界の巨匠・高畑勲。過去、何度もテレビ放送されているが、見る度に必ず号泣してしまう。戦争の悲惨さ、残酷さ、極限までおいつめられた兄妹の境遇は、アニメとはいえ思わず目を覆いたくなるほど悲惨だ。著者の野坂昭如は存命だが、この物語は野坂昭如自身の体験をもとに書かれており、実際、この戦争で妹を亡くしている。ちなみに1967年、野坂昭如は『火垂るの墓』『アメリカひじき』直木賞を受賞。
幼い節子が栄養失調でどんどん弱っていき、虫の息で「兄ちゃん、どうぞ。おから炊いたで…」と呟いて泥だんごを兄に渡し息を引き取る。葛籠の中に節子と、節子が大事にしていた人形を入れ火葬する兄・清太。あの当時の日本では、このような光景があちこちであったのだろう…。戦地へ赴く兵隊たちの過酷さ、悲惨さは『永遠の0』など数多くの作品で描かれているが、戦争孤児を描いた作品はあまり多くない。『火垂るの墓』は決して目を背けてはいけない戦争の悲惨さを、清太と節子の目を通して描かれている作品である。
本作の中で、節子が人形のほかにもう一つ、大切にしているものが登場する。最近はあまり店頭で見掛けなくなった「サクマドロップス」の缶。甘い物欲しさに節子は、おはじきを缶の中に入れドロップ代わりに舐めるのだが、このシーンも涙なくして見ることができない(現在は缶ではなく袋入りで発売されている)。
ラスト、幽霊になった清太と節子が、神戸の山の上から平和になった神戸の町を見下ろすシーンを見て、今ある平和は戦争犠牲者たちのおかげで成り立っていることを思い知らされる。安保法制で国会が揺れる中、改めて本作を見て、戦争とは何か、どんな悲惨なものなのかを考え直す機会になってほしい。夏休み、ぜひ親子そろってご覧頂きたい作品である。
■あらすじ
昭和20年9月21日。清太は三ノ宮駅構内で衰弱死した。清太の所持品は錆びたサクマドロップスの缶。その中に、妹・節子の小さな骨が入っていた。清太の死骸を見つけた駅員は、そのサクマドロップを無造作に草むらへ放り投げる。缶からこぼれ落ちた節子の骨…その一面に蛍が飛び交い、幽霊になった節子と清太が歩き出した…。
太平洋戦争末期、神戸大空襲で家と母を失った清太と節子。清太は幼い節子と一緒に叔母に引き取られるが、しばらくすると邪魔者扱いされ、仕方なく2人は叔母の家をでて無人の防空壕で生活するようになる。思うように食糧が手に入らないため、幼い節子はどんどん衰弱し、とうとう寝たきりになってしまった。生きるため、清太は火事場泥棒をして飢えをしのいだが、それで節子が回復するまでには至らなかった。その最中、清太は父が所属する連合艦隊が潰滅したことを知る。母が亡くなった後、父の帰りを心の糧として頑張っていた清太だが、これで本当に兄妹二人っきりになってしまった。そんな中、清太が九郎してスイカを手に入れ、防空壕に戻ってきたのだが、節子は…。
【火垂るの墓】(1988)
監督・脚本:高畑勲
原作:野坂昭如
出演:辰巳努、白石綾乃ほか
『火垂るの墓』DVD&Blu-rayはウォルト・ディズニー・ジャパンより絶賛発売中。
『火垂るの墓』は2005年、終戦60年スペシャルドラマ「火垂るの墓─ほたるのはか─」(日本テレビ)として実写ドラマ化されており、清太役に石田法嗣、節子役に佐々木麻緒、清太と節子の父・清役に沢村一樹、母・京子役に夏川結衣が演じ、清太、節子の叔母・久子役には松嶋菜々子が演じた。また、2008年には日向寺太郎監督によって実写映画化もされている。しかし『火垂るの墓』といえば、やっぱり高畑勲監督作が、一番メジャーで認知度が高い。
日本テレビ 金曜ロードSHOW!8月14日(金)夜9時より『火垂るの墓』本編ノーカットで放送。スタジオジブリ、高畑勲監督作。出演は辰巳努、白石綾乃ほか。予告動画は番組公式サイトで視聴できる。
◇日本テレビ「金曜ロードSHOW!」番組公式サイト