チャン・ヒョク「客主~商売の神~」:時代背景②:俗物たちの天下、朝鮮末期の商業事情は?予告動画
疲弊しきった朝鮮で力を持ったのは、厳しい身分制度の中でも底辺にいたはずの商人だった!4月4日にDVD-BOX4のリリースおよびテレビ東京で地上波初放送となるチャン・ヒョク主演「客主」を2倍楽しむために、当時の時代背景に続いて商業事情についてご紹介しよう!予告動画は公式サイトで公開されている。
時代背景についいては【「客主」を2倍楽しむ】で詳しく紹介。また、放送に合わせて各話のあらすじと見どころ、豆知識などをまとめて紹介していくので視聴の参考にどうぞ。
「客主」の舞台である朝鮮末期の商業事情を知るために、ちょっぴり時代をさかのぼろう。ドラマ「イ・サン」の舞台となる第21代王・英祖、から22代王・正祖の治世にかけては、朝鮮時代のルネサンス期とも言われており、様々な改革がされて文化や経済が大きく花開いた。歴史に「…たら、…れば」をいってもしようがないが、「正祖が後10年生きていれば末期の悲しい終焉はなかった」という話はよく聞く。(正祖の功績については【「イ・サン」を2倍楽しむ】の(2)、(4)参照)
■自由な商売は正祖のお陰
18世紀まで朝鮮の商業は国の統制下に置かれており、都では“市廛(シジョン)”と呼ばれる特定商人・専売商人しか商売ができないという法律“禁乱廛権(クムナンジョンクォン)”があった。それ以外の商人たちは違法商人または私商人として取り締まりを恐れながら隠れて商いするしかなかった。
特定商人たちは当時の最大党派である老論(ノロン)派と結託し、老論派は商人から莫大なリベートを貰って、それを政治資金にしていた。(党派についてはコチラの年表参照)
ドラマ「イ・サン」より
Copyright(c) Since 2005, MBC & iMBC All Rights Reserved.正祖は庶民の生活向上と敵対勢力である老論を弱体化させるために禁乱廛権を廃止し、特定品目を除き私商人が自由に商売ができる法律“辛亥通共(シネトンゴン)”を施行した。これが正祖即位15年、1791年のこと。
「イ・サン」第21話や「トキメキ☆成均館スキャンダル」の第11話では禁乱廛権に苦しむ私商人の苦労が描かれている。“辛亥通共”についても両作品はもちろん、「キム・マンドク~美しき伝説の商人」や「テバク~運命の瞬間(とき)~」をはじめ多くの作品で取り上げている。
この法令のお陰で朝鮮の商業は一気に活気づく。【ドラマの年表:朝鮮王朝】を見ると、英祖~正祖の治世で「大望-テマン-」「キム・マンドク~美しき伝説の商人」「商道(サンド)」などがあるが、これはすべて大商人を主人公にしたドラマ。ちなみに「大望」はチャン・ヒョク主演のドラマ。子役時代のチャン・グンソクも出演している。
■発展しない商業改革
しかし、正祖は商業改革をはじめとしたもろもろの改革半ばで1800年に急死。世子はわずか10歳の幼い息子・純祖。正祖は我が子を心配し側近・金祖淳(キム・ソジュン)に後見を頼んだ。しかし、金氏は、一族の安東金氏(アンドンキンシ)が政権を独占する“勢道政治”を始めてしまった。そのために、商業をはじめ朝鮮の改革は正祖以降発展することはなかった。ちなみに「クルミシンドローム」を巻き起こした大ヒットドラマ「雲が描いた月明り」はこの時代を背景にしている。(詳しくはコチラで解説)
■「客主」の舞台は俗物たちの天下?
「客主」の舞台となった朝鮮王朝末期では厳しい身分差別は現存していたものの、結局“財を握ったもの勝ち”ということで、一番格下のはずの商人が幅を利かせた。
■チャンヒョクの挑戦!
本作で、チャン・ヒョクはこれまで出演した「推奴-チュノ-」や「根の深い木-世宗大王の誓い-」、「輝くか、狂うか」で見せたアクションは封印している。むしろ殴られ、蹴られ…と散々な目に遭う。もちろんアクションシーンもあるが、決して無敵ではない。チャン・ヒョクがアクションではなく、商才と男の友情で数多くの客主たちとどんな商売競争を繰り広げるのか、そこが本作の一番の見どころだ。もちろん、チャンヒョクのあの切ない目が見られるロマンスもたっぷり描かれる。
骨太の史劇ファンはもちろん、ありきたりの宮中ドラマに飽きたという方にも是非お勧めしたい一作だ。
【作品詳細】【「客主」を2倍楽しむ】
◇テレビ東京「客主」番組公式サイト
2017.04.04スタート 月~金8:15-9:11 地上波初放送
◇「客主」DVD公式サイト
BOX1~2 各21000円
BOX3~4 各24000円(本体)+税
発売元:コンテンツセブン、ワコー
販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
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