「麗<レイ>(月の恋人)」最終回考①:スタートはラブコメ、ラストは涙腺決壊の重厚史劇!予告動画

2017年05月09日12時00分ドラマ
©2016 Universal Studios, Barami bunda. Inc.,
and YG Entertainment Inc.

「麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~」最終回、ラブコメ史劇のテイストで始まったドラマの結末はなんとも深く悲しすぎるものだった!今回は、そんな最終回について考えてみよう!公式サイトで予告動画が公開されている。
【「麗<レイ>」を2倍楽しむ】では、時代背景や各話の詳しいあらすじと見どころ、豆知識などをまとめて紹介している。以下、最終回のネタバレがたくさんありますので、未視聴の方はご注意願います。

麗イ・ジュンギが初のラブコメ時代劇に挑戦するということでも話題をさらった「麗<レイ>」。彼が演じたワン・ソ皇子は、冒頭は粗暴で人の気持ちをおしはかることをしない冷徹な一匹狼。なんとも嫌な皇子だったが、その仮面の下に隠された心の傷を知るや、繊細で心優しい一面が見え隠れし、愛さずにはいられない胸キュン皇子に変貌。特にヘ・スだけに見せた笑顔は国宝級!やっと願いが叶って両想いになり、ヘ・スのためにも兄弟の血の争いにピリオドを打とうと皇位に就き、高麗第四代皇帝光宗として善政を敷いたが、愛する者を守るために結果的には血の粛清を行ってしまった。
結局、ヘ・スはソのそばを離れ、兄弟の中で最後までソを信じてくれたペガ、忠臣パク・スギョンやチェ・ジモンまでもが皇宮を後にし、ソはまた一人になってしまった。



劇中、たくさんのロマンスも描かれた。ソ(光宗)とス、スとウク、ウンとスンドク、ペガとウヒ、太祖とオ尚宮など悲しい両想いの恋。ヘ氏夫人のウクへ、チェリョンのウォンへの片想い…、だがどの恋も悲しく散ってしまった。
麗ジョン(ジス扮)そんな中、8人の皇子たちの中では比較的目立たない存在だったジョン皇子がラスト、至高の愛で泣かせてくれた。スへの想いを告白さえせず、皇宮からスを救い出すために自分と結婚させ、その後もソを愛し続けるスのために二人の間に入って気遣ってやる。結果的に、ジョンの気遣いとソの猜疑心が、二人の再会を阻んでしまったが…。

ジョンの優しさはスの死後も続く。ソとスの間に生まれた赤ん坊を我が子として育て、スの遺言通り決して皇宮には近づけずに育てた。ところが、ソがスの遺灰を持ち去ったために、命日だけと、法を犯してまで都に立ち入りスの墓参り。ところが、女児が自分とぶつかった時のリアクションがスのそれ(第4話)と同じだったことで、ソはぶつかった女児が我が子だと察した。
しかし、自分の手元におくよりジョンのそばが我が子の幸せと考え、せめて我が子の成長をみたいとジョンの帰郷刑を解き、皇宮への出入りを許した。

麗ウク(カン・ハヌル扮)「麗<レイ>」の魅力は、主役のイ・ジュンギだけを目立たせるのではなく、その他の7人の皇子たちのキャラの際立ち方にもある。どの皇子も個性的で魅力的だった。これだけのタイプ違いのイケメンが出そろえば、必ず好みのタイプが見つかるだろう。ただ、強烈な印象を残した皇子たちに比べ、ヒロインのキャラが少し弱かったと感じたのは筆者だけだろうか。

本作は小説「歩歩驚心」を映像化した中国ドラマ「宮廷女官 若曦(じゃくぎ)」のリメイク作。第5話の見どころでも紹介したが、中国版のヒロインは歴女で、対するスは歴史が苦手。そのせいか、せっかくヒロインをタイムスリップした現代女性にしたのに、現代と高麗をつなぐエピソードがハングル程度だったのが何とも残念。母を思って泣くシーンもあったが、映像で描かれなかっただけにヒロインの「現代に帰りたい」という切実さが伝わってこない。また、演じたIUの演技も少々印象が薄かった。それでも後半はヒロインの成長をIUが好演し、これまで彼女が演じたどのヒロインより素敵な演技が見られた。今後に期待したい。

麗とはいえ、本作の一番の見どころはやはりイ・ジュンギの演技に尽きる。
筆者は、8年ほど前に【「犬とオオカミの時間」を2倍楽しむ】の中で、イ・ジュンギの魅力を“やりきれなさ”と紹介している。(参照:イ・ジュンギの魅力
そのやりきれなさが、皇宮という“理不尽で不条理”な世界の中でも生きていくしかないワン・ソの悲哀にぴったりハマっている。

麗ワン・ソ/光宗(イ・ジュンギ扮)同じ、ワン・ソ(光宗)を主人公にしたドラマに「光宗大王-帝国の朝-」「輝くか、狂うか」がある。それぞれキム・サンジュンとチャン・ヒョクと演技派俳優が演じていてどちらも素晴らしい。しかし、名君から血の君主へと変貌をとげざるを得なかった光宗の葛藤や悲しみに限って言えば、イ・ジュンギが演じた「麗<レイ>」の結末の描かれ方にもっとも感情移入ができた。ラブコメとして始まったドラマのラストは、高麗王朝第四代・光宗という名君の光と影を描いた重厚な史劇として幕を閉じた。



あまりにも悲しい結末にショックを受けたドラマファンも多いだろうが、イ・ジュンギの最後のセリフ「私たちの世が違うなら、私がそちらへ行く。私のスよ」という言葉に期待しよう。中国版では舞台を現代に移した続編が描かれているだけに、「麗<レイ>」でもぜひとも現代版の続編が見てみたいものだ。

次回の「最終回考②」では、ドラマのその後についてご紹介。

公式サイト

kandoratop【作品詳細】【「麗<レイ>を2倍楽しむ】