「麗<レイ>(月の恋人)」最終回考②:ソとウク勝ったのはどっち?ドラマのその後は「千秋大后」へ!予告動画
DVD、Blu-rayが好調リリース中で、レンタルやネット配信でも大人気のイ・ジュンギ主演「麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~」…ドラマの最終回について「最終回考①」では改めてドラマの見どころを紹介したが、今回は気になるドラマのその後について史実に照らし合わせてご紹介しよう!公式サイトで予告動画が公開されている。
【「麗<レイ>」を2倍楽しむ】では、時代背景や各話の詳しいあらすじと見どころ、豆知識などをまとめて紹介している。
以下、最終回のネタバレがたくさんあるので、未視聴の方はご注意願います。また、皇帝=王、皇子=王子、皇后=王妃=王后など作品に合わせているので表記に揺らぎがあるのをご理解ください。実在の人物は名前を漢字で表記。「麗<レイ>」など作品中の登場人物は原則カナ表記。
■「麗<レイ>」で描かれたワン・ウクの最期
最終回は光宗(ワン・ソ)の「私たちの世が違うなら、私がそちらへ行く。私のスよ」という台詞で幕を閉じた。結局、ウク皇子は恋も皇帝の座も異母兄の光宗に奪われてしまい、最後は病死した。
ワン・ウク(カン・ハヌル扮)■ウクのモデルは王旭(?~969年)
劇中で第8皇子として登場したウクは、太祖と神静王后皇甫(ファンボ)氏との間に生まれた子、王旭がモデル。息子の成宗が即位後、戴宗(たいそう)の廟号と睿聖和簡恭慎顕献宣慶大王の謚号を贈られた。
「麗<レイ>」の中で、自分の名前をスに教える時に“旭”の字を書いていた。但し、生まれた年が不明なので何番目の王子なのかは不明。7番目とも伝わっている。
王旭は宣義王后柳氏との間には三男、二女がいた。次男は王治(ワン・チ)。「麗<レイ>」最終回でウクの母ファンボ氏が「ウクの息子“チ”を皇帝にする」といっていたが、それがこの治のこと。
では、光宗の後の歴代国王を見てみよう。
※ややこしくなるので【高麗(王氏)王朝系図】を参考しながら読み進めてください。
■ウクは、恋には破れたが家門は守った?
「麗<レイ>」19話でも光宗(ソ)と皇后(ヨナ)の仲が冷え切っており、光宗は我が子・伷(ジュ)にも会おうとしなかったが、実在の光宗と伷の仲もうまくいっていなかったが、光宗が死去し第5代・景宗に。旭の二人の娘たちはともに景宗と婚姻し、第3王妃(献哀王太后皇甫氏)と4王妃(献貞王太后皇甫氏)になっている。当時は、一夫多妻制で近親婚が珍しくない。(詳細はこちらの■従兄妹同士で結婚?)
景宗は、殺伐とした王宮に嫌気がさして酒色におぼれ、若くして病死。
景宗と第3王妃との間には長男・訟(ソン)がいたが、乳幼児だったために旭の次男・治(チ)が第6代・成宗となった。
成宗には男子がいなかったために、成長した訟が即位し第7代・穆宗に。穆宗は「康兆の政変」(康兆の乱)で廃位、殺害され、景宗の第4王妃が産んだ詢(スン)が第8代・顕宗となる。
しかしここで王朝を揺るがす大スキャンダル!景宗は981年8月13日に他界しており、詢が誕生したのは992年8月1日。献貞王太后皇甫氏が不倫の末に産んだ子だった。(詳しくは「最終回考③」で)
高麗王朝は、次の朝鮮王朝を拓いた李成桂(太祖)に譲位するまで34人の王がいたが、初代・太祖から第8代・景宗までは、旭の実家・皇甫氏はなんと高麗王朝で4人もの王后を送り出している。
①太祖の第3王后:神静王后皇甫氏(旭の母)
②光宗の王后:大穆王后皇甫氏(旭の姉か妹)※「麗」では妹。
③景宗の第3王后:献哀王后皇甫氏(旭の長女)※ファンボ・ス
④景宗の第4王后:献貞王后皇甫氏(旭の次女)※ファンボ・ソル
「麗<レイ>」ではソに完敗したウクだったが、ドラマのその後を考えると、ウクは恋には破れたものの家門を守るということについてはソに勝ったといってもいいのではないだろうか。
■「麗<レイ>から「千秋太后」へ
ところで影宗の第3王妃となった王旭の長女はファンボ・ス。「麗<レイ>」でIUが演じたヒロインのヘ・ス(架空の人物)と同じ名前だ。
「千秋太后」より
Licensed by KBS JAPAN.(c)KBS All rights reserved.旭の長女ファンボ・スこそは後世に悪女として名を遺した千秋太后のこと。ドラマ「千秋太后」の主人公だ。
ウクの子どもたちの存在を描いたこと、ヒロインの名前を“ス”にしたことでドラマのその後が「千秋太后」につながる。同時に、カン・ハヌルが終盤では卑劣なウクを実に憎らしく演じていたが、それもスへの強すぎた愛のためと印象付けるのに成功している。
ドラマ「千秋太后」は、悪女と伝わったファンボ・スを民族愛に溢れた勇猛な女傑として描いており、高麗王朝初期を知るにはもってこいの作品だ。特に愛憎入り混じった後継問題を史実とフィクションを融合させてダイナミックに描いており、「太祖王建」「光宗大王-帝国の朝-」に続く、本格史劇3部作として見ごたえのある作品。「海神-ヘシン-」で強烈なキャラクター・ジャミ夫人を演じたチェ・シラが体当たりの演技で熱演している。
「千秋太后」については【「千秋太后」を2倍楽しむ】で詳しく解説している。
次回の「最終回考③」では、もう一人のウク皇子についてご紹介。
◇公式サイト
【作品詳細】【「麗<レイ>を2倍楽しむ】