名作特集。小津安二郎ならでは「子どもの世界」の描き方が分かる三作品。

2008年09月30日10時20分映画

松竹オンラインにて「名作特集 小津安二郎監督作品 第三弾」を放送中。今回の作品は、『生まれてはみたけれど』(1932)、『長屋紳士録』(1947)、『お早う』(1959)の三作品。いずれも名匠、小津らしさに溢れた作品である。

『生まれてはみたけれど』は、サイレント時代の小津作品。字幕が少なく、映像によって多くを語っているあたりが無声映画時代の小津作品の特徴だろう。小津の『突貫小僧』でデビューし、このタイトルが風変わりな芸名となった子役、突貫小僧が主役である。男の子と父親とのほのかな情愛が、ユーモラスに描かれる。

小津安二郎の戦後初監督作品が『長屋紳士録』。戦災で我が子を失った母親と戦災孤児らしき少年とが、ひょんなことから長屋で共に暮らすようになる。そのうち、二人の間に本当の親子らしい愛情が……。

『お早う』は、さらに時代を経て、高度経済成長がはじまろうとしている。英語、テレビが題材として現れる。東京の郊外に暮らすいくつかの家族の、これもまた子どもと大人たちの日常が描かれる。

このように、今回は「子どものいる風景」がテーマと言える。いずれの作品も、独特の視線で、その時代ごとの子どもの息遣いを見つめているのが分かる。子どもというのは、いつの時代にもユーモラスであり、そして生きることに真摯なのだ。

■松竹オンライン「名作特集 小津安二郎監督作品 第三弾」