JAXA、ビデオライブラリ「SPACE@NAVI-Kibo WEEKLY NEWS 第97号」を公開

2010年03月31日15時36分 
(2010年03月31日16時38分 更新)
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クルー記者会見に参加する山崎宇宙飛行士ら
(C) 宇宙航空研究開発機構(JAXA)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙ステーション・きぼう広報・情報センターは、ビデオライブラリ「SPACE@NAVI-Kibo WEEKLY NEWS 第97号」を公開、山崎直子宇宙飛行士が搭乗するスペースシャトル「ディスカバリー号」(STS-131/19Aミッション)の工程と、同宇宙飛行士のインタビューを紹介する。
同宇宙飛行士は、「もちろん、一番楽しみにしていることは、スペースシャトルのクルー7人全員で立派にSTSの建設の最後のほうのミッションを成功させるということです。
私も、宇宙飛行士になる前は、エンジニアとしてJAXAで働いていました。そのときに、きぼう日本実験棟の開発グループに所属していて、きぼうのフライトハードウェアをちょうど作っている最中でした。
名古屋の工場で作られているきぼうを見たときには、本当にこれが宇宙に行くんだと感慨深い思いでしたけれども、今度はそのきぼうに宇宙で対面するということで、開発や運用の準備に携わってきた、たくさんの気持ちと一緒にきぼうと対面したいなと思っています」と穏やかな表情で話す。
ディスカバリー号は、4月5日19時21分にケネディ宇宙センターから打ち上げられ、「レオナルド」(多目的補給モジュール1)で、国際宇宙ステーション(ISS)に実験ラックや補給物資などを運搬。山崎宇宙飛行士は、ロボットアームの操作と物資移送責任者(ロードマスター)を担当する。
飛行2日目、スペースシャトルのロボットアーム(Shuttle Remote Manipulator System: SRMS)を起動し、SRMSとセンサ付き検査用延長ブーム(Orbiter Boom Sensor System: OBSS)を使用した熱防護システム(Thermal Protection System: TPS)の損傷を点検。山崎宇宙飛行士は、ノーズキャップ(先端部)と左翼部の点検を担当する。
飛行3日目、ランデブーに向けた軌道制御を行い、ISSからはスペースシャトルのTPSを撮影、スペースシャトルはISSとドッキングしてクルーが入室する。山崎宇宙飛行士は、ISS長期滞在クルーとして滞在中の野口聡一宇宙飛行士と対面する。
「日本人の宇宙飛行士が複数同時に宇宙に滞在するのは初めてのことで、日本にとって宇宙がどんどん身近になっていく道筋なのかなと思っています」と山崎宇宙飛行士。
飛行4日目、山崎宇宙飛行士は、ステファニー・ウィルソン宇宙飛行士とともに、ISSのロボットアームを操作。レオナルドをSSRMSで把持してペイロードベイ(貨物室)から取り外し、「ハーモニー」(第2結合部)の地球側の結合機構に取り付ける。
「ステファニーさんと私でペアを組んでロボットアームを操作することが多いですから、訓練をよく一緒に受け、彼女からいろいろなことを教わっています。
確実に大きなレオナルドと呼ばれている補給モジュールを、ゆっくりと、しかも、ISSのほかの構造物にぶつけないように隙間を保ちながら確実に操作するという点で、非常に気を使います。
このロボットアームの操作を、キューポラという窓がたくさんある小さな小部屋から行うことになると思います。これは、私とステファニーさんが初めてになるのではないかと言われており、直接見る宇宙の映像とカメラの映像を組み合わせながら操作できるのではないかと楽しみにしています」。
飛行5日目、第1回船外活動を実施。山崎宇宙飛行士は、野口宇宙飛行士らと協力して、レオナルドからラック類をISSときぼう日本実験棟に移送し設置する。
「責任者として、それぞれのクルーメンバーに指示を出したり、手順を伝えたりしながら、すべての作業をスケジュールどおりにこなしていきます。クルーメンバーの助けも借りて、作業が順調に行くことを祈っています」。
飛行7日目、第2回船外活動を実施。山崎宇宙飛行士は、引き続き物資の移送作業にあたる。
飛行8日目、山崎宇宙飛行士は、JAXA広報イベントに参加する。
飛行9日目、第3回船外活動を実施。
飛行10日目、宇宙飛行士の身体真菌叢評価(Myco)実験を実施。
飛行11日目、 ロボットアームを操作し、レオナルドのISSからの取外しとペイロードベイへの格納を行う。山崎宇宙飛行士は、ドロシー・メカフ・リンデンバーガー宇宙飛行士と、教育用ビデオ(ロボティクス運用紹介)を撮影する。「彼女は、訓練生の同期で、気心も知れていて、よくしゃべっています」。
また、ISSに持ち込んだ機器や実験試料をスペースシャトルミッドデッキへ移送する。
飛行12日目、ディスカバリー号をISSから分離し、フライアラウンドを行う。
「17年前に毛利宇宙飛行士がスペースシャトルで日本人として初めて飛行してから、数々のスペースシャトルのミッションがありました。今こうして、私もこのスペースシャトルのミッションで仕事ができるというのは、これまでの先輩たちが確実に道筋を作ってきてくれたからだと思います。
日本人として、アジア人として、一緒に立派な仕事をしてきたという実績を基に、NASAの中でも日本人の宇宙飛行士に対する信頼感が培われてきています。
スペースシャトルの日本人としてのミッションは最後になりますけれども、ここでいい仕事をして、それを次の時代につなげられるように頑張っていきたいと思います」と山崎宇宙飛行士は締めくくった。

ビデオライブラリ「SPACE@NAVI-Kibo WEEKLY NEWS 第97号」