JAXA、「あかつき」と「IKAROS」の打ち上げを18日朝6時15分から生中継

2010年05月15日09時04分暮らしと文化
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、金星探査機「あかつき」と小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」が、種子島宇宙センターからH-IIAロケット17号機により打ち上げられる模様を、5月18日(火)朝6時15分から7時30分までインターネットで生中継する。
あかつきは、火星探査機「のぞみ」に続く日本による惑星探査計画で、金星の大気の謎を解明することが目的。
金星は、その大きさや太陽からの距離が地球に近い惑星と考えられていることから、「地球の兄弟星」と言われてきた。
ところが、実際には、金星は高温の二酸化炭素に包まれ、硫酸の雲が浮かぶ、地球とはまったく異なる環境を持つ。
なぜそうなったのか原因が分かってくれば、地球の誕生や気候変動を解明する手がかりが得られる。
あかつきは、金星表面からの距離300kmから8万kmまで変化する楕円軌道に投入される。この距離の違いを利用して、金星全体の気象現象や地表面を広い範囲で調べたり、金星から宇宙空間へと逃げ出す大気の観測や雲のクローズアップ撮影を行う。
また、金星表面には、毎秒100mにも達する「スーパーローテーション」と呼ばれる暴風が吹き荒れているが、これまでこの自転速度の60倍にも及ぶ風速が発生する原因は気象学的にも理由がつかず、金星最大の謎とされてきた。
あかつきでは、雲の下の大気や地表の様子までを赤外線による観測を行ってその謎の解明に迫る。その他、これまで確証のつかめなかった金星での雷の放電現象や、火山活動の有無などを調査することもミッションに含まれている。
IKAROSは、超薄膜の帆を広げ太陽光圧を受けて進む宇宙船。ソーラー電力セイルは、帆の一部に薄膜の太陽電池を貼り付けて大電力発電を同時に行う。
この電力を用いて高性能イオンエンジンを駆動することで、ハイブリッド推進を実現し、効率的で柔軟なミッションが可能となる。
IKAROSでは、帆だけで宇宙空間を航行できること及び薄膜太陽電池で発電できることの世界初の実証をめざす。
ソーラーセイルは、太陽光を十分に受けることができれば、燃料を消費することなく、宇宙空間を進むことができる。このアイデアは100年程前からあったが、帆の素材や展開方式など非常に難しく、近年になりやっと実用化の見通しがついてきた。
IKAROSの帆は、対角線の長さが20mもある正方形で、厚さはわずか0.0075mmのポリイミド樹脂。帆の膜面には、薄膜太陽電池だけでなく、姿勢制御デバイスや理学観測用センサも搭載されている。
この薄くて軽いソーラーセイルの膜面は、IKAROSの機体をスピンさせて、その遠心力によって膜面を展開し、展張状態が維持される。
膜面先端には、重りが取り付けられていて、膜面の展開・展張をサポート。展開は2段階に分けられ、本体側面に搭載された展開機構によって1段階目は準静的に、2段階目は動的に展開する。この展開方式は、ブームなどの支柱を用いないため比較的軽量で、膜面が大型化しても適用することができる。
なお、生中継は、ニコニコ動画、ネットワーク高度利用推進協議会、知多メディアスネットワーク、ご当地風景ドットコム、Stickam JAPAN、ディジタルスタジオでも見ることができる。

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