失われゆく王の記憶、思い出した息子への愛!「イ・サン」37-38話見どころと予告動画-NHK
英祖(ヨンジョ)に会いにいったサンは、幽閉されているはずの貞純(チョンスン)王妃に出くわす!しかも貞純は、明らかに英祖と謁見をした後のようす。驚いたサンは英祖に接見を求めるが、拒まれてしまう。
37話では、自分が認知症を患っていることを知った英祖の苦しみが、38話では、思悼世子への誤解が解けたあとの悔恨の念に涙する英祖の姿が一番の見どころとなっている。
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【37話】
英祖は最近の物忘れのひどさに自ら認知症を疑っていた。主治医を問い詰めても言葉をにごすばかり。そこに貞純が現れた。貞純の一か八かの大勝負だ。ここで英祖が自分の話に耳を傾けなければ、貞純は一巻の終わり!しかし、英祖は、予感していた“認知症”という言葉を貞純が口に出したとたん、彼女を追い出すことは出来なくなった。「今、病名を公表すると、重臣や民たちの動揺が大きすぎる。認知症が悪化する英祖王を守れるのは自分しかいない」と、涙ながらに訴える貞純の迫真の演技もさることながら、彼女を見据える英祖の驚愕と絶望の表情、そして、サンとの接見を断りひとり放心状態の彼の虚ろな目をお見逃しなく。
キム・ギジュと貞純を放免した理由を教えて欲しいというサンに、英祖はもう少し待ってくれとしか返せないなかった。英祖は、自分の意識がはっきりしているうちに、サンへの譲位がスムーズに行えるよう準備をしようと考えていたのだ。
そこで英祖は、認知症の進行を少しでも遅らせるように訓練を始める。そのひとつにソンヨンも参加する。ソンヨンが手伝ったのは“地名の暗唱”。ソンヨン相手に地名をスラスラ暗証できたときの英祖の嬉しそうな顔がかわいい。
このお手伝いの帰りにソンヨンはサンと出くわす。まだ体調が完全でないソンヨンをみてサンが口にした言葉は…「パボ~」だ。紳介ファミリーの木下優樹菜たちのユニット名ではない!直訳すると「バカだな~」大阪弁では「アホやな~」。共に、愛情込めたいたわりのニュアンスが入った独特の言葉だ。視聴者はお気づきだろうか?このところサンはソンヨンに対してこの言葉を良く使っている。サンがソンヨンへの気持ちに気づく前から、サンの脳はソンヨンへの想いを、早く気づいてとばかりに、言葉で訴えていたのかもしれない。
さあ、まんまと幽閉処分を解いてもらうことに成功した貞純の反撃が始まる。まずは、和緩(ファワン)が召集した反世孫派の会合に出向いた。ひと足遅れて会場入りした和緩の驚きの表情をお見逃しなく。自分をを見捨てた重臣たちの謝罪を聞き入れる横すわりの貞純の凄みの効いた表情も怖い。どちらもいかにも女傑らしい凄みのある顔だ。結局和緩は納屋に閉じ込められ、貞純の足元にひれ伏して謝る。もちろん本意ではない。貞純が立ち去った後の和緩の悔し涙が復讐を語っている。
二人の対決は史実にも残されている。実際に勝つのはどちらか!対照的な生涯を送ることになる二人の描かれ方にも注目しよう。
英祖の涙ぐましい努力の甲斐なく、彼の病は間違いなく進行していた。それが良くわかる場面が37話の最後で登場する。
英祖は、亡くなった息子の思悼世子が現れ、謀反を働く夢を見る。それが現実なのか夢なのかの判断もつかなくなっていた。そして、サンが重臣たちと政務会議を行っている最中、勝手に会議を開いたことに激怒し、サンが父の思悼世子の墓の話を持ち出すや烈火のごとく怒り出した。
【38話】
英祖は、「罪人の思悼世子の息子を名乗るお前は世孫にはなれない!お前の父は誰だ!」と激しくサンを攻め立てた。サンがいったいなんと答えたのかはドラマでしっかりと確認されたい。すでに何度も記しているが、サンは歴代の王の中でもことに孝心の篤い人物として有名だ。そんなサンが、史実では、父・思悼世子が謀反の罪で処刑され伯父に当たる故・孝章世子の籍に入れられている。当時13歳だったサンは食事もとらず終日泣き叫んだというのは、有名な話。
話をドラマに戻して…サンの答えに怒った英祖は、サンを政務会議の場から追い出してしまった。これをチャンスと、貞純が英祖の認知症が公になる前にサンを失脚させようと画策する。サンをかばうと見せかけてかの暴君“燕山君(ヨンサングン)”を引き合いに出し、「サンがいつか謀反を起こす人物になる」と英祖に刷り込んだ。話題の人物、燕山君については「韓国三大悪女」の「王の男」で紹介しているので参考にされたい。
英祖から朝の挨拶はおろか大殿への立ち入りも拒絶されたサンは、ふと亡き父の残した絵のことを思い出す。第2話で、父から英祖に渡してくれと頼まれたあの絵だ。サンは、絵に関してはソンヨンに頼むのが一番というナム・サンチョのアドバイスで、件の絵の調査を彼女に頼んだ。サンから頼まれたとあっちゃ何が何でも謎を解明しなくては!ソンヨンの努力の結果、ついに絵の謎が解ける。
そんなとき、ホン・グギョンもひとつの謎を解いていた。いくつかの事象から彼はかねてより英祖王が認知症ではないかと睨んでいたのだ。そこで決定的な証拠を掴むために、テスの叔父のパク・タルホに王の薬を調合する内医院へ潜入させる。コミカルなタルホのハラハラどきどきの捜査は短い時間だが見ごたえたっぷりだ。
その頃サンには、とんでもない宣旨が下っていた。「もう一度誰の息子かと質問するので、そこで再度、思悼世子の名を出せば廃位する!」というむちゃくちゃなもの。孝行者のサンが、その場しのぎにでも父を侮辱する言葉を発するわけがない!絶体絶命のサン。この危機を救ったのもまたソンヨンだった。絵の謎を解いたもののサンに会えないソンヨンが、恐れ多くも直接英祖王に会いにいったのだ。下手をすればその場で手打ちにさえなりかねない。
さあ、ソンヨンは無事に絵を英祖に見せることが出来るのか?そして絵に隠されていた謎とは…?
ストーリー、スタッフ、キャスト全てに優れている本作を、さらに素晴らしい作品に仕上げているのは劇中流れる音楽の数々。初回は物語についていくのがやっとだろうが、繰り返し視聴される方は、ぜひ、音楽にも注意を払ってみよう。目を閉じて音楽だけでその場面が思い出せれば、あなたも「イ・サン」の達人だ!
さて、ソンヨンの活躍で、英祖は息子である思悼世子への誤解を解き、息子の眠る荒れ果てた墓を訪ね涙ながらに懺悔する。そしてサンを呼び寄せある決意を口にした。さて、その決意とは…。
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