義賊ホン･ギルドンが出没した朝鮮王朝とはどんな時代だったのか？ニコニコ韓流アワーでは、6日の今夜は第5話を放送するが、ドラマの舞台となった歴史背景が分かるともっとドラマが楽しめる。「難しい話は嫌！」という方は、以下で紹介する図表をチラリと見るだけでも参考になるのでどうぞ。

「快刀・ホンギルドン」の舞台となった朝鮮王朝は1392年から1910年まで500年以上続いた時代。前王朝の高麗王朝が北からは蒙古、南方からは倭寇に苦しめられ、王朝に危機が迫った1388年、高麗の武将・李成桂がクーデターを起こして実権を掌握した。政権を手中に収めた彼は、1392年に高麗王朝最後の恭譲王から譲位と言う形で王位を継承し、翌年に国号を朝鮮と改めたのだ。（半島の歴史全体についてはドラマで知る韓国の歴史を参考にしよう）

「李氏朝鮮」という国号をよく聞くが、これは正式なものではない。「朝鮮」が正式な国号だが、神話の時代（有史以前）にも同じ名前があったので、神話時代を「古朝鮮」、李成桂が建て国を「李氏朝鮮」と呼び分けているのだ。

王朝の政治機構は国王をトップに据え、その下に最高機関の「議政府」と6つの部署「六曹」が中央官庁として置かれた。さらに半島を8つの行政区画（八道）に分けて統治した。現在の地図と朝鮮王朝時代の地図とを並べて見比べてみよう。北朝鮮と2分されている江原道と京畿道以外はそれぞれ「忠清北道」と「忠清南道」というように北部と南部に分けられ、済州島が独立したが、ほぼ朝鮮王朝と同じだ。当時は、両班という特権階級が「科挙」という国家試験のようなものを受けて、官僚として行政を担っていた。当時は厳しい身分制度があり、王族の下には、両班・中人・常民（平民）・賎民となっていて、賎民は奴婢として物と同じように売り買いの対象となっていた。しかし、普段の行動は比較的自由で、常民たちと変わらない生活をしていた。いや、官僚たちの民を考えない政治に常民たちも賎民たちと同じように辛い生活を送っていたといったほうがいいかもしれない。劇中のホン･ギルドンは両班の父と奴婢の母の間に生まれた子供だったのだ。身分や官職についてもっと詳しく知りたい方は朝鮮王朝豆知識で解説しているので、参考にされたい。

朝鮮王朝は国王がトップに君臨している形になっているが、実際には特定の同じ思想を持つ党派が実権を握っていた。党派がいくつもに別れており、それこそ政事をそっちのけで政権を奪い合う党争に明け暮れていた。党派で実権を握る一番の早道は、一族の娘や妹などが王の妻や側室になって外戚関係になることだった。朝鮮王朝を舞台とするドラマに宮廷物語が多いのはこうしたわけがある。党派については党派の歴史の表で確認しよう。

「快刀ホン･ギルドン」の舞台となったのは、朝鮮王朝の中でも特に治世が乱れていた、10代王の燕山君と17代王の光海君や16代の仁祖の時代を参考にしている。ドラマの年表（朝鮮王朝編）を見よう。
燕山君は王朝で一番の暴君と言われた王で、三大悪女の一人“チャン･ノクス”という超売れっ妓キーセンを側室にして、2人で傍若無人の暴政を敷いた。詳しくは「王の男」で紹介している。当時の様子は、「チャングムの誓い」と「女人天下」のオープニングや「王と妃」「王と私」などでも描かれている。
仁祖については、「推奴」の舞台背景を知る！で詳しく紹介しているが、「イルジメ（一枝梅）」「必殺！最強チル」「推奴-チュノ」でも描かれている。清国との戦いに破れ、仁祖の長男・昭顕世子が人質として清に連れて行かれる。ホン･ギルドンのあこがれた国だ。しかし昭顕は清と友好的な関係を築いて帰国したため、敵に寝返った裏切り者扱いされ、ついには我が子を毒殺したという噂のある王だ。ドラマの中で王が亡霊に悩まされるあたりは、この仁祖を参考にしているのかもしれない。当時は、国民の半分が奴婢というなんとも荒んだ時代だった。

「快刀ホン･ギルドン」というドラマはこうした時代を背景として描かれた作品なのだ。

※韓国ドラマの紹介や韓流エンタメについては、ナビコン特集「韓ドラここが知りたい！」から。朝鮮王将時代の地図や年表、党派の歴史表もあります。

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