【テンペスト】大奥と御内原(うーちばら)は似てるけど、江戸と琉球の女性は随分違う?[コラム]
NHKのBS時代劇「テンペスト」、第4回「阿片疑惑」を終えてますます盛り上がって来ました。公式サイトの掲示板でも「大河ドラマでもいいくらいだ!」という声も多いようですが、私としては今のテンポの良さも捨てがたいし、もっとじっくり描いても十分見応えはありそうだし…とあれこれ考えてしまいます。みなさんはどのようにお感じでしょうか。物語の良さに加えて何といっても豪華なキャスト陣がとにかく魅力的です。首里天加那志が「タイムゾーン!」と歌っていたとか、聞得大君が水着姿でフルーチェのCMに出てたとか、浅倉が「花より男子」の映像化初代道明寺だったとかを知っている自分としては色々と感慨深いものがあります。みなさん素敵な役者になりましたね~。さすがに国母さまが宝塚娘役トップだった頃は存じ上げませんが…。これからはいよいよGACKTさんが前面に出てきますね。彼は中国語が堪能と小耳に挟んでいましたが、それもあっての起用だったのかと納得です。見どころの多いこのドラマ、いよいよ目が離せなくて毎回次が待ち遠しく感じています。
【大和と琉球における女性の立場】
ドラマに登場する「御内原」ですが、江戸の大奥みたいなものと捉える方も多いでしょう。確かに正室と側室の対立など、ドラマ「大奥」シリーズをよくご覧になっていた方には何となく分かりやすいかと思います。そういえば「大奥~華の乱~」での将軍様は谷原章介さんで、高岡早紀さんも共演なさってましたね。御内原を考える時に大奥と重ねると確かにイメージしやすいのですが、大きく異なる見逃せない部分があります。それが聞得大君に代表される神女(ノロ)組織の存在です。
これは第二尚氏王朝の第三代国王である尚真王という人が制定したものです。そう考えると、ドラマの中で第一尚氏の末裔とされる寧温と聞得大君が対立するのも因縁めいていますね。この尚真王という人は琉球の中央集権と祭政一致の体制を築き、その結果として神女も役人と同じく重要視される一面がありました。女性が政治の表舞台に関与出来る場があるという点で、女性の立場が江戸とは大きく異なります。神女組織と御内原はまた別物ではありますが、政治的に発言権を持つ聞得大君が国王以外で御内原に出入り出来る存在であることが琉球独自の女性社会を築いています。大和における巫女が村落などの小さな単位で信仰されていたのとはかなり対照的で力を持っていたことがわかります。大和の巫女は、琉球でいう民間のユタの方に似ているようです。こうした部分を踏まえておけば、女性キャラクターたちの運命や行動の動機付けが更に分かりやすくなるかと思います。
沖縄のノロ信仰を知る上での良書として知られているものに「日本人の魂の原郷 沖縄久高島」(集英社新書)があります。これは歴史解説書ではなく、沖縄諸島の一つである久高島に残る琉球王朝から伝わる祭祀を記録したルポルタージュです。季節や節目ごとにおこなわれる祭祀を克明に記録した一冊で、とても貴重な資料と言えます。ドラマの舞台とは直接関わりはありませんが、ノロ文化をより理解する上では有効な一冊だと思われます。
BS時代劇「テンペスト」ではドラマの次回予告を公式サイトで動画配信しております。そちらと併せてご覧下さい。なお、BSプレミアムで第1回から第3回までの集中再放送が8月12日(金)よる9時30分から行われます。見逃した方はそちらも是非ご覧下さい。
テンペスト|BS時代劇
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