追悼!故・杉浦直樹さんを名作「父の詫び状」「あ・うん」で偲ぶ…予告動画も視聴可能-NHKオンデマンド

2011年09月25日11時18分ドラマ

21日午後7時23分、肺腺がんのため79歳で自宅で亡くなった俳優の杉浦直樹(すぎうら・なおき)さんが出演するドラマ「父の詫び状」、「あ・うん」が、NHKオンデマンドで配信されている。視聴価格は、「父の詫び状」が315円、「あ・うん」は各210円。特選見放題パックは月額945円で特選ライブラリーの番組が、配信期間中見放題となる。

杉浦直樹さんは、日大芸術学部中退し、新演劇研究所の舞台で活躍。その後、「俺は待ってるぜ」で映画デビューを果たし、「錆びたナイフ」の主役・石原裕次郎の敵役で注目された。その後はテレビドラマに数多く出演、向田邦子さん脚本の「あ・うん」、山田太一さん作の「岸辺のアルバム」など数々の名作ドラマで印象に残る夫や父を好演した。2002年には、舞台「あ・うん」で、菊田一夫演劇賞受賞している。

NHKオンデマンドでは、彼の代表作の「父の詫び状」、「あ・うん」が配信されている。共に向田邦子の作品で、「父の詫び状」は、向田邦子の随筆家デビュー作。1978年に発表した随筆集から1986年にテレビドラマ化された作品。昭和の日本の家庭像を見事に描いたものとして 、向田邦子の代表的な作品と高く評価されている。脚本はジェームス三木が担当。杉浦直樹は主役の田向征一郎役を演じた。その他、吉村実子、長谷川真弓、沢村貞子、宮川洋一、井川比佐志ら名優の共演に加え、7代目市川染吾郎が少年役で初々しい演技をしているのも見どころだ。語りは、女優岸本加世子が担当。

■「父の詫び状」あらすじ
父は、父親の顔さえ知らずに育ち、高等小学校を卒業後保険会社に就職。支店長まで出世した人物。しかし、家の中では、怒りっぽく、いばってばかり。そんな父のことを、“芯(しん)はやさしいのよ”と言って笑う母。娘は、独善的で、乱暴な父に反発を感じているが、外での父の卑屈なおじぎや祖母の死を通して、父の意外な素顔を知る。娘の視点から、戦前の庶民の家族のきずなや哀感をしみじみと描いている。

「あ・うん」は、1980年3月9日から3月30日までNHKで「ドラマ人間模様 あ・うん」で4話で放送された向田邦子脚本のテレビドラマ。続編も制作され、1981年5月17日から6月14日まで「ドラマ人間模様 続あ・うん」として5話放送されたが、向田さんが、1981年8月に飛行機で事故死したため中断となった。杉浦直樹とフランキー堺がW主演。杉浦さんは門倉修造役を演じた。その他、吉村実子、岸田恭子、岸本加世子、池波志乃、志村喬、そして続編では、志村喬の腹違いの弟役に笠智衆が登場するなど、大物俳優陣が大挙出演。
1989年には俳優を変えて映画化され、2000年には正月スペシャルドラマとしてTBSで放送された。杉浦直樹が演じた門倉修造は、高倉健、小林薫がそれぞれ扮した。

■「あ・うん」あらすじ
昭和初期の山の手が舞台。製薬会社のサラリーマンの水田仙吉と親友の実業家門倉修造、門倉に思われる仙吉の妻たみ、仙吉夫婦の一人娘さと子、門倉の愛を得られぬ妻の君子を中心とした、暗い昭和の支那事変前夜の庶民の暮らしを描いている。タイトルの「あ・うん」は、仙吉の父初太郎がこの二人をさして「神社を守っている狛犬の阿(あ)と吽(うん)だ」と評したことが作品の中で示されている。

「父の詫び状」「あ・うん」の2作で、深みのある演技で多くの名作を残してくれた名優・杉浦直樹を忍びたい。

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