主人公の父が倒れるという深刻な第1話だったが、ドラマはあくまでもリアルで可笑しく、初回にして是枝マジックと阿部寛の魅力が満載だった「ゴーイング マイ ホーム（以下、ゴマホ）」、先週16日は放送を休止したので、第2話は今夜23日11時15分から、いよいよ謎の小さい生き物クーナ探しが始まる！番組サイトには前回のダイジェストと次回予告動画が公開されている。

「ゴマホ」は、映画監督の是枝裕和が、全話の脚本・演出を手がける初の連続ドラマ。映画の撮り方のままに撮影すると言うとおり、初回の2時間は、映像、構図の作り方、ライティングなどまるで映画のような画面の中で物語が進展した。
初回は、主人公の良多を取り巻く人物の紹介と良多との力関係（ほとんどが相手に分がある）、そしてクーナという小さな生き物がいるかもしれない、と言うところまでを一気に紹介。ただし、一気にといっても、2時間たっぷり使って、個性的な良多の家族の日常の生活をただただリアルに描いた初回。手順を踏んで登場人物を紹介やストーリーの紹介的なエピソードは何もない。だからいきなり高田純次の話題ができてきたり、姉とのショートケーキ争奪合戦が出てきたりと、視聴者は良多の私生活を切り取った場面場面をみせられる。10分も見ないうちに、これまでのドラマとは大いに違うことを感じさせられた。下手をすると冗長ともとられがちな初回の2時間の使い方を、そうさせなかったのは、阿部のコミカルな演技。「大きな体でちっちゃな男」が、美女（宮崎あおい）を技ありの隠し撮りをしたり（失敗している）、ＹＯＵとの姉弟コンビが繰り出す傑作トークに2時間たっぷり笑わせてもらった。
2人は、是枝監督の映画作品「歩いても 歩いても」でも姉と弟を演じただけに、初回にして息ぴったり。中年姉弟が真剣にケーキの取り合いなんてあきれるが、実際の兄弟なんていくつになってもケーキどころか、チャンネル争いなどでも喧嘩をするもの。こんな2人の会話は阿部もお気に入りなのか、モンブランとすり替えられたイチゴのショートケーキを一口食べて、「なんでショートケーキなんだ！？」と自虐的に突っ込むアドリブなど、ＹＯＵとの即興劇を楽しんだようすが画面から伝わってきた。
コミカルなムードの会話ながら、この二人なかなか辛辣な会話もかわしており、父親の看病をはじめ母の押し付け合いなど、親世代が見るには少々辛い内容もさりげなく話している。しかし、そんな中でも吉行和子演じる空気の読めない母親が面白い。もしこのまま夫が死んだら、葬式の時に泣けるか？と言ってみたり、夫のカバンから出てきた黒い手帳を見て「松本清張よ！」と叫んだり…。クスリと笑えてドキリとさせられゲラゲラ笑わされた。

このリアルさは、実家だけでなく良多の家庭でも見られた。義父が倒れたという知らせにも、どこか冷めた山口智子演じる妻の沙江。決して冷たいわけでも無関心というわけでもない。血の繋がらない嫁と舅の関係のリアルさをみた。また、フードスタイリストと言うことで、理想的なお弁当を娘に持たせるが、家では食卓でなくてリビングテーブルで背中を丸めて食事をしたり、自宅のキッチンがそのままスタジオになったりと、こちらも実際にいかにもありそうなリアルさ。
第2話からはどんなリアルを見せてくれるのか、23日の夜10時がいまから待ち遠しい。

第2話は、倒れた父・栄輔（夏八木勲）が、故郷の長野でクーナという伝説の生き物を探していたと知り、沙江は「ロマンチック」と肯定するが、良多は散々家族泣かせだった父のこと、どうせ金銭か女性目的だろうと勘ぐる。
そんなある日、良多は上司からさりげなく有給休暇を取るよう勧められ、娘の萌江（蒔田彩珠）は小学校で、母の作った弁当を友だちに売っていたことが発覚、1週間の謹慎になってしまう。そんな中、沙江には映画の仕事が舞い込む。しかも良多がライバル視している映画監督・山中（宅間孝行）からだ。1週間の地方出張に出かけるという妻に行くなとも言えない良多。奇しくも家族全員に与えられた1週間。もっとも良多は1週間ですまないかもしれないが…。結局、良多は、萌江を連れて父が入院する長野へ再び向かうことに。そこで父と一緒にクーナ探しをしていたという菜穂（宮﨑あおい）と再会し、萌江を連れてクーナがいるとされる森へ足を踏み入れるのだった。

フジオンデマンドでは見逃し配信もしている。
「ゴーイング マイ ホーム」は、毎週火曜日夜10時から、予告動画は番組サイトで視聴できる。

◇関西テレビ「ゴーイング マイ ホーム」番組公式サイト
◇フジオンデマンド「ゴーイング マイ ホーム」視聴ページ

フジ「ゴーイング マイ ホーム」番組サイト